現代ファンタジーに勝利の女神を!   作:ぬくぬく布団

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水着ドロシー引けました記念!やっぱ書けば出るのよ!!










第2話

~ドロシーside~

 

当時はレッドフードと一緒に悪戯したりして苛立ちがあったけれど、どれもが子供染みたもので時々リリスにお仕置きの拳骨やアイアンクローで絞められたりとしている姿を見て笑ったりもしていた。戦闘では指揮官と親友という事もあってか指示の意図を汲み、フォローや遊撃として活躍しているのは頼もしくもあった。だが、全てが変わったのは軌道エレベーターへの侵攻作戦計画でした。

作戦開始前に現場に近い場所へ拠点を構える計画を進め、拠点予定地周辺のラプチャーを殲滅戦闘を開始しようとした時、緊急連絡により複数の生活拠点に大量のラプチャーの軍勢が近づいており量産型のニケだけでは壊滅してしまう程という連絡だった。

一瞬……ほんの一瞬だけ意識を外してしまった事が原因で長距離狙撃に気付く事すら出来なかった私を遊星が庇い腕に被弾。彼の得物は刀で腕を負傷した時点で撤退の文字が浮かびそれを進言したが、彼は私達に撤退を促し自分が殿を務めると言ったのだ。

 

「どうして!?何故貴方が残るの!」

 

「分かってくれ。俺は人間で何時か限界が来て戦えなくなる。量産型でも俺より長く戦う事が出来る彼女達の生存が優先だ」

 

「な、なら私達の何名かが残れば!」

 

「……命令だドロシー。遊星を残し俺達は救援に行く。リリーバイス、頼む」

 

「分かりました」

 

リリーバイスがドロシーを抱える。

 

「……すまない。俺達を恨んでくれてかm「家族を恨むぅ?お門違いって奴だよ。親友、勝利の女神様を頼んだぜ。俺はお前達にこれから先の未来を託すさ。だが、此処で倒してしまっても良いんだろう?」っ!?……あぁ、そうだな。頼りにするぞ親友!」

 

指揮官はレッドフードに抱えられ遊星を除く皆が撤退をする。

 

「指揮官、どうして彼を見捨てるのですか!」

 

「ドロシー」

 

「リリスなら彼も一緒に抱えれる筈でしょう!」

 

「ドロシー!」

 

「っ!?」

 

ドロシーはリリーバイスの怒気を含んだ声に一瞬竦む。しかし、仲間を―――家族だからこそこの決定には納得も出来ないししたくもなかった。

 

「皆分かっていても受け入れたくなんてない。でも、遊星は言ったでしょ?私達……いいえ、これから生まれてくる兵士やニケ達全員に未来を託すって。だったら信じましょう?彼はしぶといし、誰よりも上手い。私達の方を早く片付けて迎えに行きましょう?」

 

「っ!そう、そうですね。早く終わらせて迎えに行きましょう!」

 

私達は遠くへ待機していたヘリに乗り込み生活拠点に向かうラプチャー達を殲滅する。凡そ二日間にも及ぶ物量に物を言わせた激戦は兵士や量産型のニケ達を失いはしましたが、私達が救援に戻った事で大損害とまではなりませんでした。しかし、二日間という時間はかなり長い時間でした。彼は人類最強と言わしめる伝説の肩書を持つが、大量のラプチャーに囲まれれば不眠不休を強いられる事になり生存は絶望的でした。

それでも、たとえ少ない可能性でも生きている事を信じて皆で向かった。向かった先で見た光景は凄まじく、ラプチャーの残骸が大地を埋め尽くしていた。更に奥へと向かうと、地面が広くガラス状に変化していた。

 

「この地面は……一体何が起きたんだ!?」

 

「……嘘……だろ?」

 

「……遊星さん」

 

「こんな……こんな事が!?」

 

「……ちっ!」

 

「っ!先に降ります!」

 

私が下りると続いて皆も降りる。指揮官はヘリを着陸させれる場所で降りる事になるが、今は彼を探す事が一番だった。地面はガラス状に、時折クレーターがありと戦闘の凄まじさが垣間見える。

