お坊っちゃま、武藤カズキ、津村斗貴子、そして全身を隠すコートを身につけた男性キャプテン・ブラボー、彼らと一緒に三日ぶりに銀成高校にやって来た私達は屋上でハンバーガーを食べている。
立って食べるのは少々はしたないですが。
「で、オレに話って言うのは」
「そう焦るなよ。ちょっと面白い話を聞いてね、折角だからお前にも教えてやろうと思っただけさ。賛、用意していたヤツを見せてやれ」
「畏まりました」
ハンバーガーを半分ほど食べ終わったところでお坊っちゃまの合図を受け、私はメイド服の中に隠していたホワイトボードとマジックペンを取り出す。
「ここ数年ほど銀成市で行方不明、怪死事件等の多発は御存知だと思います」
「お前達、LXEの仕業ではないのか」
「残念。ひいひいじいちゃんの作り上げたLXE内は人間を襲ってはいけないという規律と法則で統率され、ホムンクルス化した以外は普通の人間のように振る舞うことを徹底している」
「そして、銀成市にはLXE以外で生み出された人を喰らうホムンクルスがいる。お坊っちゃまの作った彼らとは違う、人間型ホムンクルスの集団でございます」
そう言って私はホワイトボードに銀成市と描いた円の中に「LXE」「ホムンクルス組」の名前を描き、敵対関係にあることを伝える。
「一つの街に二つの組織があるのか!?」
「流石は武藤カズキ、飲み込みが早いな。まあ、元を辿ればLXEに属していた一部のホムンクルスが自己陶酔・自己主張を始め、離反した組織だとひいひいじいちゃんは話していたが」
「結局、お前達の仕業じゃないか」
津村さんの怒りと殺意の籠った眼差しに、そうなるのも仕方ないですねとホワイトボードに三つ目の「錬金の戦士」を書き、三つ巴の関係だと分かりやすく武藤カズキに教えてあげる。
「相変わらず生真面目すぎるな、戦士・斗貴子。ところで、ソイツはお前達の仲間ということで良いのか?」
「いいや、知らないヤツだ」
「御存知の無い方です」
屋上の給水タンクの上に立つ全身を鎖状の何かで縛り付け、見えるのは口許と鋭い眼光、そして赤銅色の服の切れ端ぐらいでしょうか。
「斗貴子さん!」
「分かっている!武装」
「───錬金ッ!!」
刹那、巨大な
津村斗貴子と武藤カズキは驚愕し、給水タンクの上に立つ男を見上げる。お坊っちゃまは「へえ、あれが真の力ってヤツか」と楽しげに現状を見守っている。
「その武器はッ……まさか!?」
そして、キャプテン・ブラボーの冷静だった声色に僅かな驚愕と焦り、怒りが混ざり始める。大体の予想は出来ます、おそらく彼はキャプテン・ブラボーの仲間、近しい部下なのかも知れません。
「ホムンクルスはッ……殺すッ!!!」
「私達はホムンクルスではないぞ!?」
「斗貴子さん、危ない!」
横薙ぎの一閃が二人を襲い、直撃したと思った次の瞬間、荒々しく弾ける銀色の欠片が二人を守った。成る程、向こうの目的も分かってきましたね。彼らはキャプテン・ブラボーの武装錬金を探ろうとしている。
「下がっていろ。コイツは俺が相手をする」
その言葉は重く、辛さを纏っている。