「お先に参ります!」
「斗貴子さん達は後で来てくれ!」
ヘリコプターの扉を開けて、海上の中央に立つ禍々しいお城に向かって飛び降り、「彼」の時よりも多く飛び出してきた妖怪の群れを赤く染まった蛮竜で切り裂き、武藤カズキに蛮竜を放り投げ、龍にも見える妖怪の頭部を滑り、天守閣の廻縁に立つ奈落を睨み付ける。
「武藤君、横薙ぎに振るって!」
「一回だけだから我慢しろよオォーーッ!!!」
初代様の倒した大敵にして高祖母様と高祖父様の友人たる「彼」の肉体に巣食っていた忌むべき存在に向かって蛮竜とサンライトハートで巻き起こされた竜巻の風を受け、天守閣の屋根に転がり落ちる。
遠心力を加えた二重の極みを屋根に撃ち込み、不敵な笑みを浮かべて私を見上げる奈落に二度目の二重の極みを撃とうとした瞬間、巨大な手が私の視界を遮りながら私を弾き飛ばした。
「あの時の鬼ですか」
前回の戦いで倒した心を読む鬼。
しかし、今は何の意志も感じない悟心鬼に憐れみの視線を向け、天守閣の壁を破壊して現れた武藤カズキから蛮竜を受け取り、月牙を上に、刀身を下に向け、ゆっくりと奈落と悟心鬼に対して蛮竜を構える。
「奈落、漸く会えたな」
「彼の武装錬金と家族は返して貰います」
「この儂に大鉾のみで挑むつもりか」
ゆっくりと振り返った奈落の視線は蛮竜に向けているけれど。私と武藤カズキを脅威とは認識しておらず、あくまで蛮竜を使える者としか思っていない。
「巫女の放つ破魔の矢も無ければ忌まわしき犬の牙も無い。儂の身体を悉く粉砕したと言えど、その蛮竜だけで本当に勝てると思っているのか?」
「いいえ、私達は勝つのです」
「嗚呼、オレ達は絶対に勝つ」
「下らん。他の分身も連れて相手してやれ」
その言葉と同時に奈落は薄い球体状の何かに包み込まれ、上座に座って私達を見据える。何処までも不遜に自分が上だと疑っていない目付き────。
「武藤君、風と心を読む相手です。残りの方々の能力は完全に把握しきれていない現状を打破するため、少々荒っぽく行きますよ」
「OK。それなら得意分野だ!」
神楽と悟心鬼の前に現れた頬当てを身に付けた青年の薙ぐ爪を弾き、鏡を此方に向ける白い少女に青年を盾代わりにしながら応戦する。
何かしら、あの鏡にあるのでしょう。
「蛮竜ッ!!」
畳に蛮竜を突き立てて雷撃を放とうとした瞬間、雷撃が鏡の中に吸い込まれ、鏡の鏡面が私の後ろで戦う武藤カズキに向けられる。
「カズキ君、退きなさい!!」
「賛さッ?!」
「ぐッ、ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ッ!!?!?」
彼の学生服を掴んで引き寄せたその時、悟心鬼の爪と神楽の放つ旋風が背中を切り裂き、青白い雷撃が私の身体を貫き、悟心鬼と神楽の二人を消し飛ばす。
「ほま、賛さん、なんで!?」
「……ゲホッ…んぐッ…大丈夫、問題ありません。この程度の攻撃で膝をつけるほど私の身体は弱く無い。だって、この身体は世界最強の血を継いでいますからね」
そう言って私は笑みを浮かべて蛮竜を構える。
この外道は必ず蛮竜で滅する…!