 

『皆、聞こえるか!?降下地点より凡そ二キロ先に融解が激しい建物が見えた。その周辺には先程よりも大量のラプチャーの残骸を発見した!恐らくはそこに居る筈だ!』

 

皆が走り私も続こうとした瞬間、後ろからカチャンという金属が地面に落ちる音が聞こえ銃を構えて振り返るが何も居なかった。でも、何かがある―――。そんなオカルトめいた不思議な感覚を受けながら音のした方へとゆっくりと近付く。

 

『ちぃっ!戦闘の痕跡ばっかで何もねぇぞ!!』

 

『遊星さん返事をして下さーい!』

 

『見つけたら早急に連絡を下さい!瀕死でも生きているなら助けてみせます!』

 

皆から入る報告がノイズに感じるが、今は全く耳に入らない。だって……彼の愛刀が地面に落ちていて、その傍に居たのだから。まるで燃え尽きたかの様に壁に背を預けて座っている姿はまるで死人の様だった。私は直ぐに信号弾を上空へ撃ち、皆へ連絡を入れながら遊星に声を掛ける。

 

「遊星を発見しました!遊星!しっかりして下さい!迎えに来ましたよ!!」

 

「………シー」

 

「はいっ!はいっ!!生きているのですね!もうすぐラプンツェルが来ます!応急手当として治療用ナノマシンを打ち込みます!」

 

注射を打ち、全身に行き渡りやすい様に地面に仰向けに寝させようとしたが体が硬い。"足を延ばそうとしたが硬く動かなかった"、せめて頭を膝に乗せて皆を待ちながら話す

 

「皆、貴方を迎えに来ました。大量のラプチャーを斬り伏せ、アナキオールを撤退まで追い込んだのは流石です。人類最強の肩書は伊達ではありませんね!でも、今は休んでください。―――お疲れ様です」

 

「……あぁ…………む……」

 

遊星の瞼が完全に閉じて少しすると、皆が雪崩れ込む様に駆けつけた

 

「ドロシー!遊星さんは無事ですか!?」

 

「おい、遊星しっかりしろ!」

 

「遊星しっかりして下さい!」

 

「死ぬな!勝ち越しで逝くなぞ許さぬぞ!」

 

「「……っ!?」」

 

ラプンツェルが遊星の胸に手を当てた瞬間に動きが止まり、私を見ました。その表情は驚愕と悲痛が混ざったものでした。何故そんな表情をしているのでしょうか?

 

「どうしたのですか?ラプンツェルなら治療出来ますよね?」

 

「ッ!?……ドロシー」

 

「皆もどうしたのですか?何故そんな顔をしているのですか?」

 

皆が苦しそうな表情を向けている。何故?どうして?生きているのに歓喜の表情を浮かべないのは何故?

 

「……ドロシー。ラプンツェルの言葉をよく聞くんだ」

 

「?」

 

「遊星は……数時間前に心停止して死亡しています」

 

「……何を言っているのですか?私は先程まで彼の意識を確認しました。その様な冗談h「ドロシー」……リリス?」

 

リリスが私を抱き締める。何故?

 

「遊星の頬を触りなさい」

 

「こう……ですか?」

 

遊星の頬は冷たく、凍えている様だ。これでは凍傷に―――

 

「……死人は冷たくなり、体が硬直するのよ」

 

嘘です

 

「彼が居たのは其処の壁に背を預けていた筈よ」

 

嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘―――

 

「そして、仰向けになっていても足が少しだけ曲がっている」

 

「嘘です!そんな事はありません!死んでない!死んでいません!!」

 

「なら、胸に手を当てて」

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ―――

リリスが強引に私の手を彼の胸に触れさせる。冷たく、心臓の鼓動が無い。そうして、ようやく理解する。大切な仲間―――家族が死んでしまった現実に

 

「あ……あぁ………ああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁァァァァーーーーーーーー!」

 

悲しみが爆発した。涙が止めどなく溢れ出た。今までゴッデスの家族は誰一人欠ける事なく大きな怪我もなかった。それが、いきなり一人が亡くなった現実を受け入れられなかった。

