魔法の世界で守る者達   作:妄想野郎

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5話

 「ほう・・・」

 

 エンジンの音が鳴り響くキャビンの窓から、眼下に広がるミッドチルダの街並みを見てマクミランは感嘆の声を出していた。

 

 そこには西へと傾き始めた太陽に照らされ、血管の如く張り巡らされた高速道路や鉄道に大小様々なビル群、住宅が広がっていた。

 

 それだけでも大都市といっても過言ではないが、その中でも群を抜いて高いビルに視線が向く。

 

 雲を突き抜けてそびえるそれは、ミッドチルダの地上部隊における総本山である地上本部。通称:首都中央地上本部。

 

 当然そんなことを知らないマクミランはその大きさを遠くから見て呆気に取られていた。

 

 しばらくするとマクミランは見られていることを感じて、顔を窓から離して反対側に向ける。

 

 視線の先には、青紫やオレンジ、赤にピンクの色の髪をした子供が座ってマクミランを見ていたが、マクミランが振り返ったせいか全員目を逸らしてしまう。

 

 「少し聞いてもいいかな?」

 

 マクミランはそんなのことを気にせず好々爺のように優しい声で尋ねるが、四人はチラッと見ただけで返事は無かった。

 

 だが、マクミランは反応があったから良しとして、光る手錠のような物で縛られている両手を顔の高さまで上げる。

 

 「すまんがこれを外してもらえんか。さっきから背中が痒くて仕方がないんだ」

 

 もちろん背中なんてこれぽっちも痒くないが、本音を言えば少し手首が痛くなって来たのだ。

 

 「「「「・・・」」」」

 

 だが、マクミランの願いは聞き入れてもらえず無言の返事が帰ってきた。

 

 顔を横に動かして隣にいる同じように縛られているナイト3のパイロットに視線を向けるが目を閉じて頭を下げたまま船を漕いでいた。

 

 マクミランは諦めのため息を吐き、上げた両手を下ろすと視線を床にずらす。

 

 そこには両手両足を縛られて仰向けに置かれているモヒカンと頭蓋骨がいた。

 

 マクミランは手前にいる頭蓋骨、もといゴーストを縛られてない爪先でつついて起こそうと試みるが、起きる気配はなく死体のようにピクリとも動かない。

 

 本当に死体のように動かないが、よく見ると胸部が上下しているのが確認できる。

 

 マクミランも初め見たときは死んだと心配したが、死んでいないと分かって安心したのだ。

 

 特に何もない機内でマクミランは仮眠を取ろうと思い、瞼を下ろして目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              五十分前

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キラー隊、並びにサンダー隊が残り1分で戻ってきます!」

 

 SAS隊員の報告にマクミランは直ぐに次の指示を出す。

 

 「戻ったら直ぐに弾薬と燃料の補給に取り掛かれ。ナイト隊はいつ出れる?」

 

 「はっ! ナイト隊は武装の装備は完了、もう直ぐ燃料の補給が終わります!」

 

 「では、ナイト隊は補給が終わり次第残るTFを載せて発進しろと伝えろ」

 

 マクミランの命令に隊員は「Yes,sir!」と敬礼して離れていく背中を見ながらマクミランは不安を感じていた。

 

 この時サンダー2-1を始めとしてリトルバード隊の全機からある報告が来ていた。

 

 『墜落ポイント付近で閃光確認』

 

 この情報がマクミランの脳裏に暗い影を落としていた。

 

 (物体の攻撃かそれとも第三者の攻撃か・・・)

 

 マクミランとしては後者かつ味方であることが望ましいが、あくまで希望的観測でしかなく実際は前者の可能性もある。

 

 無線でソープ達と連絡を取れればいいのだが、あの物体にジャミング機能が付いているのか何度呼びかけても返ってくるのはテレビの砂嵐のような音だけだった。

 

 (最悪の状況も考えんとな・・・)

 

 するとマクミランは思い浮かんだ事を振り払うかのように頭を軽く振ってAMMOと書かれた箱に腰を掛ける。

 

 (何を考えているんだ俺は。部下を見捨てるなどと・・・)

 

