銀成高校の校門前。
「お迎えに上がりました。武藤君、津村さん」
私はリムジンを停車させ、キラキラした眼差しをリムジンに向ける武藤カズキとは対照的に頭を抱えている津村斗貴子の姿に、にっこりと微笑んで挨拶をします。
「リムジンだよ、斗貴子さん!リムジン!」
「分かっている、何度も言わないで。あと、糸色は私の困った姿を笑うな、ここでお前の臓物をブチ撒けさせても良いんだぞ」
「お受けしたい提案ですが、今回はお坊っちゃまとお客様のためにお見送り致します。さあ、此方にお乗りくださいませ」
後部座席のドアを開けると武藤カズキは警戒すること無く乗り込み、渋々と津村斗貴子も後部座席に乗り込んでいき、突然の出来事に唖然としているまひろさんや二人のお友達にチケットを差し出す。
「パピヨンパーク、本日開園でございます」
そう言うと私は運転席に乗り込み、シートベルトを装着してお坊っちゃま達の待つ銀成市の郊外に出来たパピヨンパークへと武藤カズキと津村斗貴子の二人をお連れしようとした瞬間、バルキリースカートの一本が顔の横に現れ、バックミラー越しに彼女の顔を見ます。
すごく怒っていますね。
「あのふざけた手紙はなんだ?」
「手紙の内容は存じ上げません。ただ、私とお坊っちゃまはお二人にとって有意義なひとときになると確信しております。それと此方をお渡ししておきます」
「核鉄……いや、マークが蝶だな」
「これが回収目的の特殊核鉄?」
「まだまだパーク内にあります」
リムジンを関係者用の駐車場に停車して「パピヨンパーク」という看板の見える正門に二人を案内し、ゆっくりと開門される扉に会わせて、スカートの裾を摘まんで二人に向かって一礼をする。
「ようこそ、パピヨンパークへ」
「御託は良い、さっさと案内しろ」
「私の役目は此処までになります。───では、武藤君と津村さんはゆっくりとデートを楽しみつつ、お坊っちゃまの元にいらして下さい」
私がそう言葉を言い終わると同時に地面は開口し、滑り台のように私を飲み込んでいく。メイド服のスカートが捲れないように押さえつつ、お坊っちゃまの待つモニタールームに着地し、首元のリボンと蝶のブローチの位置を直す。
ふと視線を感じて、そちらを見る。
何故か椅子に腰かけたまま腰を物凄く斜め下に向かって倒すお坊っちゃまに小首を傾げ、すぐに行動の意味を理解してスカートの裾を押さえます。
「……エッチなのはいけません」
「フッ、恥じらうメイドの姿だけで我慢してやる」
そういうのは、もう少しだけ待って下さい。