その日―――、彼の死は全員に通達された。上層部は私達ゴッデスに罵声を浴びせたが、指揮官が彼等よりも強い怒声を浴びせる事でこれ以上は何も言われなくなった。兵士やニケ達は指揮官とリリスから彼の願いと希望を報せ、士気の維持を試みるもやはり無理があった。だが、後方技術者組の者達は彼の意思を理解して笑顔を絶やさず前線組に過剰とも思える支援と、彼が考案していた技術を確立させてそれらを届ける事で前線組の士気は持ち直された。

前線組の士気が持ち直されたきっかけはそれだが、何より大きかったのは私達が侵食された第二世代フェアリーテールモデルのシンデレラ―――ヘレティック:アナキオールを討伐したという事も大きかったのだろう。ゴッデスは立ち直り、彼の意思を継いで未来へと希望を齎す勝利の女神だと謳われる様になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん。此処は……?」

 

懐かしくも思い出したくもない過去の夢を見た。泣き疲れて眠ってしまったのだろうと体を起こすと、ベッドの上で布団に包まっていた。隣のベッドには誰も居らず、夜なのか少し部屋が寒くなっている。

 

「……何処?」

 

ベッドから降り、ふらふらと廊下を歩く。まるで夢を見る前から幻覚を見たかの様に喪失感が胸の中で渦巻きつつあるが、いい匂いが漂う。その匂いを辿り視線を動かすと、廊下の奥に少しの明かりが照らされている。その部屋の入り口には暖簾が掛けられており、潜ると料理をしている遊星の後姿を見た。勝手に―――体が勝手に動き、遊星の背に身体を密着させて背中からでも感じられる心臓の鼓動を聞いて安堵する。

 

「………あの~、ドロシー?何故抱き着くの?」

 

「……生きてる。……幻覚じゃない」

 

流石の遊星もドロシーの言葉を聞いて何も言わなくなった。そりゃあ、泣き疲れて寝てしまう程過去の事を引きずっている彼女を離そうとする事は出来ない。そもそも、今の状態はかなり厳しい絵面なので遊星の内心はもの凄く慌てているのは言うまでもない。優勢(遊星)はドロシーが抱き着いているが、心の中で平常心を保つ様に般若心経を唱えつつ目の前の調理に意識を移した。

暫くして、ドロシーは落ち着いたと同時に自分が何をしていたのか思い出して顔を赤らめているのはお約束だろう。

 

「…おほん、お見苦しい所を見せました」

 

「まぁまぁ、質素だが晩御飯食べるだろ?」

 

「えぇ、いただきます」

 

椅子に座り、白ご飯と味噌汁とボイルした鶏胸肉とサラダが目の前に置かれる。

 

「ドロシーは箸って使える?」

 

「大丈夫です。ですが、お肉を切るナイフとフォークが欲しいです」

 

「了解」

 

遊星が引き出しからナイフとフォークを取り出し、ドロシーに手渡す。たったそれだけでも、ドロシーにとっては懐かしくも心焦がれた日常の一コマだ。

 

懐かしい。あの頃は皆で食事を摂り、他愛無い話で盛り上がったりお茶目なからかいもあったりと当時では鬱陶しいと思いながら心の何処かで欲していた家族の日々……。今は遊星だけしか居ませんが、それでも……亡くなって初めて気付いた。あれは彼なりの私達のストレスという名のガス抜き……。レッドフードが代わりをしようとしたけれど、それでも何かが足りなかったそれが彼にあった。

 

ドロシーがご飯を美味しそうに食べる遊星をずっと見つめる。

 

「どした?何か足りなかったか?」

 

「いいえ、こうした何もない日常を目指して戦っていたので少し現実味を感じないと言った方が良いのでしょう」

 

「そうか……そういや俺が死んでからどんな感じだったんだ?」

 

「………地上に居たラプチャーを殲滅して平和を取り戻しました」

 

「……そうか」

 

