魔法の世界で守る者達   作:妄想野郎

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4話

 「こちらは時空管理局です。安心して出てきてください!」

 

 (間に合ってよかった)

 

 私はレイジングハートを左手に持ったまま、建物にいる人たちに大きな声で出てくるように言って心の中で安堵と共に気を引き締める。

 

 ヘリの中で漂流者達がガジェット相手に戦っていると聞いて、フェイトちゃんと一緒に飛ばして先に来たんだけど、少し驚いちゃった。

 

 なにせガジェットを倒したんだから。

 

 そこのヘリコプター・・・もといBHのそばに転がっているガジェットの残骸が何よりの証拠だけど・・・、

 

 〔マスター、注意してください〕

 

 ・・・だけど、今はその証拠が問題なんだよね。

 

 「うん。分かってるよ、レイジングハート」

 

 レイジングハートの言葉にガジェットの事を思い出す。

 

 自立行動型自動機械、通称ガジェットドローン。

 

 Aランク魔道士でも苦戦を強いられるほどの攻撃精度に移動速度を持ち合わせている。けどこれは単体もしくは少数の話で、集団で来られたら並みの魔道士はすぐにやられてしまう。

 

 だけど、あの人たちはそのガジェットに幾つもの穴が開いて文字通りに蜂の巣にしたんだ。

 

 多分、いや絶対、あの手に持っているもので倒したに違いない。

 

 「あの人たち出てこないね」

 

 そんなことを考えていたら右にいるフェイト隊長が話しかけてきた。

 

 私は改めて建物にいる人たちを見ると、確かに出てくる気配が無い気がする。

 

(ひょっとして言葉が通じないのかな?)

 

 けど、良く見ると窓から見える人たちは皆気まずそうな顔にして、私達の方を見ようとしない。

 

 「どうしたんだろう?」

 

 「何かあったのかな」

 

 〔・・・〕

 

 〔・・・〕

 

 私とフェイト隊長が疑問を口にしているそばで静かにしているレイジングハートとバルディッシュだが、唐突にレイジングハートが喋る。

 

 〔マスター、思い当たることがあるのですがよろしいですか?〕 

 

 「どうかしたの、レイジングハート?」

 

 〔申し上げにくい事ではありますが〕

 

 本当に言いづらいようで付き合いの長い私でもこういう態度のレイジングハートは珍しく、少し驚いた。

 

 「いいよ、いってみて」

 

 〔はい、それでは・・・〕

 

 レイジングハートは少し間を空けて意を決したように喋りだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〔おそらくですが、お二人のスカートの中が見えていると思われます〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、私は顔に血が集まってくるのを感じながら素早くスカートを抑えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は消えた物体の代わりに浮いている2人の少女を驚きのあまり見つめていた。

 

 浮いているのはおそらく魔法か? となると少女達は魔女と言ったところか。

 

 俺はてっきり箒に跨って飛んでいると思っていたが違ったらしい。

 

 しかし20歳ぐらいの魔女達は俺と仲間達がいる建物の1階の窓から20mほど上空にいてスカートを穿いている。しかも丈の短いのを。

 

 そして、こっちは男ばっかりであるがために気付くやつが1人ぐらいはいる。

 

 「・・・白と黒か」

 

 誰が言ったかは分からないが俺は無意識に目を凝らして確認してしまう。

 

 俺とて男だからな、反応してしまうのは仕方のないことだ。

 

 だが、よく考えるとあの子らは俺達を助けてくれたかもしれない。なのに、こんな事をしてしまって気まずくなり顔を下げる。

 

 仲間達を見ると同じ想いらしく気まずそうな顔をして逸している。

 

 「ゴースト?」

 

 俺は隣にいるゴーストに意見を聞くが、思いつかないらしく首を横に振るだけで何も言わない。

 

 一応確認のためにもう一度魔女達を見上げる。・・・一応な。

 

 そしたら、2人は顔をイチゴのように真っ赤にし、スカートの裾を押さえながらBHの近くに降りてきていた。 

 

 降りてきた二人のうちの白い服を着た少女が再び声を出す。

 

 「こちらは時空管理局です!怪しい者では無いので安心して出てきてください!」

 

 そんな事を言われても、「はい、わかりました」と言って出る訳にはいかない。

 

 魔女達の仲間がどこかに隠れて、出て攻撃されたらひとたまりもないからな。

 

