武装錬金の命名はまひろさん自身です。
武藤カズキと違って安心できるネーミングセンスに津村斗貴子も安堵しているけれど。私は勉強机に置かれた「蜻蛉切り2006」という候補に苦笑する。
裏山の工場で見つけた紙にありましたね。
「カズキにどう伝えるべきか…」
「ありのまま伝えるのが一番です。お坊っちゃまも昔は弱さを見せないようにしていましたが、今はすっかり楽しく世界に存在を広めています」
「それはそれでどうなんだ?」
「好きな人の幸せが一番なんです」
「……まあ、言いたいことは分かる」
「姑嫁戦争が勃発するのかは知りませんけど。結婚式のスピーチは私がやってあげましょう」
「ッ、馬鹿者!」
そんなやり取りを寄宿舎の廊下で続けていると楽しそうに話し合うお坊っちゃま達の声が広間の方から聞こえてきて、こっそりと広間を覗きます。
ゲームでもやっているのかと思っていたのに、広間で開催されていたのはお坊っちゃまと武藤カズキのファッションショーでした。
お坊っちゃまのセクシャルバイオレットな一張羅の胸部の編み目を解き、ムキムキした胸板をさらけ出す様にポージングを取っている武藤カズキと、大胆に背中の開いた上着を身につけたお坊っちゃまの二人を見つめる津村斗貴子の頬が引き吊っている。
「カッコいい服だろ!」
「まだまだキレが甘いぞ、武藤」
「オレはセンスを疑うかな」
「六舛君、言い方を考えようよ」
「カズキが遠いところに行っちまった…!」
そう言って話す五人の男子高校生。
「……糸色、あれはなんだ?」
「アホな男子高校生です」
「そうか。私は疲れた、部屋に帰る……」
「お送り致します」
なんだか疲れている津村斗貴子に付き添って彼女の部屋のある部屋まで向かう途中、お坊っちゃまが此方に視線を向けてきたので「直ぐに戻ります」とだけアイコンタクトを送っておきます。
しかし、彼氏のセクシャルバイオレットな格好を見ただけでビックリするのは津村斗貴子は意外と疲れが溜まっているのでしょうか。
「賛おねえちゃーん!斗貴子さーん!これ脱げなくなっちゃったよぉー!!」
「今すぐ参ります」
「私も手伝おう」
武装錬金の反乱ではなくお坊っちゃまというホムンクルスの存在を警戒して
「大丈夫かまひろおぉーーーっ!!」
私と津村斗貴子を追い越して、武藤カズキが走っていった次の瞬間、二人の大絶叫が聞こえてしました。そりゃあそうです、兄はセクシャルバイオレットな服、妹は魔法少女ですからね。
とてもユニークな再従兄弟です。