現代ファンタジーに勝利の女神を!   作:ぬくぬく布団

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NIKKE新ストーリー更新見たぞぉ!!
あぁ……マジで胸糞な奴だったが退場したシーンはスカッとしたよ!
それにしてもこれからどう動いていくか興味津々ですわ。
ガチャの金チケが遂に1000枚になった!これで緊急時の素体だけ確保する準備が完了した!
水着ガチャの前に復刻ガチャ+コスチュームガチャ……おいおいおい。
ネオンがまだ三凸出来てないんだぞぉ!?石もない!せめてもの救いは素体だけ確保していた事だ。

しかも一番くじの情報まで出てきやがった!
水着ドロシー様だとぉ!?欲しいに決まってんじゃねぇかクソォオ!

怒涛の情報に燃え尽きそうだ。





それと↑とは関係ないですが、誤字報告に感謝です。
更新はゆっくりですが続きをどうぞ










第10話

~ドロシーside~

 

買い物の翌日―――、寝起きの二回目の事件を晴らすべくラプンツェルは気合を入れてダンジョンに挑む事にする。そして、今回もダンジョン攻略の配信?を行うとの事でラプンツェルの説明も兼ねているという事だ。尚、ギルド長や受付の職員達には既に説明済みである。

 

「あー、あー、あー。音声や映像入ってる?」

 

:きちゃあ!

:待ってたぜこの時をよぉ!!

:主達が知らぬ所では大騒ぎよ!

:回復職とかマジ希少

:一万人に一人居るか居ないかだからな

:回復手段の殆どがポーション類しかないのよね

:エッチコンロ点火!

:エチチチチチチチ!

:ボッ!

 

ラプンツェルの存在は視聴者達の性癖な刺さっているのか卑猥なコメントが大量に流れている。遊星はこいつらなぁ~と悩まし気に手で頭を押さえている。

 

「このドローンでライブ配信を行っている事は分かりますね?」

 

「ライブ配信ですか?どれ位の人数が私達の事を見ているのでしょうか?」

 

「配信を始めたばかりですが、今現在で50000人近くです。平日の朝だというのに暇人が多いのでしょうね」

 

:聖職者にあるまじき肉体美!

:ムチムチ!

:パンツ脱ぎました

:粗末なもの仕舞えよ

:ちょっと男子サイテー

 

「パンツを脱いだ!?そ、それはつまり私をオカズにしてエッティな妄想で〇〇〇(ピー)するという事ですか!?」

 

「……はぁ」

 

「  」

 

ドロシーは額に手を当てて早速溜息を吐き、遊星はラプンツェルのぶっ飛び具合に呆然としている。

 

:おっと流れが

:ッスー

:パンツ戻しますた

:思ってた反応と違うんですわ

:これはちょっと

:へ変態だ―!?

 

とても美人で大人の聖職者なお姉さんが恍惚な表情を浮かべながら涎を垂らしているのは予想以上にダメージがあるのだ。

 

「私は赦します!ですが、対価としてどの様にして〇〇〇(ピー)したのかを細かく報告して下さい!」

 

:すまん

:それだけは勘弁

:視聴者全員に報告はちょっと…

:変態っ!!

:聖職者じゃなく性職者だ!

:物凄く濃い仲間だなー

:待てよ?主は喰われたという事か?

 

「遊星がどうかされましたか?」

 

「喰われるって……カニバリズムじゃあるまいし」

 

「そっちではありませんが、そのような事実はありません」

 

遊星は頭の中で?を浮かべているのでしょうね。そもそも私達との間で肉体関係が全く出ていない時点でその様な事をする度胸はないのですから。

 

これ以上のコメントは目に毒というよりも思考の邪魔と判断し、パン、パンと手を叩いて皆の意識を向けさせる。

 

「今までの事を踏まえるとこのまま二層に向かっても良いのですが、ラプンツェルをダンジョンに慣らす為に今回は一層で活動します」

 

「取り敢えずラプンツェルの攻撃は通じるとは思うけど他を確認したいからな。この場所ならいざという時に怪我をする可能性がほぼ無いからな」

 