 なにせこちらは怪我人がいるうえに、昼間なのに周りを照らすほどの威力を持つ攻撃が当てられたらひとたまりもない。

 

 かといってこの世界で初の言葉を話す接触者だから避ける訳にはいかないだろう。

 

 「俺が行こうか?」

 

 俺が考えていると隣にいるゴーストが名乗り出る。

 

 「このまま何もしないでいる訳にはいかんだろ?」

 

 俺は「そうだな」と答えてゴーストの顔を見る。

 

 そこには、頭蓋骨が模されたバラクラバで目元だけ残し顔と頭を覆い、目元にはサングラスが掛けられて表情が見えない。だが、長くは無いが付き合ってきた仲であるから言わなくても伝わる事もあるもんだ。

 

 「・・・じゃ、頼んだぞ」

 

 「了解」

 

 軽く敬礼していくとゴーストは窓を乗り越えて出て行こうとするがところを、俺は呼びとめる。

 

 「ちょっと待て」

 

 すると、ゴーストは振り返って俺の方を見る。

 

 「なにかあるのか?」

 

 「お前だけ行くとあちらさんが泣かれるかもしれないからな」

 

 すると俺とゴースト以外の隊員の全員が深く頷く。

 

 ゴーストはそんな隊員達を見てから、ため息をついて俺の方を見る。

 

 「じゃ、どうするんだ?」

 

 俺は周りを見渡しながら宣言するように答える。

 

 

 

 

 「俺も行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソープが建物から出るとゴーストが話しかける。

 

 「いいのか?」

 

 話しかけるとソープは足を止めてゴーストの方を見る。

 

 「なにがだ?」

 

 「救出部隊の隊長が後方にいなくて。いざという時は誰が指揮をするんだ?」

 

 ゴーストはソープが出てきたことに対して心配しているようが、当の本人はあまり気にしていないようだ。

 

 「その時はユーリがやってくれるだろう」

 

 「あいつが?」とゴーストが驚いた声で聞き返す。

 

 「あいつがスペツナズにいた事は知っているな?」と聞くとゴーストは頷き、「そのくらいは聞いている」と返事をする。

 

 「あいつはそこで分隊の指揮官をしていたんだ。だから、指揮官として経験はあるから俺は大丈夫だと思っている」

 

 ゴーストは「なるほど」と言って建物の方をチラリと見て、すぐに視線をソープに戻すとソープが口を開き「何より」と言って続きを話す。

 

 「あいつは仲間思いだからな。その所が大きいな」と言って軽く笑う。

 

 そんなソープを見てゴーストは肩をすくませる。

 

 そして二人はさっきから待たしている少女達に向けて歩き出す。

 

 

 

 ソープとゴーストはACRの安全装置をかけ背中にまわし近づく。

 

 近づくにつれて魔女達の顔がはっきりと見えてくる。

 

 降りてきた時は恥ずかしさのためか顔が赤かったが、今は怖いのか軽く引いている。

 

 それが普通だろう。何せ体の大きい男が二人、しかも片方はソフトモヒカンでもう片方は頭蓋骨なのだから。

 

 逆にソープ達も魔女達を見て驚いていた。

 

 遠くから見ても若いと分かっていたが、それでも25歳より少し上だと思っていた。だが今見ている魔女達は明らかに大人とは言い難い。

 

 若すぎる。

 

 これがゴーストとソープの魔女達に対する第一印象だ。

 

 魔女達まで後5mの所で無線のスピーカーから切羽詰まったような声が響く。

 

 《西の道路に物体を発見! 接近中!》

 

 無線を聞いたソープは魔女達を見るが、魔女達は気付いて無いようでこっちを凝視したままだ。

 

 ソープはいきなり白い魔女に向かって走り出すと、一歩遅れてゴーストが黒い少女に向かって走り出す。

 

 少女達はソープとゴーストがいきなり走り出した事に「え?」とした顔で硬直する。距離はたったの5m。その差はすぐに埋まりソープとゴーストは少女達に飛びつく。

 

 「キャ!」「ウッ!」

 

 ソープは白い魔女に、ゴーストは黒い魔女にそれぞれ飛びついて押し倒し、倒れながら右腕で少女の頭を胸の中に入れて、左腕を背中に回しから抱き寄せて体を捻り倒れる。

 

