刀をまた、握れたのなら。   作:無課金勢

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始めまして!
ブルーアーカイブも創作物もかなりの初心者&学生ですが、出来る限り進めていきたいです。
これからよろしくお願いします。


-追記-

三人称視点に修正しました。


プロローグ
おやすみ、良い夢を。


縁壱が瞼を開く。

すると、透き通る板のようなもの越しに、淡い光が彼の身を照らしていた。

正面には、水色の前髪の影に瞳を隠しながらも、どこか微笑んでいる女性が腰掛けていた。

 

「...私のミスでした。」

 

ただ、その女性の姿は、まさに瀕死の状態だった。

全身を血に染めたその姿に、痛々しさを覚えない者はいないだろう。

それでも彼女は、平然とした顔で言葉を紡いでいた。まるで自らの有様に気づいていないかのように。

 

(...透けていない?何故───)

 

縁壱が最初に言語化した思考は、それだった。

生物である目の前の女性の肉体が透けない。それは、己の視界に映る───自分の膝と手が、肉体が偽りであると判断するのに十分な材料だった。

 

「私の選択、それにより招かれた全ての状況。」

「結局、この結果に辿り着いて初めて、貴方のほうが正しかったことを知るなんて。」

 

本当にあの世は存在するのか。

もし違うのだとしたら、ここは何処なのか。

そして───目の前の女性は、一体誰なのか。

縁壱が物事を理解する暇もなく、女性は続ける。

 

「今更図々しいですが、お願いします。」

 

思考ばかりが渦巻き、混乱を深めていく。

さらに悪いことに、縁壱の身体はまるで見えない鎖に縛られているように動かなかった。

視線すらずらせず、瞬きさえ叶わない。

寿命を迎える直前の感覚に襲われる。

それでもなお、女性は穏やかに、だがどこか切実な響きを持って言葉を重ねていった。

 

「縁壱先生。」

 

その声が彼の名を呼んだ瞬間、意識の海に沈んでいた思考が、一気に水面へと引き上げられる。

 

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。」

 

悟りを開いたかのように語るその口元は、今は微笑ではなく、唇を強く噛み締めるような、心痛を宿した形に変わっていた。

 

(...)

 

ふと、縁壱は彼女の頬に一粒の雫が伝っているのを見た。

別れを悲しむ涙のように__いや、あれはかつて彼自身が流した、“あの時”の涙に似ていた。

 

「何も思い出せなくても、おそらく貴方は同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから...」

 

やがて水滴は二粒、三粒と増え、彼女の整った顔が、堪えきれない想いに歪んでいくのが見て取れた。

 

(っ...)

 

縁壱の記憶の底が、わずかに揺れた。

あの世でさえ、彼は彼女に逢えないのだと__本能が告げる。

だが、それも当然だと思った。

日が暮れる前に戻ることが叶わず、腹の子とともに彼女を見殺しにした自分が、天に昇る資格などない。

そんな後悔に染まる心の奥で、ひとりの面影が浮かび上がる。

命を賭して護ろうとし、護れなかった、唯一、死ぬまで愛した、あの人の姿が。

 

「ですから、大事なのは経験ではなく...選択。」

 

そうだ。

どれだけ時を重ねようとも、選択を誤れば、死はすぐ足元に転がっている。

あの時、自分がもっと早く戻っていれば。

"違う自分の"未来は変わっていたのだろうか。

 

「"あなた"にしか出来ない選択の数々が__」

 

その声が、縁壱の歩んだ()()()()の軌跡に、深く深く、突き刺さった。

 

──それが、大人のやるべきことだ

 

───君がなりたい存在は、君自身が決めていいんだ

 

────生徒達が心から願う夢を

 

─────いつも頑張ってくれて、ありがとうって

 

──────立ってくれ、サオリ

 

───────ミカは魔女じゃない

 

────────いってらっしゃい。いざという時、責任は取る

 

─────────この先に続く未来には、 無限の可能性があるから

 

──────────私は、この世界に来てから初めて、自分の幸せを学んだ

 

───────────生徒全員が、この美しい世界に笑顔を向けられるように

 

動かない筈だった。

だが、確かに縁壱の虚ろな瞳が、揺れた。

 

「責任を負うものについて、話したことがありましたね。」

 

「あの時の私には分かりませんでしたが・・・。今なら理解できます。」

 

「大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、貴方の選択。」

 

「それが意味する心延えも。」

 

「ですから、先生。」

 

「私が信じられる大人である、貴方になら。」

 

「この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を...」

 

「そこへ繋がる選択肢は...きっと見つかるはずです。」

 

「だから先生、どうか__」

 

彼女の言葉が、縁壱にとって意味を持っていたのかどうかすら分からない。

ただ、確かに感じたその言葉たちは、遙か先の星空にあるような希望と、静かな祈りのようだった。




次回「連邦生徒会」

特に関わらせたいキャラクターの学園(作者の恐らく可能な候補&学園によってはかなり後半になります)

  • アビドス高等学校
  • ゲヘナ学園
  • トリニティ総合学園
  • ミレニアムサイエンススクール
  • SRT特殊学園
  • シッテムの箱(学園じゃないけど一応)
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