魔法の世界で守る者達   作:妄想野郎

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 そこは海に面したホテルの最上階でレストランになっている。しかし、店内には客はおらず、壁に銃痕がたくさんあり、銃を握ったまま倒れている者が多数いる。電球の明かりは一切なく、月明かりと屋上で燃えているヘリの明かりがレストランの中央にある天井の大きな窓から入り辺りを照らしている。

 

 そこには一人の屈強な老兵がガラスが散らばる床に座り壁に背を預けながら葉巻に火を付けていた。

 

「ふぅーー・・・」

 

 吸い込んだ葉巻の煙りを天井を見つめながら吐く。

 吐いた煙りがゆっくり昇るのを見ていた視線を正面に向ける。

 その視線の先には天井の窓から垂れたケーブルがありケーブルの先には一人の男が月の明かりを受けながら首を釣って死んでいる。その男を見ながら老兵は五年前の事を思い出す。五年前のあの時、この男の属する組織のリーダーを殺すためにほとんどの部下を失ってしまった。結果は殺すことが出来たが、殺ったのは老兵では無く一人生き残った部下だった。

 それから五年間、老兵は姿を見せず戦死したとおもわれていた。だが世界がまた老兵を戦場へと引きずり出した。矯正収容所にいたところをかつての部下によって救出され脱出し、部下の所属するチームの一員になった。

 

 その時世界は目の前の男が起こしたテロによって崩壊の危機にあった。大国と大国が戦争状態におちいり世界を巻き込んだ三回目の戦争が始まろうとしていた。

 

 チームは、影からこの戦争を操るこの男を追いかけていたところ二つの隠れ家を発見する。チームは老兵と部下を主力するチームと、部下が訓練官として指導した奴と常にサングラスと頭蓋骨を模したバラクラバを付けた奴を主力するチームの二つに分かれた。

 

 どちらも目的の奴はいなかったが頭蓋骨のチームは男に関するデータを手に入れるも味方によって殺されてしまう。老兵のチームも味方の襲撃を受けるが協力者によって逃げることに成功するも生き残ったのは老兵と部下だけだった。

 

 老兵とその部下は、裏切った奴に復讐とチームの仇を討つためにたった二人で敵の基地に潜入する。

 

 そして、熾烈な死闘の末に勝つことができたが、その最中に部下が胸をナイフで刺されてしまい致命傷を負ってしまう。

 

 老兵は迎えに来た協力者を使い傷ついた部下と共に基地から脱出する。逃げ込んだ先で部下の治療をしてる最中に敵の襲撃を受けてしまった。そこから脱出する時に老兵は体の至るとこに入れ墨を入れた男を仲間にする。

 

 

 それから二ケ月ほどたった時、ヨーロッパはロシアの侵攻に遭ってしまう。そして、この侵攻の裏にはこの男が操っていたのだ。それを知った老兵と2人の仲間は奔走する。そして、とあるホテルに男が来る情報を手に入れた3人は奇襲しようとする。

 

 三人は老兵と二人の二つに別れ、老兵は単身でホテルに潜入する。それを広場を挟んだ所にある教会の塔から見張りをして男が来るのを息を潜めていた。

 

 そして、ホテルに男が来たのを確認して見張りのふたりがテラスにいた兵士を狙撃して老兵がその隙に部屋に突入するが部屋にいるのは数人の兵士だけで男はいなかった。老兵はこれが罠と瞬時に理解して逃げようとした瞬間部屋が爆発する。

 

 それを教会の塔から見ていた二人は無線で呼ぼうとするが応答がなく、移動しようとした時に部下が仲間と共に教会の屋根に転げ落ちる。仲間が驚いて部下を見た刹那自分たちがいた塔が爆発した。しかし屋根はすぐに切れてしまいそのままダイブしてしまうが、運よく工事用の足場があり木の板を突き破り、落下の勢いを減らしながら落ちてゆく。

背中から地面にぶつっかたが意識は朦朧だがなんとかあるので頭を動かして部下を探すが、部下は瓦礫の下敷きにされておりピクリとも動かない。近くでは敵の銃声が聞こえる。近づいてくる姿があるので敵と判断するも体が動かず諦めようと思った時、近づいてきたのはさっきホテルで爆発に巻き込まれた老兵であった。

 老兵は仲間と共に負傷した部下を守りながら銃弾の雨が降り注ぐ街の中から撤退していく。

 

       しかし、傷口からの出血が激しく部下は息を引きとった。

    そして、老兵は愛用していた拳銃を部下の胸に置いて小さな声で「すまない」といった。

                  同時に老兵は決意する。

                  あの男を必ず殺すと。

 

 

 男がこのホテルのレストランにいることを知り、老兵は仲間と共に正面から乗り込んで行く。

 敵の抵抗が激しいが何とかレストランまで来たが、仲間が敵のヘリからの攻撃で負傷し倒れてしまった。しかし老兵は立ち止まらない。ここまで来るのに犠牲になった者たちのためにも、ここで止まる訳にはいかないから。

 

