刀をまた、握れたのなら。 作:無課金勢
-追記-
縁壱先生はキヴォトスに来る過程で大事な記憶が飛んでいます。
私の描写不足です。申し訳ございません。
声が――聞こえる。
「...先生、起きて下さい。」
鋭く、そしてどこか焦りを帯びた声だった。
「縁壱先生!」
己の名を呼ばれた瞬間、朧げだった意識が波を打つように覚醒していく。
縁壱が瞼を開けて起き上がると、その目の前には獣のような鋭い耳を持つ一人の女性が立っていた。
そして、何よりも目を引いたのは――懐かしげのある耳飾りが、自らの耳元で揺れていることだった。
(......これは、夢なのか?)
縁壱には、自分の置かれた状況がまるで理解できなかった。
目の前の女性は、何とも言えない表情で彼を見つめている。憐れむようでも、困惑しているようでもあった。
「...少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。中々起きないほどに熟睡されるとは。」
「熟睡...?」
その一言に、縁壱は思わず目を見開き、無意識に問い返していた。
あまりにも現実的な言葉だった。まるで、これからが現実で、今までが夢だったかのように。
「はい...夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中して下さい。」
確かに“夢”の心当たりはあった。だが、その断片さえ掴むことはできない。縁壱は開きかけた口を、そっと閉ざした。
「もう一度、改めて今の状況をお伝えします。」
女性は、まだ動揺を拭いきれない彼を見かねたのか、小さく咳払いし、静かに名乗った。
「私は七神リン。学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です。」
縁壱は、ただ黙って耳を傾けるしかなかった。
学園都市、連邦生徒会――どれも初耳の単語ばかりだ。だが今はただ、名前だけでも覚えておこうと思う。
「そしてあなたは恐らく、私達がここに呼び出した先生...のようですが。」
(......先生?)
先生。そう呼ばれているということは、それがこの場における自分の立場らしいと縁壱は推測する。
縁壱はその曖昧な単語の意味を問おうとした時、リンは再び口を開いた。
「あぁ、推測形で話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
そう言いながら、リンは小さくため息を吐く。困惑と、どこか申し訳なさの入り混じった表情を浮かべていた。
「...こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はひとまず、私についてきて下さい。」
そう言って彼女は振り返り、縁壱の視線の先にある扉へと歩み始める。
「どうしても、先生にやっていただかなくては行けない事があります。」
縁壱は、ゆっくりと膝に手をつき立ち上がった。
背に感じるのは、透き通った板越しに差し込む柔らかな光。生まれてから、こんなにも澄んだ輝きに照らされたことはなかった気がする。
「学園都市の命運をかけた大事なこと...という事にでもしておきましょう。」
そう言った時、彼女の声は少しだけ和らいでいた。
あくまで命令ではない。願いなのだと縁壱は感じ取る。
信じるしか、道はない。いや、信じたかったのかもしれない。かつて、心から困っている者を見過ごせなかったように。
...尤も、その“かつて”が何であったかは、思い出せなかったが。
「......分かった、ついて行く。」
身体の重みを無理やり押しのけるようにして、縁壱は気づけば、理解を捨てるかのように答えていた。
次回「部室奪還戦」
特に関わらせたいキャラクターの学園(作者の恐らく可能な候補&学園によってはかなり後半になります)
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アビドス高等学校
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ゲヘナ学園
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トリニティ総合学園
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ミレニアムサイエンススクール
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SRT特殊学園
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シッテムの箱(学園じゃないけど一応)