「それで…敵はどれでしょう?」

 

「移動しながら説明する。その方が実物を見た際に納得するだろうし」

 

食料ダンジョンで出現する魔物について大雑把に説明しながら移動すると、丁度良い所にナスの魔物が群れている。

 

「あれがナスの魔物…というよりほぼ精霊馬の見た目なんだよなぁ……」

 

「足は割り箸ではないでしょう?」

 

「倒したら素材が手に入るという事で間違いないですか?」

 

「ナスだからナスが落ちる。という訳でラプンツェル、レッツゴー」

 

視聴者達は回復職だから攻撃出来ないと思いコメントするが―――

 

「えいっ!」

 

SFチックな杖から放たれた弾幕が群れ全体に襲い掛かった。一発で身体を粉砕し、大量のナスがドロップした。

 

「お~、貫通するかと思いきや粉砕と来たか。弾が大きいからか?」

 

「玉が大きい!?」

 

「貫通力というよりも直撃した際のダメージの広がり方が打撃寄りだからでしょう」

 

「貫通力!?」

 

遊星とドロシーは敢えてスルーしながらドロップしたナスをマジックバッグに仕舞いながらラプンツェルの攻撃の性能について再確認していく。攻撃性能で判断するなら幅広いものの、斬撃が遊星しか居ないのが少し危なげである。

 

「ラプンツェルなら二層からでも十分通用するかもしれないが、レベルアップをさせたいから俺達が近づく敵を間引くぐらいで良いかな」

 

「それよりもラプンツェルのステータスのスキルが豊富な点が良い事です。回復に防御支援の二つがあるだけでも私達の安全性が格段に上がります」

 

:ふぁ!?

:回復だけじゃなくて支援も!?

:防御バフキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

:食料ダンジョンでの不意打ちに対応出来たら心強い!

:この性女何気に強いな

:変態だが

:変態だけど

:変態なのに

 

「あぁん!皆さんが私の事を変態だなんて…きっと陰で妄想しながらエッティな事に励むのですね!!」

 

:しねぇよ!

:失敬な!

:我々は紳士ですので!

:青少年の性癖が歪みそう

:平日だから学校では見れないぞ?

:見た者はゴリゴリに歪むのさ

:おいやりそうな紳士が居やがるぞ!?

:そうれはそう

 

まぁ、そんな出来事は今のところ無いのが救いだろう。

それはそれとして、食料となる小動物の兎・鶏等の魔物を吹き飛ばし、野菜のキュウリ・トマト等も撃ち砕く様は豪快の一言に付きる。

 

ある程度は想定していましたが、純粋な火力戦闘だけではないラプンツェルですら余裕がありますね。これなら第二層に降りて三人で行動しても余裕が出来ます。

 

情報がある程度あるとはいえ深入りしなかった二階層へ足を踏み入れる余裕が出来た事に安心し、それを踏まえた上での行動についても計算していく。移動しながらラプンツェルが魔物をどんどんと倒す光景は視聴者達には大きな衝撃である。

時折ドロップした野菜を手に取りうっとりしている様子だったが、ドロシーの目が笑っていない笑顔で上書きしたりと様々だ。ほぼ一日中魔物を倒す事で、ラプンツェルのレベルが少し上がったのは言うまでもないだろう。

 

「丸一日の討伐でレベルが二つも上がったのは嬉しいことだな。これで二層の活動する安全マージンを確保出来る」

 

「二層の安全地帯までの距離は三層へ降りる階段との中間地点です。ギルドからの情報では石碑から半径五十m程の広さとの情報です。この程度の情報は配信に流しても問題ないでしょう。そもそも、食料ダンジョンを攻略する人は殆ど居ませんから」

 

:それな

:日給数百円にもならないので効率悪いのです

:ドロップの魔石を使った農業もあるから余計に

:どういう効果だっけ?