遊星に面と向かって即答する事が出来なかった。表情を取り繕って返事をしたのだが、やはり家族だからなのか直ぐにバレたが深くは追及されなかった。

 

「では、次は此方からの質問です。此処にラプチャーは居ましたか?」

 

何よりもこの疑問が大きかった。もし、此処が並行世界のアークであるのなら、木造住宅というのはありえなさ過ぎるのだ。管理も何もかもが大変である。

 

「あ……あぁ~、今の所ラプチャーは居ないんだが……何と言えばいいのかなぁ。並行世界ではないんだ……と思う」

 

「……はっきりとしていませんね」

 

「いや…その反応は正しい。俺はこの世界で産まれて生きて来たから受け入れたが、ドロシーはいきなりだからな。えぇっと~……この世界って現代社会とファンタジーが融合した世界なんだよ。ぶっちゃけて言うと―――」

 

遊星が私に分かり易く説明してくれますが、半信半疑というのが本音です。ダンジョン?魔法?スキル?意味が分かりません。そんなオカルトめいた物を信じろと?

 

「でも、ドロシーがこっちに来たというのもオカルトじゃないか?」

 

「………ならおかしい事は無いですね。しかし、世界の移動というのは有り得ないと思います。それこそ、遊星がスキル無しから特殊なスキルが生えたと言われた方がマシです」

 

「……ドロシーって天才か?」

 

遊星が少し考えて私の仮定に納得がいったのは少し笑えた。戦場では様々な不安定事項を考え先に潰したり、如何にして被害を抑える事を考える事に長けていた彼が大本である自身の事を全く考えていなかったのだ。もし、他のメンバーも居れば皆からツッコミが入るでしょうね。

 

「しかし、その……スキルというのは自身で確認する事が出来るのですか?」

 

「出来るぞ?"ステータスオープン"!」

 

遊星がそう手をかざしてそう唱えると、グラフィックプレートが現れた。ファンタジーでありながら何処か科学的なそれは、先程説明された現代社会とファンタジーの融合の産物ともとれる。

 

「ッ!オッシャーーーーーーー!!」

 

遊星がガッツポーズをしているが、私は彼をそっちのけにしてその数値等を見る。

 

 

名前:(さかい) 遊星(ゆうせい)

 

レベル:1

 

体力:2000

攻撃:1500

防御:1000

速度:3000

魔力:100

 

スキル:なし

 

ユニークスキル:ゴッデス1/1

 

 

ふむ、この数値は高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?全く分かりませんね。しかし、ゴッデス―――。遊星に生えたであろうこのユニークスキルこそが私をこの世界に導いた要因に間違いありませんね。

 

ドロシーが様々な思考を巡らせる中、遊星がとんでもない事を口走る。

 

「これで俺もダンジョンに潜れるな!」

 

「は?」

 

遊星がダンジョンに潜る?死ぬ可能性があるのに?それは―――

 

「駄目です」

 

「何故ぇ!?」

 

何を驚いているのでしょうか?遊星の説明から仮定するに、私…いえ、ゴッデスと記載されているこのユニークスキル。後ろに1/1とある事から呼び出せる人数に限りがある=私が死ぬ事で0/1なる可能性が高い。つまり、無限に呼び出せるという事です。なら、安全圏で待機する方が吉でしょう。

 

「私がダンジョンに潜り、金銭を稼ぐ方が安全でしょう?」

 

「それって……俺にヒモになれと……?」

 

「有り体に言うならそうですね。男性の理想ですよ?」

 

「世間体がっ!俺の世間体が死ぬっ!!」

 

「遊星……貴方が死ぬ事は絶対にあってはなりません。分かっていただけますか?」

 

すると、遊星が何やら忙しなく動いて小型タブレットを操作してとある一文を私に見せつける。

 

「ここに書いてあるだろ?召喚スキルは責任問題が発生する為、必ず本人と同行する必要があるって!」

 

「……チッ」

 

「舌打ちしないで!?」

 

どうやら私の思惑は上手くいかないようですね。仕方がありません。決まりを守らずに遊星に負担を押し付ける事は最悪ですから。

 