あの男がヘリで逃げようとしたところを、飛び乗りパイロットと護衛を殺すが護衛が撃った弾が操縦席に当たり操縦が出来なくなってしまいビルの屋上に墜落する。

 

墜落した時に屋上に放り出された老兵がうつ伏せた状態で見たの床のガラスに写る自分で顔を上げ見たのは、燃え盛るヘリから出てくる男と間に転がっている拳銃だった。老兵は這うように進んでつかもうと瞬間、拳銃を取られてしまう。

 

 男に銃口を向けられた老兵は自分が殺されること以外なにも感じずただ死を受け入れようとした。しかし、男が引き金を引こうとした刹那、銃声が聞こえたと同時に男の血が舞う。

 音のほうを向くとさっき倒れたはずの仲間が拳銃を撃ちながら近づいている。老兵は終わったと思ったが男が仲間に数発撃った内の一発が仲間の眉間に当たってしまう。倒れてゆく仲間を見ていた老兵は怒りに燃え男に襲いかかる。

 

 ガラスの床に押し倒した男の首を両手で渾身の力で握る。男は両手を外そうと抵抗するが、外れずかえって力を使いだんだんと力が入らなくなってゆく。その間にガラスに亀裂が広がってゆく。

 男の力が抜けた隙を突いて、燃え盛るヘリから伸びていたケーブル手に取り首に巻きつける。そして、男のスーツの襟を掴み上体を持ち上げガラスにたたきつけて一緒に落ちて逝く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 男を見ていた視線をガラスが散らばる床に落とす。

 そこには、老兵を中心にして血の池が広がりガラスの破片を飲みこんで行く。外ではパトカーの音が近づいている。

 老兵は目をつぶり小さく呟く。

 「終わったな・・・」と

 そして、葉巻を持っていた腕が糸が切れたように床に落ちる。葉巻はそのまま血の池に落ちて灯が消えて逝く。

 

 

 頬に温かい風が撫でる。

 

 目をゆっくり開けるとそこはさっきのレストランだった。

 

 (?・・・)

 

 しかし何かがおかしいと感じはするもわからない。首を少し傾げて考えるも思いつくことは何もない。

 

 すると、天井の窓から光る球が降りてきた。

 考えることを忘れ凝視していると光る球はゆらゆらと揺れながら体の正面に降りてきて手を伸ばせば届く位置まで来た。

 大きさはだいたいソフトボールぐらいはあるだろういる。

 

 「誰だ?」

 暫らくして老兵は思いきって光る球に聞いてみた。

 

 「・・・」

 「無視か?」

 返答がないので威嚇するような声でもう一度聞いてみる。

 

 またも返答がないので老兵は葉巻を吸おうとポケットから葉巻とライターを出して慣れた手つきで葉巻に火をつける。

 顔を上げ天井を見つめながら吸い込んだ葉巻の煙を吐きながら思う。

  (静かだな・・・・・・ッ!)

 老兵の目が一瞬開きすぐに鋭い目になる。そのまま顔を光る球に向け落ち着いた声で問いかける。

 「お前が知っていると前提して聞くが、」

 「・・・」

 「ここは“現実”じゃないな?」

 その瞬間、光る球が爆ぜるように大きくなり世界が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 あまりの眩しさに瞳を閉じて腕で顔を隠すが、すぐに光は収まった。

 瞳を開け腕をどけるとそこはレストランではなく壁や床、天井がすべて白で塗られた小さな部屋の中だった。

部屋には机とイスが二つありドアが二つあり、ほとんどが白で統一され、ドアの一つが黒色なだけだ。

 

 部屋には老兵だけで他は誰もいない。

 老兵は誰もいないことを確認すると机に背を向けて一つのドアに近づきドアノブを触る。

 「そっちのドアでいいのか?」

 誰もいないはずの部屋で後ろから声をかけられ老兵はドアノブから手を離しゆっくり振り返りながらホルスターに手を掛けようしたが、その手は空を切る。

 

(ッ!?)

 

一瞬動揺し視線が泳ぐが次に聞こえた声に視線を向ける。

 

「お主が探しているのはここにある」

 

 声の主はイスに座っていて白いカップを持って何やら飲んでいた。そして、その前にあるテーブルにはホルスターに入れていた筈のUSP.45が置かれている。

 

「突っ立てないでそこに座れ」

 

 老兵は少し警戒しながらも机に近づき反対側のイスに座る。そして、反対側に座る者をじっくり見る。

 

 見た目はかなりのご高齢に見え、髪の毛と髭はすべて白く髭は首を隠れるほど伸びている。体系は中肉中背といった具合で、服装は足首まで隠れる白いローブを着ている。顔はまるで王者を思わせるような風格をしてる。

 だがその中でも特徴的なのが・・・

 

 「あまり人の顔を睨むような目で見るのは良くないぞ」

 「あぁ、すまない」

 

 左目が赤、右目が緑という虹彩異色症。いわゆるオッドアイなのだ。

 

 どうやら結構見ていたみたいで注意され気を取り直して何か聞こうと矢先に老人が話しかける。

 

