新しい戦いが、始まる。
逃走した大敵と新たな出会い 序
奈落の逃走から二週間ほど経過した頃。
私とお坊っちゃまは長野家の敷地では扱いきれない機材や道具をマスター・バタフライ様の用意してくれた土地に移した直後、大人気映画の「ターミネーター」のごとく現れた三人組の男女と出会っています。リアルで見ると物凄く原理や転移の方法が気になります。
もしや私達も似たように過去に転移していたのでしょうか?と疑問に思いつつ、お坊っちゃまに視線を向けると、いつでも核鉄を使えるように股間部位に手を伸ばして、まだ其処に入れているんですか。
「……成功したか?」
「ソウヤの馬鹿、お尻痛いじゃないの!?」
「私達に挟まれながら格好付けても意味ないわよ?」
成る程、お笑いというやつですね!
「賛、また何か変な事を考えていないか?」
「面白い方々だと思いますよ」
「ほまれ?やった、成功だよ!」
私達の声と姿を見て喜ぶ小柄な少女は銀成高校の制服を身に付け、どこかお坊っちゃまに似ているように思える彼女の顔を覗き込んでみる。
少し跳ねた癖毛、匂いも似ている。
何よりお坊っちゃまと気配が似ている。
「お坊っちゃま、私の娘です」
「うえっ、ソッコーでバレた!?」
「流石は賛おば様だわ」
「まあ、賛おばさんだから」
未来の私はどういう立場なのかしら?と小首を傾げつつ、小柄な彼女の胸元に付けられた蝶のブローチをお坊っちゃまは静かに見つめて。
すぐに面白そうな事が起こると笑みを浮かべた。
「さて、漫才はここまでだ。お前達が何者で、この時代にやって来た理由も聞きたい。そして、俺達に分かりやすく自己紹介をしてみろ」
「……はあ、パパはいつでも不遜な態度ね。ソウヤとアンタもさっさと私から退いてくれる?コンクリートでお尻が痛いのよ」
そう言うと三人は埃や汚れを払って立ち上がり、ゆっくりと私達を見つめてくる。青に近いバッテン黒髪の少年、私とお坊っちゃまの娘、そして私に匂いと気配は似ているけど、雰囲気の違う女の子です。
「初めまして、私は秋葉倫。もう分かっているみたいだから言うけど。パパとママの娘よ、現在ピチピチの17歳!彼氏は此方のソウヤよ!」
「ウソはいけないわ。ソウヤ君の彼女は倫じゃなくて、私、火渡巧がソウヤ君の彼女ですからね?」
「「────で、そのソウヤが二股の男か」」
「…………ソウヤだ。二人とは付き合っていない」
スンと軽蔑の眼差しを向けると「やめてくれ。アンタにそんな目で見られたくない」と切実に懇願され、少しだけビックリしながらも彼の顔と匂いで気付く。
「……お坊っちゃま、津村さんの匂いがします」
「ホウ、ホホウ?成る程、面白くなりそうだ」
あっ、物凄く悪いことを考えている顔ですね。