こうして遊星はどうにかこうにかダンジョンに潜る事が出来る事となった。しかし、ドロシーは心の底で如何にして安全に立ち回せるかを思案する。

 

「そ、それに……もうそろそろ貯蓄が無くなるから急いで稼ぐ必要があるといいますか……はい……」

 

「何ですって?」

 

これにはドロシーも寝耳に水だろう。あくまで遊星が説明したのはこの世界の事についてで、家の事情については全く説明もしていなかった。

 

「それで?貯蓄が無いと言いましたが、ダンジョンに潜る為に必要な資金はどうするのですか?」

 

「……考えていませんでした」

 

「はぁっ、これがゴッデスのメンバーで人類最強と呼ばれた人なのですか?」

 

「うぐっ!?」

 

「前は"この程度の事を予測しろ"等と私達に口酸っぱく言われたのですが?当の本人がこれでは反論されても文句はありませんよね?」

 

「…はい」

 

ドロシーは溜息を吐きつつ遊星と一緒にダンジョンについて調べる。幸いな点として、登録費用等に関しては無料であり、基本的に誰でも登録出来るとの事だ。しかし、最後の一文にはスキルを持たない者は登録出来ないというものだった。

 

「成程、だからダンジョンに潜って金銭を稼ぎたいという事なのですね。とはいえ、私的には遊星がダンジョンに潜るのは避けてほしいのですが」

 

「それは駄目だって言われているだろ?」

 

「せめて武器を持っていれば話は別です。刀を持っていないでしょう?」

 

「……はい」

 

「例え持っていたとしても、あの刀と同等の性能を持つ武器をこの世界で調達するにはどれ程の費用が必要か理解出来ていますか?」

 

「…余裕で億超えます」

 

遊星が使っていた刀は素材が不明かつ、刃毀れする事のない代物でした。ラプチャーを切断するだけでなく、レーザーを切り裂くなんて普通の武器では不可能ですから。

 

「金属バットで撲殺ってのは?」

 

「鈍器ですか?使えなくはないかもしれませんが近接戦闘となると危険でしょう。幸い、私の銃がありますのでそれで当分は何とかなるでしょう」

 

そう言ってドロシーが銃を呼び出す。

 

「……ダンジョンって現代兵器で魔物に傷一つ付けられないぞ?」

 

「…………うそですよね?」

 

「いやほんとマジ」

 

遊星が小型タブレットを操作して映したものは、過去の映像だ。迷彩柄の装備を身に着けた軍人が魔物に向けて銃で撃とうとするが、弾が出ずに驚愕している所を襲われるという想定外の映像だった。

 

「この後も政府が発表した情報で手榴弾等の爆発物も駄目だってさ」

 

「……これは厳しいですね」

 

「スライムとかゴブリンが出るって情報はあるんだけどな……」

 

「スライム…ですか。酸性の体液で人を溶かすのですか?」

 

「浅い所では子供でも狩れるって言う位らしい。ドロップする魔石は一個50円程だがな」

 

「……指針を改めて決めましょう。一番近いダンジョンとは一体何処にありますか?」

 

「市町村の主だった場所―――正確には役所なんだが……ダンジョンに転移する為の魔法陣が設置されている。その魔法陣までは徒歩で20~30分程度だ」

 

「……地上にダンジョンが出現しているのでは?」

 

「ダンジョンが出現したと同時に転移する為の魔法陣が出現したんだ」

 

どれだけご都合主義なファンタジーなのですか。しかし、これで移動する為の交通費に関しては徒歩なので実質無料ですね。

 

「戻りは転移元の魔法陣に戻るんだ。どんな仕掛けでそうなるか分からないが、個人の情報を読み込まれているのかもしれないって考えた方が良いだろう」

 

「と言う事は、新しい魔物が増える可能性が高いですね。個人の情報から読み取る可能性があるのなら、その対象人物にとってのトラウマや苦手な魔物が生まれるでしょう」

 

「その場合だと……ゴ〇ブリの魔物が多そうだな」

 

「………それは嫌ですね」

 

