お坊っちゃまの強さが増すに連れて、私の強さも飛躍的にとは言いませんが強くなっている。高祖母様との生活は子供の襲撃も合わさり、先読みの技術に磨きが掛かり、ススハム様との生活は私が意識的に行う無駄な動きを無くすことに役立っています。
「お坊っちゃま、大丈夫ですか?」
「嗚呼、問題ないがダメージは大きい」
「高祖父様と岩息舞治様のパンチは常人の粋を越えたものですから、下手に攻撃を受けるのではなく受け流す技術を覚えるのはどうでしょう?」
「防御か。俺の武装錬金とは相性が悪いな」
確かに、お坊っちゃまの武装錬金「ニアデスハピネス」の広範囲に及ぶ爆破と防御の相性は良くありませんが、自分を守るという技術は必要なものです。
「賛、その服はどうにかならねえのか」
「高祖父様、何かご不満が?」
「ヒラヒラして特訓の時に気になる」
「ふむ、そこまでヒラヒラしているか?」
「お坊っちゃまはナチュラルに覗かないで下さい」
ベチンとお坊っちゃまのスカートを摘まんでいる手を叩き、高祖父様にも「この服は私の戦闘服でございます。この服はお坊っちゃまにお仕えすると決めたとき、最後まで身に付けると誓いました」と、そうお伝えする。
このメイド服こそ私の存在その物なのです。
糸色本家に帰る意志を持たない私が蛮竜の継承者だということを蔑むものもいるかも知れませんが、蛮竜を使いたければ奪い取れば良いのです。
「……お前の女も胆が据わってるな」
「世界で一番良い女だろう?」
「阿呆が。世界で一番は景だ」
「貴様こそ吠えるな!賛は宇宙一だ!」
「テメェは分かってねえな!景が宇宙で一番良い女なんだよ!!いくら玄孫の旦那だろうが、コイツだけは譲らねえぞ!」
「フン。俺は賛の良いところを百言える」
「オレだって千言えらあっ!」
この、この人達は何を堂々と言っているんですか。
高祖母様も顔を真っ赤に染めて俯いてしまって、ススハム様に至っては溜め息と呆れ顔を私にまで向けて、私は無関係……というわけではありませんけど。
この会話には関係ありませんよ!?と伝えるために小屋に戻り、なんとか弁明の言葉を高祖母様達に伝えているとクスクスと笑われてしまう。
「賛さん、愛されるのって嬉しいですね」
「……はい、とても嬉しくて幸せでございます」
高祖母様の言葉に頷き、顔を俯かせる。
その間も外で言い争うお坊っちゃまと高祖父様の二人にアイヌの殿方達も混ざり、誰の奥さまが一番の素敵な女性なのかを議論し始めてしまった。