 

 「お主に聞きたいことがあるのだ、よろしいか?」

 「ああ。変わりにこちらも聞きたいことがあるから、答えて欲しい」

 「いいだろう」

 そう言うと老人はカップを一口飲んで机に置く。

 「では聞くが、なぜあそこが現実ではないとわかった?」

 「その答えは、音だ」

 「音?」

 老人は眉を顰めながら聞き返す。

 「ならばいつから気づいた?」

 「最初は違和感を感じる程度で分からなかったが、こいつのおかげで確信した」

 そう言うと老兵はズボンのポケットからある物を取り出してテーブルに置くと、老人はそれを見て驚くように眉をあげる。

 「ジッポ、か」

 「そうだ」

 そして、老兵はライターを持って火をつける。

 「こいつで葉巻に火をつけた際に出るはずの着火音がしなかった。 ただそれだけだ」

 

 話を聞いた老人は感心したように何度も頷く。

 

 「さすが特殊部隊の隊長なだけはあるな。流石だ」

 

老兵は少し警戒心を解いて話しを続ける。

 

 「職業柄五感に頼る時もあるからな。だから気づける事が出来たんだ」

 

 「なるほどな。では次は隊長殿の番だな」

 「隊長殿はやめてくれ。 聞きたいことは死んだはずの俺がここに来た理由だ」

 「おお、そのことか」

 忘れていたかのように言った老人は真剣な表情になると老兵も真剣な表情で待ち構える。

 

 「こことは違う世界に行ってもらう」

 「違う世界?」

 「そうじゃ。別の言葉で異世界とも言うな」

 「パラレルワールドとは違うのか?」

 「当たらずとも遠からずじゃな。その世界とお主が居た世界と決定的に違うのがある。それは魔法という存在だ」

 「魔法? あれか、ファンタジー系とかSF系の小説や映画によくあるやつか?」

 「お主の世界ではそうようなところだな。そして、もう一つ」

 「なんだ?」

 「お主らの仕事道具だ」

 「・・・・・こいつの事か?」

 

老兵はテーブルに置いてあるものを指を差して尋ねる。

 

 「ご名答。その世界では質量兵器と呼ばれている」

 「こいつがどうしたんだ?」

 「それはいずれ知ることだから今は気にしなくてよい」

 「いや、しかし・・・」

 「あとドアについて話すからしっかり聞いておけ」

 (このジジィ)

 

老兵は心の中で悪口を呟くと、後頭部に何か押し付けられる感覚があり、気づくとテーブルに置いてあるはずのものがなくなっている。だが、目の前に老人は座ったままでいる。

 

 「人に悪口を言うのは勝手だが、あまりワシに対して言わない方がいいぞ」

 

 老人に言葉に合わせるようにUSP.45をスライドさせる音が部屋に響く。

 

 「・・・なんのことだ?」

 「ふっ・・・いや、なんでもない。気にしないでくれ」

 

 後頭部の感覚がなくなり老兵は後ろを見るが、そこには何も無い。老兵は視線を前に向けると、さっき無かった物が鎮座していた。

 

 「・・・では話を聞こう」

 老兵はそう言ってドアに指をさして尋ねる。

 「うむ、向かって左の白いドアが今話した異世界への扉。さっきお主が触っていた右の黒いドアが死の世界への扉だ」

 「死の世界ってのは?」

 「はっきり言えば死んだ時に行く世界だ。なんならお主が行った時どうなるか教えてやろうか?」

 「・・・いや、遠慮する。わかる気がするからな。」

 面白そうに聞いた老人だが老兵の即答で一気に沈んで行く。

 「残念だ。だが、なぜわかるんだ?」

 老兵はどこか遠くのものを見るような顔で話す。

 「簡単な事だ。たくさん殺して来たし、死なせてしまったからな、それ相応の世界だろうと予想がつく」

 二人の間に気まずい空気が漂う。

 

 (どうしたものか)

 老人はこの空気を変えようと考えていたら目の前の老兵がいきなり立ち上がり老人を見つめながら口を開く。

 「ようするにだ。白いドアに行けばいいんだろ?」

 突然の行動に老人は気の抜けた返事をしてしまう。が、老兵は気にせずドアに近づいて行く。

 「じゃぁ、行くか」

 老兵はそのまま白いドアの前まで来て老兵は老人に背を向けながら問いかける。

 

「最後に一ついいか?」

「何だ?」

 「向こうの世界に行くのは俺だけか?」

 質問を聞いた老人は『大丈夫』と答える。

 「お主にとって頼もしい仲間がたくさん一緒だ。だから安心して行け」

 老兵は背を向けながら『そうか』と呟く。

 そのままドアノブを握りひねる。開けると猛烈な光が老兵を包んだら少しずつ消えていき、そこに老兵の姿は消えていた。

 

 「・・・を頼む」

 

 その様子を見ていた老人は呟くがその声は誰にも聞かれずに消えてしまう。

そして、老人が指を鳴らした瞬間、老人は消えてしまい部屋には誰も居なくなってしまった。




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