:一日で極上の土になる

:魔石砕いて撒くだけ

:貧困地域では既に食料ダンジョンに潜るメリット無し

:畜産の餌もそれで賄えるしな

:"魔石の売買は出来ない"けどな

:"国が買い上げるか個人使用のみ"だからな

 

魔石を砕いて土に撒くだけで一月もしない内に作物が収穫出来るのだ。収穫したら育成速度のブースト効果は無くなるが、栄養は未だ土に残っているので問題は無い。とはいえブースト効果を味わった者達はもう元には戻れないので魔石を毎回砕いて撒く事が当たり前となっている。

 

魔石を砕いて撒く事で成長速度が上がる……。ま、まさか!?

 

ドロシーはコメントを見ていて気付いてしまいつい遊星に質問をした。

 

「ひ、一つ聞きます。遊星は家の庭に菜園がありましたよね?魔石は入れていたのですか?」

 

:え?

:あっ……

:ちょっと待てよ

:主はそういや

:つい最近までスキル無かったって

 

「あー……家族が亡くなる前までは魔石の恩恵はあったけど、この数年は普通の菜園だ」

 

:これは重い

:おい政府ぅ!?

:クソ役人ッ!!

:これは電凸まったなし

:主の地方特定完了してるわ

:ユルスマジ

:主が死んでたらドロシー様達と出会えなかったって事だ!

:ちょっくら乗り込むか

:丸太は持ったな?

:ならば突撃だ!

:《ギルド長・本郷》ちょっと待て!マジで待てぇ!?

:《ギルド長・村上》早まっちゃダメぇ!?

:《ギルド長・宮本》あんたらまちぇぇ!!

 

現金な視聴者達にギルド長が待ったをかけるのは当たり前だろう。

 

「『役所に言ってもそんな制度無いよ』→『市長に話だけ通すね』→『国会議員に直接頼んで下さい』→『無能に時間を掛ける暇はない』ってな感じで話も何も聞いて貰えなかったのはクソ現実だと思い知らされたよ」

 

「希少な事例というだけでも聞く価値があるというのに、あまつさえ時間を掛ける暇が無い?これ以降もスキルが無い人が生まれる可能性があるにも拘らず、提案の一つも出さないとなればいつかは支持率は落ち信用も無くなるでしょう。誰もやっていないからとその場で足踏みして成長を促さなければただの維持から衰退の道へと変わります。要するに無能な政治家という事ですね」

 

:この国の政治家ほぼ全員が当てはまるやつ

:ってか制度作って利用者が居れば功績になるじゃん

:めんどいというよりも自身に旨味が無いからやらないだけじゃん

:俺達の税金を貪り食う議員大っ嫌い

:ダンジョンに放り込みたい

:それな

:海外では普通にやられたんだっけ?

:ここでもすればいいのに

:《ギルド長・宮本》私はスキルが無いって数年前に知ったから色んな所に掛け合ってるけど通してくれないのよね

:《ギルド長・本郷》頼む…頼むからこれ以上はヤメテクレ

:《ギルド長・村上》僕達にも刺さるから…

:有能桃ちゃん

:ぐぅ有能

:これだから保身に走る奴は…

:桃ちゃんだけが動いてそうなんだよなぁ…

:他のギルド長達はダンジョンの攻略やらを中心にしてるからそうなるのよ

 

成程、宮本桃花―――名前は覚えました。どの様な思惑で行動したのかは未だに不明ですが、これからの動き次第で対応を変えていく事が良いでしょう。

 

「ギルド長の宮本さんは動いてくれたけど、他は動いてくれなかったと……。乗り換えを希望しても良いかな?」

 

「宮本さんが動いた理由が知りたいです!」

 

「対応次第では専用窓口としてやり取りにしたいですね」

 

思惑がどうかは不明だが、知って動くという事だけでも立派である。とはいえ、国の方は後回しにしている様子がある事だけで全体としては信用しないが、個人で見るなら今後に期待という形である。

 

:《ギルド長・本郷》俺頑張って書類作って資金援助や税金免除の枠を獲得したのに…

:《ギルド長・宮本》それはギルド全体で通知があったでしょ!