 すると少女達が立っていた場所に3つ蒼い塊が通り過ぎて行く。

 

 右半身に衝撃を感じたソープは腕の力をゆるめて自分の腕の中にいる魔女に問いかける。

 

 「大丈夫か?」

 

 「は・・・、はい」と言っているが、生返事をするあたりいまいち現状の理解ができないみたいだ。

 

 ちなみにその頬が少し紅くなっていることをソープは気付いてない。

 

 ソープは「なら良かった」と答えてゴーストの方を確認すると、大丈夫みたいで拳に親指を立てている。

 

 するとソープの近くに蒼い塊が着弾し土を巻き上げる。

 

 舞い上がった小石などが体に当たるのを感じながら、ソープはこの場所にいるのは危険と判断する。

 

 「ゴースト! このままでは危険だから移動するぞ!」

 

 「どこに!?」

 

 ソープは周りを見渡しながら隠れそうな所を探す。

 

 (ユーリ達の所では距離がありすぎてだめだ!。近いところは・・・)

 

 すると、距離的に近い墜落したBHに視線が止まる。

 

 そして、ソープは隣にいる魔女を上から見る感じで声をかける。

 

 「あのヘリの所まで行けるか!?」と聞くと少女はようやく現状の理解ができたらしく、首を振って「大丈夫ですよ」と言って立とうとする。

 

 「あれに関しては私達の方が経験がありmッ!?」

 

 少女が喋っている途中にソープは引き倒して怒鳴る。

 

 「バカか!? こんな時に立ったら狙ってくださいと言ってるのと一緒だぞ!」

 

 少女はいきなり怒鳴られてしまって「す、すみません」と言って謝る。

 

 ソープは少女の謝っているのを無視してマイクのスイッチを入れる。

 

 「ユーリ! 今からBHまで移動する! 援護を頼む!」

 

 《分かった! タイミングはどうする!?》

 

 「3カウントだ!」

 

 《了解!》

 

 無線を切ったソープはゴーストと魔女達にBHまで逃げることを伝えて、カウントを始める。

 

 「   3!   2!   」

 

 周りでは次々と塊が地面にぶつかって土や小石を巻き上げソープ達に降り注ぐ。

 

 「   1!   」

 

 カウントが残り1となった時、凄まじい銃声の音が鳴り響く。

 

 「   GO!   」

 

 声と同時にゴーストとソープは立ちあがって魔女達を起こして走り出す。

 

 BHのドアは、ソープ達がパイロットを救出する際に東側のドアを開けたが西側のドアは閉まっていたので、そのまま機体を盾にして隠れた。

 

 BHに着いたソープとゴーストは魔女達をBHの隣に座らせて外傷がないか目でチェックして、異常がないことを確認する。

 

 「すまんがここでジッとしていてくれ」そう言ってソープは片膝をついて無線のマイクのスイッチを入れる。

 

 「ユーリ、そこから物体が見えるか?」

 

 《三体を視認。内二体落としたが一体が隠れて落とせなかった、すまん》

 

 「それほどやれば上出来だ。 後はこちらで処理する」

 

 無線を切ったソープにゴーストが声をかける。

 

 「なんて言ってた?」

 

 「デザートは残しておいた。だそうだ」

 

 ゴーストは鼻を鳴らして軽く笑い「なるほど」と言ってACRの安全装置を外し、コッキングレバーを引いて薬室に5.56×45mm弾があることを確認し構える。

 

 「・・・で、これからどうするんだ?」

 

 「向こうは何もできないから、俺らがやるしかないな」と言ってソープもゴーストと同じ動作をして、ACRを構える。

 

 ソープはコックピットの方に近づき、割れた窓から物体を探す。

 

 (・・・)

 

 物体は建物の傍を浮いているために、建物が邪魔してユーリ達の射線から見えない位置にいる。

 

 ソープはゆっくりと窓から離れゴーストに伝える。

 

 「北側の建物の前、距離約50m」

 

 「それでどうする?」

 

 「俺はコックピットの陰から狙う。ゴーストはコックピット窓から狙ってくれ」

 

 「了解」と答えたゴーストは移動を始める。

 

 ゴーストに伝えたソープは次に座っている少女達に声をかける。

 

 「もう少しジッとしていてくれ。 すぐに終わるからな」

 

 ソープなりに安心させようとして声をかけたが、そこでまた白い魔女が立ちあがろうとする。

 

