連戦の疲労で呼吸の乱れ始めた倫さん達に視線を向け、武藤カズキにも視線を送ると私の意図を理解してくれた彼は武装錬金を解除して地面に座る。
「よし、一旦休憩だ!」
「皆様、緊急事態に備えて用意していた経口補水液とエナジーバーを食べて下さい。おそらくこの先がムーンフェイスの研究施設の最深部になります」
「ありがとう、賛さん」
「ママのご飯が食べたいわ」
「私だってお母さんのご飯が良いわよ」
「……何故、オレのは青汁味なんだ?」
何故ってソウヤ君は好きでしょう、青汁。武藤カズキもまひろさんも良く飲んでいますし、きっとソウヤ君も美味しいと気に入る筈です。
「武藤君、津村さんと連絡は取れますか?」
「電波が通じてないから携帯は繋がらないけど。近くにいるのは何となく分かるよ」
「それなら問題ないですね。では、もう少ししたら私達も進みましょう(私もお坊っちゃまの気配を近くに感じていますから、あと少しでムーンフェイスに辿り着ける)」
ふと私達のやり取りにビックリしたように両目を見開いている倫さん達に小首を傾げてしまう。いったい、何に彼女達は驚いているのだろう。
「カズキはお互いの気配が分かるのか?」
「オレと斗貴子さんは一心同体だからね」
「気配を察知するのはメイドの嗜みでございます」
そう言うと武藤カズキは「じゃあ、オレもメイドだったってこと!?」と言いますけど。貴方の筋肉でそ私のメイド服を着たら弾けますよ、ボタンが。
まあ、それはそれで見たいですけど。
「カズキ隊長、ここでオレは足止めするぜ!」
「え?ちょ、防人!?」
全速力のダッシュで先ほど私達の通ってきた道を爆速で戻り、何かと、おそらくムーンフェイスの解き放った追っ手の人工ホムンクルスと戦っているのでしょう。
私も戻って戦うべきなのか。
「行こう。みんな、アイツなら大丈夫だ」
「まあ、アイツなら余裕よね」
「そうね。余裕で帰ってくるわね」
もはや心配する必要性を持たないという事なのでしょうが、武藤カズキは「みんなが信頼するぐらい強いのか」とどこか楽しそうに笑みを浮かべる。
やはり、武藤カズキも戦闘狂いですか。
しかし、私の武装錬金を使ったりしたら危険な場所をサテライトキャノンで破壊してしまうため、今後とも使うことは少ない、辛うじて出せるのは奈落相手に動きを止める程度でしょうから
「賛さん、この壁の向こう側だ!」
「承知しました」
「「二重の極み!!」」
私の拳と武藤カズキの拳を同時に壁に撃ち込んだ刹那、凄まじい衝撃と亀裂が鉄製の壁を破壊し、怪しげな機械類を操作するムーンフェイスを見つけた。