高祖母様に聞いたところ今は明治17年の初春(1月)の北海道であり、アイヌ一族と装飾品や香辛料の交易、山菜採り、狩猟関連の仕事等々の技術や人員を提携し、アイヌと和人の交流を深めているそうです。
「(高祖母様は東京に住んでいると伝わっているのですが、この後に東京にご帰宅なさるのでしょうか。それに、高祖母様のあのお腹の大きさを考えるに下手に船旅は出来ないのでしょうね)」
「賛、あの女の妊婦姿は何故怪しく見えるんだ」
「小柄な身体だからでは?」
この時代の女性は早く結婚するものだったと授業で習った記憶もありますけど。やはり素肌で歴史を感じるのは楽しいものです。
「賛さんとパピヨン君の前にも来ていたけど。貴女達はいつまで居る予定なのかしら」
「俺は火薬の使い手に会いに来た」
「それなら月岡さんか……いえ、あの子に会うのは難しいですね」
「あの子とは誰ですか?」
「二人も東京に居るんです」
成る程、確かに簡単には会えませんね。
「……獣の臭い?」
雪の中を掘り進んでいくクズリとしとりお婆様の動きの速さに驚きつつ、木々を組んで作った建物に辿り着いた私は唖然としてしまった。
ここは、山村ですよね。
その様な身体で来るのは大変だったのでは?
「ススハムさん、来ましたよ」
「……来なくて良いって言っ……成る程、今回はソイツらの相手をアタシにしてほしいって訳か。そこの生足丸出しの変態仮面、アンタの相手をしてあげる」
「ホウ。お前が俺の相手を?」
「お坊っちゃま、お気を付けて下さい」
ゆっくりと木々の中を歩いていくお坊っちゃまとアイヌの女性を見送り、高祖母様に視線を戻すと「此処に居る理由を聞きたいんですよね」と先程の女性が出てきた小屋に入っていく。
「まず私達が此処にいる理由は左之助さん……夫が面倒臭い相手に絡まれたのが原因です」
「面倒臭い、ですか?」
「……アレです」
すうっと高祖母様の指差す方に視線を向け、それはそれは見事な筋肉を持った二人の殿方が包帯をお互いの片手に巻き付けた状態で一歩も退かずに殴り合っていた。
「もっとぉ!!もっとぉ!!んモットォ!!良い良い良いィィッ!!!左之助さんの凄いのをォ!全部、私に教えてくれエェ!!!」
「いい加減に倒れやがれェ!!!」
そう言って殴り合う二人の殿方────。
「なんですかあれ?」
「ルーザールーズ。手拭いを離したら負けという海外発祥の喧嘩方法です、本気で殴り合ったら止まらないので仕方なく教えたら、ああなってしまって」
武藤カズキと津村斗貴子は、こうなる前に来ていたんですよね。なんだかズルくないですか?私もあんな風に殴り合いをしてみたいです。