 「後は私達にまかせt「座れ!」・・・!!」

 

 そして、また喋っている途中にソープが頭を押さえて座らせるが、今回は舌を噛んだらしく口を押さえて蹲る。

 

 「な、なのは? 大丈夫?」

 

 隣にいる黒い魔女が心配して声をかけるが白い魔女は反応が無く、瞼をギュッと閉じて薄っすら涙を浮かべている。

 

 さすがにそんな物を見て、怒るほどソープは女の人に無関心ではない。

 

 「あ~・・・、すm「マクダビッシュ! 何してる、早く来い!」」

 

 「・・・今行く」

 

 ゴーストに呼ばれたソープは二人の少女に「すぐ終わるから待ってろ」と言ってゴースト所に行く。

 

 しかし、ソープは気付いていなかった。

 

 白い魔女の左手が杖を握りしめ、肩が小刻みに揺れていることを。

 

 

 

 ソープはコックピットの隣でうつ伏せになり匍匐状態で陰から物体を狙い、ゴーストは窓枠に銃身を置いて安定させ狙う。

 

 「3カウントだ」

 

 「了解」

 

 ソープはゴーストに伝えるとACRを3点バーストに切り替える。

 

 そして、ホログラムサイトを右目で覗き浮いている物体の真ん中に合わせ、息を整える。

 

 幸いにも、無効は見えてないのか攻撃をしてこない。

 

 「3、   2、   1、  ファイヤ!」

 

 掛け声と同時に引き金を引き絞ると右肩に軽く反動の衝撃が伝わる。

 

 放たれた6つの光の弾が、物体の真ん中にあるレンズのような部分にまるで吸い込まれるように直進していく。

 

 当たった弾は弾かれることなく、レンズに亀裂を入れながら中に侵入し六つの風穴をあけ、さらに反対側にも風穴を開ける。

 

 そして、物体は浮いたまま火花を数回散らし爆散。鉄屑と化して地面に落ちる。

 

 落ちたのを確認したソープはユーリに伝えようため無線のスイッチを押す。

 

 「ユーリ、デザートは頂いたぞ」

 

 《・・・》

 

 しかし、いつまでも無言なままで、ソープはもう一回繋げようとした瞬間に寒気に襲われる。

 

 カザフスタンの極寒の山を登った時とは違う寒気で殺気に近い感じがソープを包む。

 

 「マ、マクダビッシュ」

 

 震えた声で呼ぶゴーストを見ると、魔女達の方を見ながらガタガタと震えている。

 

 「どうしッ!?」

 

 その先を見ると白い魔女が立っている。

 

 それなら別に問題は無いのだが、問題は周りに黒いオーラが見えることだ。

 

 黒い魔女はBHの陰に隠れて見守っている。

 

 ソープは冷や汗を体中から滝のように流しながら、白い魔女に言葉を掛ける。

 

 「お、お嬢さん、どうかされましたか?」

 

 「いえ、べつに」と微笑む魔女。

 

 (目が笑ってないぞ!)とさらに冷や汗をかくソープ。

 

 「ただ・・・」

 

 (あるじゃねぇか!)と思っても口には出さない。出したらすごくひどい事になりそうな予感がしてならないからだ。

 

 少女は杖の先をソープ達に向けて構える。

 

 「人の舌を噛ませておいて謝らずにそんままのは、どうかと思うんですけど、違ってます?」

 

 「・・・いや、間違っていない。そんなことをしたらすぐに謝るべきだ」

 

 「だよね~」

 

 微笑む顔は可愛らしいが、杖の先に桃色の光の塊ができてゆく。

 

 「ひとつ聞いても良いだろうか?」

 

 「なんですか?」

 

 白い魔女は微笑みを崩さずに返事をする。塊をさらに大きくしながら。

 

 「その塊はなんだろうか?」

 

 「大丈夫ですよ。ジッとしてたら当たっても死なないから」とイイ笑顔で答える。目は笑っていないままで。

 

 「動いたら?」

 

 「・・・気にしない方が良いですよ」

 

 ((今の間はなんだ!?))

 

 

 「では・・・おやすみなさい」

 

 「待て! 話せば分かる!・・・きっとだ!」

 

 

 

 「   ディバインバスター!   」

 

 そして、ソープとゴーストの意識はここで途切れる。




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