高祖母様のスポーツ医学は現代のスポーツ医学と遜色無く、むしろ技術を取り込めば彼女の知識は百年は一気に時代を越えることが出来るスキルだと思う。
最近は吐血の回数も減ってきたお坊っちゃまも生き生きと変態さんや高祖父様と殴り合っている間、私はススハム様に手芸を習っています。
「ススハム様は狩りはしないのですか?」
「たまにするよ。アタシは女の仕事も男の仕事も関係なくやって、街で働いてる旦那のとこに弁当を届けたりするのが日課だし」
「まあ、アタシの友達を狙うヤツが多くて最近は山に入ってきた馬鹿な奴らを蹴り倒してるけどさ」
そう言うとススハム様は高祖母様に視線を向ける。高祖母様は穏やかに微笑み、自分のお腹を撫でている。やはり、どの時代でも糸色の女は狙われるんですね。
あー、いや、彼は違いますね。
「しかし、ススハム様のその走力はどの様に?」
「少なくともこの時代にアタシより速いヤツは一人もいないよ。アタシは
カムイ。
確か神様の事ですね。
「ススハムさんはウソは言っていませんよ。彼女は最高速度の機関車を追い抜く脚を持っていますから、木々の間を駆けたら捕まえることは絶対に無理ですし」
その走力と蹴りを加えた戦闘法を覚えれば私の強さも底上げすることは出来そうですが、今回は私ではなくお坊っちゃまのためにやって来ましたから、お坊っちゃまが強さを確信するまで終わりません。
「ハポ!しとりと蛇持ったぁーーっ!!」
「母ちゃん、へび!!」
「「「此方に持ってこないで!?」」」
おそらく冬眠していたであろう蛇を二人で捕まえた二人が駆け出してくるのが見えて、私達は慌てて蛇を逃がしてあげるように伝える。
「……かっこいいへびなのに」
「……ん、ばいばい」
小さな子供のプレゼントは大人の女性には触りにくいものもあるのです。あとしとりお婆様は、そのクズリに乗っているのは可愛すぎます。
しかし、改めて考えるとしとりお婆様を乗せるクズリの大きさも変ですね。直立して両手を広げると120cmはあるように見えるのですが、クズリという生き物はこういうものなのでしょうか。
「きのみあげる」
「オソマじゃないよ」
木の実を貰ってしまったけど。
この木の実はなんでしょうか。
そう思いながら手のひらで木の実を転がしているとき、ふとお坊っちゃまの気配と香りで後ろに振り返ると血を流すお坊っちゃまが佇んでいました。
「賛、血が足りん」
「えっ、やッ…んんッ……あ…ッ…」
首筋に噛みつかれて血を啜られ、高祖母様達も見ている前では絶対に破廉恥な事はしないで下さいとお願いしたのに…!必死にお坊っちゃまに抱きついて、甘く痺れる快感に身体を震わせながら私の血を飲んだお坊っちゃまをキッと睨み付けます。
「は、え?ほへえ?」
「景の教育に悪いだろうが!」
「ふざけたマスクしやがって!」
「そうだそうだ!破廉恥なのはダメだぞ!」
私は破廉恥じゃないのに、お坊っちゃまのせいで破廉恥みたいに扱われるじゃないですか!!