「お坊っちゃま、何やら手紙を送っていましたが、奈落を取り逃がした直後なのですから、もしかしたら総攻撃を受ける可能性もあり得ますよ?」
「安心しろ。お前と俺がいれば千だろうと万だろうと恐れる事はない」
「頼もしいです、お坊っちゃま」
そう言ってアレキサンドリア・パワードの研究していたクローン技術を応用して造り出した人工ホムンクルスを「パピヨンパーク」内部に放逐するスイッチを勝手に押した倫さんの頭を左右から挟み、頭を拳でグリグリとしてあげる。
「倫さんはお馬鹿さまですか?」
「み゛い゛ぃーーーっ!!!」
「ソウヤ君、倫が嘶いているわ」
「いや、アレは悲鳴だろ。それよりもパピヨンにもう一度聞きたい。この敷地内に本当にムーンフェイスは存在するのか?」
「勿論だ。だが、どちらがお前達の求めるムーンフェイスなのかは俺でも見分けることは出来ない。おじいちゃんズも研究施設にいるはずだから、突入時に武藤達と共闘して捜索してみろ」
お坊っちゃまの言葉に押し黙るソウヤ君に「この時代のご両親とお話しするチャンスでもあります。それに、ソウヤ君は会っておいた方が良いですよ」と伝える。
家族写真を持っているということは任務の多さゆえに多忙になっているか。あるいは、武藤カズキと津村斗貴子のどちらかに危ないということ。
「(そんな未来は絶対に認めません)」
「賛、ひいひいおじいちゃんがリムジンを停めていただろう。それを使って武藤達を迎えに行ってやれ。お前達も行きたかったら好きにしろ。その分、此方で盛大に迎える準備はしておいてやろう!」
「……オレは残っているよ。倫と巧の二人が行ってくれ、それにパピヨンと二人っきりで話しておきたい事もあるからな」
「まさかソウヤってBLなの?」
「倫、貴女は疲れているのよ」
「オレはノーマルだ!」
二人の揶揄うような言葉に顔を真っ赤にして怒るソウヤ君の姿にお坊っちゃまは「やれやれ、男なら女のジョークを優しく受け止めるくらいしなければ」と呟きつつ、放逐された人工ホムンクルスを監視している。
「ごめんよぉ、ソウヤー!」
「私達が悪かったから拗ねないで」
同い年の幼馴染みと聞いていましたけど。
なんだかソウヤ君の末っ子の様な雰囲気に、こうお世話してあげたいという欲求が溢れてきます。でも、それよりもお坊っちゃまをお世話してあげたいです。
「では、お迎えに行って参ります」
「パークに着いたら戻ってこいよ」
「フフ、心配せずとも直ぐに戻ります」
私はお坊っちゃまの言葉に笑ってお応えする。