秋葉倫、火渡巧、ソウヤの三人は物珍しそうにお坊っちゃまのラボを物色していましたが、やがて三人の視線は穂先の袋鞘で隠した蛮竜に向けられる。
しかし、蛮竜が三人に継承権を与えた気配はない。おそらく別の要因でこの時代に彼女達はやって来たのでしょう。まあ、その理由の大半はソウヤだろうけど。
……秋葉倫ですか。
糸色の名字を名乗ると糸色倫になりますね。
「倫さん達の目的は何ですか?」
「私達の目的は二人目のムーンフェイスを倒すこと。そして、ママに武装錬金を使って貰うためよ」
「……私に武装錬金を使えと?」
「えぇ、ママの武装錬金は叔父さんの武装錬金を除けば最強の一角に成り得る。なによりママの武装錬金を使えばアイツを倒す事も出来るわ」
あいつ?
離反組に与するムーンフェイスとは別人の事を言っているのは分かりますけど。私が武装錬金を使わなければいけないほど追い詰められるということでしょうか。
「そのアイツというのが現れれば考えます。あと、ソウヤ君と火渡さん……ああ、火渡さんはあの顔の怖い方が父親なのですね」
「顔が怖いは余計だわ。まあ、父さんは母さん達と結婚するときはかなり苦労したらしいから、今も憂さ晴らしにホムンクルスを滅却しているけど」
この子、
私の大切な妹とガスマスクの彼女に二股を掛けて、更には苦労したと宣っているということですか。今から制裁を加えに行ってやろうか。
「ちなみに二股じゃなくて重婚OKな国に移住して母さん達に押せ押せされちゃった挙げ句に結婚したから父さんは悪くないわ」
「余り聞きたくない話ですね」
「分かる。ほら、ソウヤも話したら?」
「……オレは良い、おばさんも迷惑だろうし」
「そんなことないわよ、ほら!」
「ソウヤ君はネガティブ過ぎるのよ」
……成る程、二人が同時に好きになるから凄い人なのかと考えましたけど。自己肯定感の低さ、口許を隠す癖、内向的で喋るのが苦手、中々に興味を唆る雰囲気です。
「賛、客室を使わせてやれ」
「すまない、パピヨ゛ッ」
「「同じ部屋でお願いしますね♪︎」」
見事な肘鉄を鳩尾に受けたソウヤはお坊っちゃまに案内されて連れていかれる。なにやら助けを求める視線を感じましたが、恋する乙女を止める方法はありません。
甘んじて受け入れなさい。
ふと彼の服から何かが落ちる。
「……フフ、仲良しじゃないですか」
武藤カズキと津村斗貴子に挟まれて笑うソウヤの写真に私は微笑んでしまう。あの関係を見るに、親戚関係は平和な様ですけど。
ああ、未来に楽しみが増えました。