:《ギルド長・村上》ギルドの掲示板や職員が案内しても全員が嫌がったのがね…

:それはすまん

:旨味無いもん

:資金援助があっても個人で自由に使えるお金が欲しいんじゃ!

:他のダンジョンより精神擦り減らすのは嫌だ!

:今は楽して稼ぐ時代よ~

 

コメントを見る限り、多くの探索者達が楽して稼ぐ事を中心としている様子だ。例え冒険したとしても収入がそれなりに良い消耗品や資源等のダンジョンが中心で、旨味の無い食料ダンジョンは放置されている現状では支援等については当然の帰結とも言える。

 

「そんなこんなしている内に一階層の安全地帯に到着したな」

 

「半径五十mともなると異常事態が起きた際に対処し易いですね」

 

「今回はここで野営します。前日の夜に届いたキャンプ用品の使用感を確認します」

 

:それは必要だわ

:安いやつ買って速攻で捨てた事あるわ

:高級品なら専用のメーカー品が良い

:主達はダンファームの所だったっけ?

:コスパ最強かつ万人受け

:初心者にお勧めするにはダンファーム品が一番

:キャンプ用品だけじゃないもんな

:まるでホームセンターとショッピングモールが合体したかの様な品揃え

 

どのコメントも私達が利用したダンファームを推している事から手広く事業を拡大している大手―――。普通はここまで大きいと何かしらの不正や品質劣化等の黒い部分が出る筈なのですが、今の所そういう情報は全く出ていない。火消しをしているか、それとも単純明快な消費者を考えての商売かの何れかな筈です。

 

ネットの情報だけを鵜吞みにするわけではないが、流れているコメントを見るだけでも不平不満等の情報が一つも流れていない事から少し警戒している。

 

:それよか新規提案品PVって面白いよな

:ダンファームの頭おかしい動画な

:普通は企画とか予定品等を表には出さんのよ

:お試し出来た!使おう!見てもらおう!

:早すぎる動きは消費者も予想外

:類似品が出てもダンファームよりクオリティ低いのがなぁ…

:頭おかしい会社が作ってるんだから

:そらそうなるかぁ~

 

「ダンファーム…中々に凄い会社だな。前世でこんな会社が多くあったらもうちょっと余裕が出来てたかもな」

 

「私達が最前線で活躍していた時は色々とありましたから……」

 

「遊星が本当に色々と研究者達にポンポンとアイディアを出して放置するという一番駄目な事もしましたよね」

 

「あ、あったらいいなぁ~程度のアイディアだから何も問題は無かっただろ!?」

 

「ナノマシンで培養肉を作るという突飛な発想は普通思い浮かびません!」

 

「武具や医療に使用されるのが普通だったのですが、食べ物を作ろうという発想は中々出来ません」

 

:主さぁ?

:有能なのに厄介事を放り投げて来る災害

:ナノマシンって前世で普通にあるんか…

:SF良いなぁ~!

:主達の前世の世界は普通に興味あるわ

 

正直に申しますと、こちらの世界は平和でありつつ死を誘うダンジョンで色々な収穫物が手に入る時点でかなりファンタジーなのですが……。

 

「あ~……前世はSFに暗黒が片足どころか両足突っ込んでる様なものだから戻りたくないのが本音だ」

 

「私達の身体もかなり変わっている点が注意する一つですね」

 

「ニケの時の身体でありつつも生身の肉体に変換されているという摩訶不思議な状態ですから」

 

「出力自体は当時より低いのでレベル上昇と共に上がると思います」

 

本当に不思議です。ニケの身体は便利であるが故にいざとなれば不眠不休かつ何も食べなくとも活動が出来る。思考転換という危険がありますが、数日程度であればどうという事は無い。しかし、今は生身という時点で油断は禁物です。何処かしらを怪我すると痛みが発生し、ニケの身体の時よりも壮絶な痛みが襲う可能性が否めない。

遊星の様なイレギュラーなステータスから見ても逸脱している防御の数値―――、ほぼ確実にニケの防御数値と想定して間違いないでしょう。

 

逸般人である遊星のステータスの数値は魔力以外については規格外であるが故に、ドロシーとラプンツェルの二人のステータスの異様さが浮き彫りとなる。

 

:ニケって何ぞや?