最悪というよりも忌避感の強いゴキ〇リが大量に湧いただけでも卒倒ものだ。現代兵器が使えない=殺虫剤が駄目なのだ。

 

「まぁ、この仮説は俺個人の感想だから心に留めておく程度で」

 

「了解です。話を戻しましょう」

 

「一番稼げるダンジョンは東京だな。物流の中心地であり、素材が高値で売れる。だが、飽和気味の素材は買い叩かれちまう」

 

「……それだと人が違う場所へと流れるのでは?」

 

「いいや、飽和気味となっても最低賃金は決められているから慣れている場所で狩る方が効率が良いんだとさ。それに、人気がないダンジョンは総じてクソダンジョンらしい」

 

「?」

 

「人気のあるダンジョンは、上層から下層まで一定の広さらしい。しかし、人気がないダンジョンはトラップまみれか広大なダンジョンだそうだ。長期間泊まり込み必須というダンジョンって事だな。一応安全地帯はあるらしいが、何処にあるか分からないってさ」

 

「それはもう未開拓の超危険なダンジョンでは?」

 

「そうとも言うな」

 

頭が痛いですね……。恐らく人気があるダンジョンは魔物の奪い合いが必ずあるでしょう。不人気の方はトラップ過多だったり広大なマップだったりとどちらも日で稼ぐには無理に近しいという事。

 

「どうやって稼ぐつもりだったのですか?」

 

「そりゃあ、未開拓で広大なダンジョンに行こうかな?と」

 

「リスクマネジメントがガバガバではありませんか!」

 

それからも、どの様にダンジョンで金銭を稼ぐかを相談しあう。ドロシーは安全かつ少なくても稼げる場所を、遊星はある程度のリスクは承知の上で普通に稼げる場所を―――。しかし、そろそろ金銭が尽きるという難題が目前にある為、どうしても回避する事が出来ない。

 

「はぁ…、分かりました。遊星の案でいきますが、無茶は厳禁です。安全マージンを確保しつつ、撤退も視野に入れて動きましょう」

 

「ドロシーの案も否定は出来なかったが、このままだと生活に必要なインフラが止められそうだからなぁ」

 

「では、明日から動きましょう。目星のダンジョンはどの様な名前なのですか?」

 

「食料ダンジョンだ。広大なマップに様々な魔物が混在し、ドロップは食料が中心だ。これなら持ち帰って食べれるし、売っても金にもなる」

 

ダンジョンのドロップは様々で、"様々なエネルギーを生み出す魔石""食料""消耗品"と大まかな物がこれ等だ。他にも様々なダンジョンもある。今ではダンジョンに頼り切りの供給もある。

 

「ダンジョンの供給に頼り過ぎによる知識の欠落を防ぐ為の技術はそのまま継続されているのですね」

 

「もし、ダンジョンが無くなったら困るのは自分達だからな。―――あったあった、出現する魔物の簡易一覧表だと……野菜とか肉となる魔物がメインだ。だが、性格は凶暴の一言に尽きるだとさ」

 

「野菜を落とす魔物とはいったいどのような形をしているのでしょうね」

 

「……人間サイズの野菜に四足歩行を可能にする棒状の手足らしい」

 

「………体当たりが基本行動なのでしょうか?」

 

野菜は何処となく精霊馬に似た魔物で、肉は普通の獣型である。

 

「えぇっと…体格相応の耐久力を兼ね備えているが、野菜なので斬撃系統には滅法弱い。しかしながら、群れで行動する為最低10体程の群れを成している」

 

「……広大なマップに群れとなれば、撤退時に新たな群れと遭遇する可能性があるという事ですね。厄介と言えば厄介ですが、ラプチャーに比べればお遊戯みたいなものです」

 

「さっすがドロシー、頼りにしてる」

 

えぇ、頼りにして下さい。私はもう仲間を―――家族が死んでしまう光景を見たくありません。きっと今世の貴方の家族の想いと前世の死した仲間達の想いが貴方のスキルという力を生み出したのでしょう。大切にされている貴方は私が護ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









少し休憩して小出しにしていきます
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