 マクミランは苛立ち始めた思考を落ち着かせるために葉巻を吸おうと左胸ポケットに手を当てるが、何の感触もなく次に右胸ポケット、ズボンの前と後ろポケット等探っていく。

 

 だが、やがて諦めたように溜息を吐くと腕を組んで前を見る。

 

 そこには、戻ってきた迎撃チームがミニガンやブローニングM2等の弾薬の補給をしており、その隅には105mm機動砲搭載型であるM1128ストライカーMGSの砲弾補充装置に砲弾を搭載している作業をしている者や、 駐機しているナイト隊に持っていくのだろうかSASの隊員とデルタの隊員が共に一個のドラム缶を転がしながら向かっている。

 

 周りでは同じような光景が見受けられる。

 

 (・・・)

 

 その姿をマクミランは無意識に目で見つめていた。

 

 「ここで何をしているんだ?」

 

 「・・・考えことだ、ジョン」

 

 いつの間にか隣に近づいて来て話しかけたプライスにマクミランは不思議と落ち着いた思考のおかげで落ち着いて返事をする。

 

 「ソープ達なら大丈夫だ。生きているに間違いない」

 

 「・・・その根拠は?」

 

 プライスの方を見らず耳だけを傾け視線は前を見たままに問いかけるマクミランにプライスもその視線の先を見ながら口を開く。

 

 「あいつは我が祖国が世界に誇る特殊空挺部隊、第22SAS連隊の隊員だ。それに俺らの後輩でもある」

 

 「確かにマクタビッシュ大尉はSASとしては優秀だ。だがそれだけではな・・・」

 

 「それにな・・・」

 

 お前は俺の話を聞いていたのか?と問いかけたくなるのを我慢して話の続きを催促する。

 

 「それに、なんだ?」

 

 「あいつは俺の元部下であり大事な仲間だ。これだけで十分な理由だ、ってうお!」

 

 ジェット機として最高記録を出したブラックバードの3,529.56km/hよりも早い速度で振り向いた(実際は普通に振り向いただけ)マクミランはしばらくプライスの顔を眺めていると、プライスは何とも言えない顔をする。

 

 「なんか付いてるか?」

 

 「なぁ、ジョン。お前にとってここにいる者達はなんだ?」

 

 「突拍子もないことを言い出してどうした」

 

 「いいから早く答えろ」

 

 この世界に来ておかしくなったか、などと考えるもプライスは考える素振りを見せずにさっと答える。

 

 「簡単な答えだ。皆戦友であり、仲間であり、家族だ。と俺は思っている」

 

 「・・・」

 

 自信満々に答えるプライスにマクミランは間を置いて「そうか」と言って顔を前に戻す。

 

 きちんと答えたのに予想とは違う返事をされて拍子抜けするプライスが立ち去ろうと腰を上げた途端にとなりでマクミランが自分で顔の両頬を叩いた。その音は一回だけ鳴ったがそれなりに大きく近くにいた兵士たちが何事かと手を止めて様子を伺っている。

 

 そんでもって一番驚いたのは隣にいるプライスであり、突然のあまりに誰か呼ぼうと無意識にマイクのスイッチを入れるが、マクミランが腰を上げたのを見て出かけた言葉を引っ込めた。

 

 「長い間文字とディスプレイばかり見ていると現場の空気を忘れてしまったな。・・・ジョン、お前には礼を言わんとな」

 

 「本当に頭大丈夫か?変なものでも食べたんじゃないのか?」

 

 脈絡のない話をするマクミランをプライスは心配するが当の本人は気にした様子はないが、今度は真面目な顔をする。

 

 「この先どんなことがあってもお前たち・・・SASは私に付いてきてくれるか?」

 

 「何を今更」

 

 本当に頭大丈夫か、と思ったがマクミランの青色の目から本気であることを感じたプライスは本心で答えようと姿勢を正してから口を開く。

 

 「こういうのは柄でもないが、・・・元第SAS22連隊所属ジョン・プライス以下四名。貴官に指揮権を委ねることをここに宣言する」

 

 敬礼して宣言をしたプライスにマクミランも敬礼で返す。がここで意外な所から声が上がる。

 

 『メタル0-1よりベースプレート。我々デルタフォースを忘れては困ります』

 