:ニケ?

:ニケってあれだろ?

:知ったかぶんな

:主教えて~

:《ギルド長・本郷》えっ?そんな情報知らない

 

「めっちゃ分かり易く言うと、『機械人形に人間の脳をぶっ込んで地力上げて戦おう』ってな具合だ。正直言うと、それでも余裕なんて無かったからな?」

 

「人道的な点で言えば志願制だった所でしょう」

 

「ですが、後では死亡した人を承諾無視でニケにしていたという事例が殆どです」

 

「本当に色々とクソくらえな状態になってたんだな」

 

当人である三人は事実を淡々と述べる。

 

:ファーーーッ!?

:機械!?ドロシー様達の身体が機械!?

:今は生身って言ってたから……

:どんだけヤバい世界なんだよ…

:一人の犠牲で大多数を生かす為という事か?

:こんな衝撃事実を言って大丈夫なん!?

 

視聴者達の心配はこの重大な前世の秘密について軽々しくぶっちゃけている事だ。無論承知の上であるが、それ以上に当人達では知らない事が多すぎるが故の判断でもある。

 

「言った所で作り方教えろって言われても……ねぇ?」

 

「そもそもニケを造れる程の技術がこの世界にはありませんし、知識も全く無いのです。私達自身もどの様にして作られているかすら知りませんから」

 

「その技術を知り極秘に作ろうとした研究者は秘密裏に消されていました。それがどの様にして消されたかすら何も分からないのです」

 

「そもそもナノマシンってどうやって作られたのかすら俺達は解らねぇもん」

 

テキパキとテントや椅子を組み立てながら次々に爆弾発言を連発する。

 

:ニケ達は全員が最前線で戦うから知る術というより知る時間が無いという事か

:例えるなら戦闘職に杖渡して魔法を撃てと言う事か…

:知らなきゃ撃てないじゃん!

:だから主達の現状はほぼそれなんだよ

:身体が機械から生身に変わったと言う事は…

:特殊合金の剣がただの鉄の剣になった様なものか

:デチューンじゃねぇか!!

 

レベルアップさえしてしまえば能力が上昇するので前世の状態にまでは持って行ける筈です。それよりも一番のイレギュラーは遊星なのですよ?何をどうしたら前世と同等の能力になるのですか!!

 

ドロシー達のステータスは確かに異常ではあるが、元の状態からという点を鑑みれば想定内とも言える。しかしながら、遊星という頭のネジが数本ぶっ飛んでる奴の数値は全てにおいて想定外である。ただし、魔力以外はという一点だけ付け加えておく。

 

「よっし、これでテントも完成っと―――。後は個人的に疑問に思っていた事を試すか」

 

「「疑問ですか?」」

 

:疑問って何ぞや?

:何かあるん?

:安全地帯が本当に安全かどうかか?

:魔物は入って来ないぞ?

 

遊星はマジックバッグから調理用のガスコンロとフライパンとドロップした鶏肉を取り出した。

 

「あの……ダンジョンで料理は出来ますよ?」

 

「ダンジョンで料理をする人は多いと聞きますが?」

 

:何やってんねーん

:飯テロが疑問点なのか?

:ドロップ肉をダンジョン内で食べれるかの実験か?

:いや食べれるだろ…

:ダンジョン内でもドロップ品の消費は出来るぞ?

