刀をまた、握れたのなら。 作:無課金勢
もし「この作家さんの文体を参考にしてほしい」といったご希望があれば、ぜひ教えて欲しいです。
縁壱は、"エレベーター"と呼ばれる乗り物に乗っていた。
どうやら、この世界では高い塔の上下を行き来するための"籠"のようなものらしい。
その中で、リンと名乗る少女が振り返り、柔らかく微笑んで言った。
「キヴォトスへようこそ、先生。」
「ああ。」
縁壱は短く答えると、外に広がる景色へと視線を向けた。
まるで水を凍らせ、磨き上げたような板越しに見える景観は、どこまでも異様だった。
天に届くほどの建物が立ち並び、その光景が彼の胸に微かな圧迫をもたらす。
ふと、縁壱は視界を覆うにある透明な板に手を添えた。
「...この、透けている建材は何と呼ぶ?」
「...? ガラス、ですけれど。ご存じないのですか?」
少女は目を瞬き、不思議そうに返す。
縁壱はわずかに視線を伏せた。
「...あまり、こうした物を見る機会がなかった。」
「そうなのですね。先生の...いいえ、何でもありません。」
リンは言いかけた言葉を呑み込む。
実際、縁壱の世にはこのように透け、美しい建材は存在しなかった。
この世界ではありふれているのかもしれないが、彼にとってはまるで夢物語のような代物だった。
「キヴォトスは、数千の学園が一つに集まってできた、巨大な学園都市です。そして、これから先生が働く場所でもあります。」
――そう、夢だ。
リンの声には温かみがあった。だが縁壱には、その余りにも曖昧な温もりをどう受け止めればよいのか、まだ分からなかった。
「きっと先生が元いた世界とは、いろいろと違っていて......最初は戸惑うことも多いかと思います。でも、縁壱先生なら──」
そう言いかけた彼女の声が止まる。
縁壱が気づけば、手を添えていた指先にわずかに力を込めていたからだ。
パリンと、乾いた音。
指の先から音もなく亀裂が走る。
「...すまない。つい壊してしまった。」
謝罪の言葉が自然と彼の口から漏れる。
本当に、何をやっているのだろうかと縁壱は自嘲した。
「...いえ、問題ありません。」(防弾ガラスを指一本で...?)
リンは驚きを隠すように、眉間の上にかけていた奇妙な
そしてどこか、声がわずかに震えていたようにも思えた。
***
「あ!ちょっと待って、代行!待っていたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
"レセプションルーム"と書かれた扉をくぐった途端、紫の髪を持つ女が怒りに満ちた声で飛び込んできた。
彼女は勢いよくリンへ詰め寄る。だが、リンはどこか面倒そうに息を吐いた。
「...うん?隣の大人の方は?」
その声が縁壱に向けられた時、彼はわずかに言葉に詰まった。
名は、言うべきだろうか――。
この場において、恐らく彼は突然現れた身だ。
口にしていなかったが、彼女たちの頭頂部にある光輪が全てを物語っている。
縁壱には無いもの。それは異物であり、異端扱いされてもおかしくない。
ただ、名を口にすることで、ほんの少しでもこの世界の空気に触れられる気がしていた。
忌み子扱いされた、前世とは違って。
「私、は──」
「首席行政官、お待ちしておりました。」
だが、その言葉は黒き翼を持つ女性の声によって遮られた。
一瞬の沈黙が縁壱を支配する。
そして彼は、名乗ることなく、リンの隣にただ立ち尽くしていた。
――自分はこの世界ではもう、"不要"なのだろうか?
リンは"学園都市の命運をかけた大事なこと"と言った。
だが縁壱にとっては、ここにいること自体が、まるで何かの誤りのように思えてならなかった。
「よ...せ...」
本当なら、潔く...地獄に行き──
「縁壱先生!大丈夫ですか?」
リンの声が、縁壱の思考を断ち切った。
彼女の顔を見て、縁壱は急いで謝罪を述べる。
「すまない。少し、思考が鈍っていた。」
「では、行きましょうか。」
「...どこへ?」
行く先の説明を聞いていなかった縁壱は、戸惑いながら問い返す。
「それはもちろん、シャーレに決まってます。」
リンは縁壱に薄っすらと微笑みかける。
だが、彼女の持つ通信端末は浮かんだ青筋と握力により悲鳴を上げていた。
今の縁壱のテンションは兄上を仕留めきれずに寿命で死んだ状態なので、マイナスがカンストしています。
つまり最初と違ってネガティブなのは、先述した原因のせいで情緒が安定しないという感じです。
特に関わらせたいキャラクターの学園(作者の恐らく可能な候補&学園によってはかなり後半になります)
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アビドス高等学校
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ゲヘナ学園
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トリニティ総合学園
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ミレニアムサイエンススクール
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SRT特殊学園
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シッテムの箱(学園じゃないけど一応)