 『こちらレンジャー隊隊長フォーリー。ここに居るのはSASだけでありません』

 

 『ヘリ部隊を代表してナイト1です。航空タクシーを使いたいならいつでもどうぞ。7.62x51mm NATO弾を乗っけて待ってます』

 

 『僭越ながらTFより隊長に代わりまして曹長が発言させてもらいます。おそらくですが隊長達もあなたに指揮を取られる事を望んでいると思います』

 

 「・・・何故?」

 

 周りにはマクミランに向かってSASやデルタ、レンジャーにTFとパイロット達が敬礼の姿勢で見ている。

 

 予想だにしてなかった状況になり困惑するマクミランだが、自分のマイクを触ってみるがスイッチが入っていた様子はなく残るは隣にいるプライスだけになりゆっくりと視線を向ける。

 

 「ジョン?」

 

 「・・・事故だ」

 

 遠くからヘリのエンジン音が聞こえてきたと思ったら四機のリトルバードがビルの上から姿を現した。

 

 後にパイロットは語る。

 

 「あの歳で現役の兵士を投げ飛ばすとは、今でも信じられん。それで俺たちは決めたんだ。あの人だけは怒らせてはいけないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『司令、ナイト1とナイト2が離陸します』

 

 耳に付けているイヤホンから聞こえてくる無線の声にマクミランは、風を切り裂きながら上昇していく二機のブラックホークに視線を向けるとマイクのスイッチを入れる。

 

 「ベースプレートよりナイト1、及びナイト2」

 

 『ナイト1よりベースプレート。どうかしましたか?』

 

 「全員連れて戻ってこい。これは命令だ」

 

 『任せて下さい。五体満足で連れてきます。ナイト1、アウト』

 

 イヤホンから聞こえる自信にあふれた声を聞いてもなおマクミランは高度を上げていくブラックホークを見上げていた。

 

 やがて二機のブラックホークはビルの上を飛んでいき視界から消えてしまう。

 

 遠ざかって行くエンジンの音を聞きながらマクミランは再びマイクのスイッチを入れる。

 

 「リトルバードの補給は何時に終わるか?」

 

 『五分ほどあれば飛ばせます』

 

 「では用意ができたら連絡をしてくれ」

 

 『Yes,sir.  できるだけは『ナイト1よりベースプレート。広場に接近中の機影あり』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「規模と特徴は?」

 

 EUH-60Lに戻ってイヤホンを外してヘッドホンを付けたマクミランは無線のスイッチを入れてナイト隊に呼びかける。

 

 『ヘリコプターのような奴が一機だけです。それ以外は影はありません』

 

 「そいつの武装みたいのようなものは付いているか?」

 

 あの物体がうろついている所に飛んでいるんだから何かしらの武装をしていると踏んだマクミランだがその予想は当たらなかった。

 

 『いえ、見る限りでは武器らしき物は付いていません』

 

 「どういう・・・」

 

 どういうつもりだ。と出かけた言葉は最後まで出らなかったが、代わりにマクミランの中の警戒度がさらに上がった。

 

 「フォーリー軍曹。確かスティンガーがあったはずだ。何個か持ってきて指示があるまで待機」

 

 『Yes,ser!』

 

 さらにマクミランはそのヘリとあの物体が仲間の可能性があると感じてマイクのスイッチを入れる。

 

 「ナイト1、周辺の警戒を厳としろ。そいつ以外がいる可能性がある。特にあの物体がいるかもしれんから気をつけろ」

 

 『roger. ナイト2にも伝えます』

 

 だがこの間にも正体不明のヘリは近づいていてマクミランは少し焦りを感じていた。

 

 だが、その時視界の端に点滅するランプが写りこんでマクミランはそのスイッチを入れる。

 

 『・・ら救出チームのサンダーソンです。誰か応答願います』

 

 その声の主はマクミランが望んでいた者達の一人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広場に着陸したヘリから降りてきた二人の少女は、事前にローチとの“お話”の中で聞いていた責任者であるマクミランを見つけるやいなや光るロープらしきもので縛ったのだ。

 

 「初めまして。時空管理局機動六課スターズ分隊隊長の高町なのはです」

 