 

「ドロシー、この鍋に水を満タンまで入れてくれ」

 

「え、えぇ」

 

鶏肉にエ〇ラの生姜焼きのタレを漬け込み、ドロシーに鍋に水を入れて貰う間にドロップの野菜を薄い一口大に切る。鍋に水が溜まったら火を着けて粒状の昆布出汁とカツオ出汁を入れて沸騰しない様に様子を見つつ、ある程度温まったら火の通りの悪い順番に野菜を入れていく。

 

:味噌汁作るんかーい

:男飯と思いきや…

:主は料理男子か

:いやいやいや味噌汁とか簡単やろ

:ダンジョンの中ではインスタントが普通や

 

野菜に火が通った事を確認したら弱火にして、もう片方のガスコンロでフライパンを温めて油を敷く。

遊星がこれから一番知りたかった事の検証はここからだ。

 

「よし、この生姜焼きのタレに付け込んだ鶏もも肉を焼くんだが……ラプンツェルこっち来てくれ」

 

「は、はい!」

 

「俺とドロシーは安全地帯の外側に出て匂いと音と景色について確かめる。ラプンツェルもこの場所から俺達の姿や動きが見れるかの確認をして欲しい」

 

「成程、ダンジョンの安全地帯の情報流出の確認ですね」

 

「他のダンジョンは安全地帯の範囲に他の探索者達が何をしているかは分かるという結果だ。しかし、この食料ダンジョンの渡された情報には安全地帯については安全とは記載されているものの、情報流出段階がどれ程の物か記されていない」

 

「下手をすれば、ダンジョンの種類によって情報の流出具合に差があるかもしれませんね」

 

:ちょちょちょちょ!?

:えっそこまでする!?

:主の安全確認徹底してるな

:いやこれは俺達も確認した方が良いな

:ダンジョンの種類によって差があるかもしれんからな

:階層によっても違うかもしれん

:《ギルド長・本郷》これは考えてなかった

:《ギルド長・宮本》緊急業務として全探索者達に通達準備するわ

:《ギルド長・村上》これ安全地帯の概念が変わる!?

:安全地帯って魔物が入って来ないだけだと決めつけていたわ

:先人達がこうだって言ってたからそれだけを信じてたわ

:《ギルド長・本郷》安全地帯の範囲を調べる計測器はあるが匂いや音等の情報までは確認していなかった

:《ギルド長・村上》これは盲点だったね

 

「という訳でラプンツェルはこのトングを使って肉を焼いててくれ。行くぞドロシー」

 

「焦げない様に注意して焼いて下さいね?」

 

「え、ええっと……頑張ります」

 

箸を使う事自体慣れていない事を前提にトングを用意していた遊星はドロシーと共に安全地帯の外へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~遊星side~

 

安全地帯は魔物が入って来ないとはいえ他の情報が出入りするかも確認しないといけないから、これは階層毎に調べて行った方が良いだろう。さっきコメントで見た計測器も次から貸し出ししてもらって随時チェックも怠らない様にしないとな。

 

何気に細やかな注意を手書きのメモに記入しながら安全地帯の外へ向かう。

 

「それにしても匂いという情報まで流出するかの確認は流石です」

 

「もうちょっとギルドからの情報を信じたいが、流石に具体的過ぎて危険だと判断した。安全地帯の範囲図がどの様になっているか書かれているのは良かったんだが、外側から確認するというのは見るだけだったそうだ。全体を注意する食料ダンジョンではそうなるのも仕方がないとは理解しつつ、もう少し手間を惜しめとも思った」

 

:《ギルド長・本郷》それは本当にすまん

:《ギルド長・宮本》ごめんね

:《ギルド長・村上》ごめんなさい

:普通は見て終わる位だからな

:匂いまでは想定してなかった

:主みたいに今以上に注意して探索するわ

 

「怪我をしない様に注意しろよ?逆に気を付け過ぎて周囲を疎かにして怪我する恐れもあるからな」

 

:何だろう…普通に良いアドバイス過ぎて泣ける

:主がこれまで探索者じゃなかったの勿体なさ過ぎる

:これだから無能議員達はさぁ

 

「周囲には魔物の気配は無いが……、ドロシーはどうだ?」

 

「こちらも周囲を確認しましたが魔物の姿は見当たりません」

 

「それじゃあ外に出るぞ」

 

「いつでもどうぞ」

 

遊星はどの瞬間でも抜刀出来る様に手を添え、ドロシーは銃を構えて安全地帯の外に出る。周囲を警戒するが、上空や周囲には魔物の姿は無かった。

 

