冒険者を引退する。メスガキゴブリンを買う   作:照喜名 是空

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新規住民!TSのじゃロリ狐

 で、翌日だ。

 冒険者どもを叩き起こして改めて外で話し合う。

 朝飯はアローウコンの塊根を焼いたやつに、果物、スープの残りだ。

 

「昨日は連れが助かりましたのじゃ。さて、改めて商談ですじゃ」

「ああ、何売ってくれるの?」

「そうですのう、わしの知っている魔法ならいくつか教えられますのじゃ。旦那さんは魔法使いじゃろう?」

 

 俺は手の魔法刻印を見る。まあわかるわな。

 魔法使いのとんがり帽子もよく見れば奥にかけてあるし。

 

「まあね。でも俺は今は良いかな。俺の魔法使いとしての構成はもう完成に近いから。ああでも嫁たちが習いたがるかも。ほかになんか物はある?」

 

 じいさんはうなずき、馬車に案内してくれた。

 

「そうですのう、商品用としていくつか娯楽本やら、剃刀や針に工具の細々した品……あとは調味料と酒と茶くらいですかのう」

 

 こういう荒野においては金属製品に調味料は必須だ。

 とくにこういう交易や交換で通貨替わりに取引される。

 

「けっこうあるね。じゃあまあ……俺は塩と胡椒、唐辛子1袋づつと釘20本。あとはそうだなあ……酒精ってある?」

 

 酒精ってのは白っぽい粉で……

 これをジュースに入れればうまくいけば酒ができる。

 なんでもそういう妖精が住んでる粉なんだそうだ。

 

「もちろん!では全部で10ドルで……これはおまけの護符ですじゃ。少しばかり魔力をためておけますのじゃ」

 

 わりとシャレたビーズのブレスレットだ。乳白色の見たことない石で流線形の変わった形に加工してある。

 

「安くない?お得だなあ」

「あなた方の『おもてなし』と差し引きすれば妥当な値段ですじゃよ」

「それもそうか……」

 

 それからライリーやガレンはもちろん、嫁たちも買い物をした。

 まあ、お得だったよ。サニーは簡単な魔法をいくつか習ったし。

 

「ところで、お聞きしたいのですがの。皆さんがかかったトラップ……ひょっとしてこのあたりではありませぬか?いや、あるいはこのあたりで遺跡などみませんでしたかの?噂だけでもよいのですがのう」

 

 くそっ、ほぼ当てられてるじゃねえか。

 

「いや、知らねえなァ?何にもねェよこの辺には」

 

 ライリーが目くばせする。あの温泉はまだ隠し通すつもりだ。

 もうちょい大がかりに準備できれば明かすつもりだったからな。

 間が悪かったねじいさん。

 

「ああ、知らないね。だろガレン?」

「うむ、我らがかかった罠ははるか東のものだ」

 

 じいさんは目を細めて、その笑顔からは何も読み取れない。

 これは疑われてるな。でも、探ってくれるなってのはわかってるだろう。

 

「ふむ……ぶしつけな事をききましたな。ありがとうございましたのじゃ。では、トレイルをたどりますじゃ。おたっしゃで」

「ああ、気を付けてな。儲かったよありがとう」

「いえいえ」

 

 俺たちは監視するようにじいさんたちがトレイルに戻るのを見ていた。

 見ていたはずなんだよ……

 たしかに西へ向かったはずなんだ。

 夜、爺さんと弟子が飛び込んできた。

 

「す、すみませぬが……しばらくお世話になれませぬかのう……?」

「いやあ……すまないね……」

 

 なんで2人ともふたなりになってんだよ!

 

 

「あー、やっぱり見つけちゃったんだ?温泉。木の枝とかで隠しといたんだけどな」

「まあその……好奇心が抑えられませんでな。ここらあたりに何かあるとは魔力の流れやら伝説やらでわかっておりましたのじゃ」

「まァ俺らもちゃんと説明しなかったからなァ」

 

 爺さんはほぼ幼女になってた。

 きつね色の髪に獣耳尻尾でこれまたかわいいんだ。

 落差で頭おかしくなってくるよ。

 しょうがねえから外のかまどでまた火をたいて飯食いながら話すことにしたよ。

 

「それでこうなるってわかって入っちゃったんだ!?」

「老いますとのう……若さへの誘惑が断ち切れませんでのう……」

「まあ、わかるよ……関節とかな。でも弟子は?」

「それがですな、体が変化したわしが気がかりでうっかり足を踏み入れてしまい……」

 

 弟子の子はしょぼんとしてる。なんか金髪が縦ロールになってるもん。

 

「ああまあ……変わる時すごいもんね……で、あの冒険者たちは?」

「わしらに襲い掛かろうとしてきたので、眠りの術をかけておりますじゃ」

 

 ぐーぐーヤバイいびきをかいて冒険者二人が縛られて寝てるんだよね。

 何事かと思ったわ。

 

「それでご老公……この後はこの者たちはいかに?」

「うむ、それじゃがのう。馬車に最低限の食料だけ残してそのまま帰ってもらいますじゃ。わしらは温泉で死んだことにしての」

「そんなんもできんの?!爺さん……いや、何て呼ぼうかな。ソウザブロウ?」

「それで構いませんじゃ。まあわしの学んだ体系は妖怪使い……いわば妖精学でしてな。そっち方面は得意なんですじゃ」

 

 妖精学。きいたことがある。幽霊でもこの世のものでもない『何か』。

 そういう訳の分からないバケモノがこの世にはわりと存在する。

 そのバケモノと交渉して魔法を使うのが妖精学者だ。

 

「このお弟子さんも?」

「僕はルパート・アーデン。アーデン家の四男さ。どうも、僕にはそっち方面の才能があるらしいんだ」

「まあ……まあいいや。あの冒険者はそれでいいとしてさ……あんたらどうすんの?」

「できればしばらく住まわせてくれませんかの。どのみちこの辺りで遺跡の調査をするつもりでしたからな。むろん、食い扶持は稼ぎますし、お礼もかんがえておりますじゃ。魔法を教えたり、魔道具の作り方を教えたり、村の施設をつくったりじゃな」

 

 俺たちは顔を見合わせる。

 まあ、この爺さんたちなんだかんだで腕っこきそうだし、食う物探すくらいはできるだろ。そうなれば差し引きで済んでもらったほうがお得だ。

 俺はそう主張し、確かに便利そうだという事で移住が決まった。

 

「まァいいんじゃねえのォ?ここまできて帰りますじゃ逆に困んだろォ?」

「うむ、今あの温泉が世間に知られては困る。むしろ専門家が調べてくれるのだ。めったにない機会と言えよう」

「じゃあまあ、そういうわけでよろしく。俺はジェイク、こっちのがライリー、このデカいのかガレンだ」

 

 魔法使いたちが頭を下げる。

 夜の冷えた空気に焚火がぱちぱちと鳴った。

 

「うむ、よろしくお願いしますじゃ。出会いとは奇貨。これも縁ですじゃ」

「村づくりか……役には立てるよ。僕たちはね」

 

 そういうわけで意図せず新規住民が来たぜ!

 村が発展していくね。

 

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