 「同じく機動六課ライトニング隊隊長のフェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

 

 マクミランの前に立つ二人の少女は引き締めた顔で名前を告げる。

 

 対するマクミランは手首と体を縛られて地面に膝を付いて二人の少女を見上げる姿勢をされている。

 

 マクミランの周りにはM4A1やSCAR-Lを構えた隊員らが少女達に標準を合わせていた。

 

 「動くんじゃねぇぞお前ら!」

 

 その後ろでは赤よりも濃い紅色の服を着た子供にしか見ない子が周りにいるの兵士を怒鳴って牽制していた。

 

 さらにその後ろのヘリから体と腕、手首を縛られた救出メンバーが降りてきた。

 

 「司令!お怪我は!?」

 

 一人の隊員がマクミランを心配して近づこうとしたが、マクミランは「近づくな」と言って制した。

 

 「大丈夫だ、何もない」

 

 動きを止めた隊員を横目で見て、安心させるためか落ち着いた声で無事であることを告げる。

 

 「全員銃を下ろせ」

 

 だが隊員たちば少女達とマクミランを交互に見ているだけで誰も下ろそうとしない。

 

 「下ろせ!」

 

 しかし、マクミランが大きい声で命令すると一人、また一人と銃口を下げていく。

 

 「この老人に何か御用だろうかお嬢さん方。できれば理由を教えてもらえぬだろうか」

 

 銃口を下げていくのを横目で確認したマクミランは視線を前にいる二人の少女に向けて、出来るだけ刺激しないように話しかける。

 

 「あなたには色々と聞きたい事がありますので後ろのヘリに乗ってもらいます」

 

 白い服の少女が答える。

 

 「では、その間ここにいる部下はどうするのだね?」

 

 「我々が監視をしますが、あなたから武装を解除するように伝えてください。心配なさらずとも我々は手出しをしません」

 

 今度は黒い服の少女が答えるが、マクミランはその赤い瞳を睨みつけるように暫くみるが、その間少女は怯むことなく見つめ返してきた。

 

 「・・・」

 

 「・・・」

 

 「・・・分かった」

 

 「ありがとうございます」

 

 何とも言えない空気がマクミランと黒い服の少女を包んでいたが、何を思ったか先に折れたのはマクミランであり、黒い服の少女は頭を下げて礼をする。

 

 「プライス」

 

 「なんだ」

 

 近くにいたプライスにマクミランは、留守を頼むと言ったのに対してプライスはただYes,sirとだけ答えた。

 

 

 

 

 

 

 「もうよろしいですか?」

 

 頃合と見た黒い服の少女が声をかける。

 

 「あぁ、もう大丈夫だ」

 

 「では行きましょう」

 

 立とうとするマクミランを支えるようと手を差し出すが、マクミランは「結構」と断ってからさっと立つ。

 

 そして、マクミランは自分からヘリの方へと歩き出して乗り込む。

 

 が、乗り込んだところでマクミランは我が目を疑ってしまう。

 

 そこには床に体を縛られて仰向けにされているソープことジョン・ソープ・マクタビッシュと、ゴーストと呼ばれているサイモン・ライリーが寝ていた。

 

 その隣の椅子にはナイト3のパイロットの一人が片足を骨折したのだろうか、包帯でぐるぐる巻きにして固定している。

 

 その反対には四人の子供が座っていた。

 

 「飛びますんでどこか適当に座ってください!」

 

 操縦席らしき所から大きい声で言われマクミランはパイロットの隣に座りに座るとハッチがゆっくりと締まり始めたと同時にヘリは離陸を始めた。

 

 その時マクミランは締まりゆくハッチのから見える離れていく広場を見ていた。

 

 そして己が背負うモノの重さを感じた。

 

 (俺がやるべき事は付いてきてくれる者たちを守ること。この命に変えても・・・)

 

 声には出さなくてもマクミランは心に深く刻んだ。

 

 (あのご老人は何も言っていなかったが何かしらの目的があって我々を送ったのだろう。その目的も探さなくてはな)

 

 




恐らく次もマクミランが中心です。
ご感想お待ちしています。


話しがたいしてすすんでねぇ〜。囧rz
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