「取り敢えず魔物は居ない。―――内側からの視覚情報の齟齬は無し。―――後ろから付いて来たドロシーの小さな足音が途中途切れたから音の遮断は有り。―――匂いも無いな」

 

「外から確認しましたが、煙は見えずともラプンツェルの姿は確認できます」

 

「手を大きく振ってみるか」

 

遊星が手を大きく振ると、ラプンツェルの方からも見えたのか手を大きく振り返した。

 

「音は聞こえずともって所か……。もしかしたら魔物が忌避感を感じる何かがもう少し広い範囲にあるのか?」

 

「忌避感ですか?」

 

「強い魔物はそこまで感じず、弱い魔物には感じる何かって事だ。この安全地帯の外側にも居ても魔物の姿が遠目からでしか分からず、近付いてこない様子からそう感じているだけだがな」

 

「魔物の視力では見えていないだけでは?」

 

「その可能性も有りうる。しかし、この数日で探索者が多く集まる掲示板やギルドの過去の事例情報をたくさん見ていると、同じ個体でも安全地帯の直ぐ傍まで襲い掛かって来たり居なかったりの情報があってな」

 

「それは私達個人で確認するよりもギルドが率先して調べる範囲では?」

 

「ギルドが調べ終わるまでには時間が掛かるから、結果が出るまではこういう可能性があると想定していた方が少しは落ち着けるだろ」

 

:主ぃ……投げ銭させろ

:情報は命だから金銭を請求しても良いんだぞ?

:何気に主の情報的確過ぎて怖いんだが

:忌避感か…それは考えた事なかった

:《ギルド長・本郷》ざ、残業になりそう

 

「今まで『個人で注意してね?』程度で終わらせていたのがおかしいんだよ。もうちょっと情報を集めて推測してギルド全体で検証しろよ。探索者にもどうしてそうなったか予測をしてみてくださいと言ってみるのも、推測の助言ともなるだろ」

 

:《ギルド長・村上》これギルド全体に周知しないといけないレベルじゃない?

:《ギルド長・本郷》そうだよなぁ

:《ギルド長・宮本》本郷が主導で周知させなさいよ?担当のギルドなんだから

:《ギルド長・本郷》残業嫌だぁ

 

「自身でギルド長という席に座ったのならその責務から逃げずに真正面から受け止めなさい」

 

:本郷頑張れよ

:男だろ?

:ギルド長だろ?

:良いギャラ貰ってんだろ?

:元Aランクだから頑張れよ

:ドロシー様からも言われてるぞ

:頑張れ頑張れ!

 

「偉い椅子に座ってるからギルド内の職員に助言を求めても良いいだろ。意見は多い方が纏める際には楽だからな」

 

:《ギルド長・本郷》もうお前がこの席に座るか?

:草

:草

:くさくさくさw

:お前さぁ……

 

「俺が座ってもカリスマ無い+厄介事持って来る可能性大のやつに何言ってんの?」

 

「……自分で厄介事を持って来ると宣言するのですか?」

 

「いや……本当にそうなりそうだから先に言っておいた」

 

:草ァ!

:主って厄介事持って来るん?

:呪われてんのか?

:お祓いする?

 

「今の幸せが何かしらの揺り戻しで不幸になるかもしれんし……」

 

「縁起の悪い事を言わないで下さい」

 

「取り敢えず飯食って気持ちリセットするしかねぇな」

 

:隣にドロシー様が居るのに食に走る主流石w

:せめてドロシー様に慰めてもらうとかw

:三大欲求の中でも食に走ってやがる

:そら食料ダンジョンを選ぶ位だから

:それそう

 

二人は肉を焼いているラプンツェルの元に帰るが、そこでは肉を頻繁に返して中までしっかりと火が通っていないという珍事が起きており結局遊星が肉を焼きながら味噌汁を作るという結果となった。その後、ドローンの配信を切ってから三人で仮眠し、翌日の朝にはダンジョンを出て帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






――次回――

ダンジョンの二階層へ突入!



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