「「「ム~ン!」」」
赤銅色の満月。
ブラッドムーンという名称を持つ皆既月食の姿に変貌したムーンフェイスのホムンクルスの身体能力を遥かに上回った高速のラッシュを蛮竜で受け止め、刀身を赤く染めて妖気の結界を断つ斬撃を繰り出す。
しかし、私のホムンクルスと妖怪は別種。何よりムーンフェイスの変身は妖怪変化ではなく、武装錬金によって引き起こしている身体能力の爆発的な向上であり、ハッキリと言えば私の分は悪いのです。
「蛮竜、連続で悪いですが、
全身に青白い雷撃を纏って蛮竜を構える。
武藤カズキと継承権を懸けて戦ったとき、明らかにいつもより身体能力の向上を感じていた。おそらく私と青白い雷撃の相性は他の継承者より良い。
「これはビックリだね!」「髪の毛が逆立って、まるでハリネズミみたいだね!」「コラコラ、レディに対して失礼だよ」「そうそう私達と戦うために糸色賛は本気になっているんだ」
「一度に喋らないで下さい!」
四人のムーンフェイスの完璧な連携攻撃を蛮竜で受け、往なして、切り返す。青白い雷撃を薄く身体の周りに纏っているため、無拍子の動きで反撃を行える。
視覚情報だけに頼るのではなく五感の全てを総動員してムーンフェイスの動きを先読みし、蛮竜と二重の極みを重ねて大鉾を振るい、一人目のムーンフェイスの頭と章印を増殖する前に破壊し、二人目のムーンフェイスに蛮竜を投げつけ、串刺しにしている間に無防備に突っ立っている三人目のムーンフェイスの満月頭を掴んで膝蹴りを叩き付け、蛮竜を呼び寄せて首を切り落とす。
「…ゲブォッ!!?…」
四人目のムーンフェイスを倒そうとしたその時、ベチャベチャと汲み上げる何かを吐き出してしまった。思わず口許を押さえたときに赤黒く染まった白手袋と胸元の布地に唖然とし、ムーンフェイスを見つめる。
「ム~ン。人間の動ける最高速度を越えた上に、あれだけ雷撃のエネルギーを受け続けていれば傷付いていた身体は悲鳴をあげるのは仕方無いことさ」
「……フフ、この程度の痛みなど大したものではありませんよ。今までお坊っちゃまが受けていた不治の病に比べてしまえば、一時的な苦痛など無に等しい!!!」
私の言葉に今度はムーンフェイスが唖然としたその瞬間、蛮竜を斜めに振り落として彼の身体を切り裂き、月牙の武装錬金を踏みつける。
「此方は私の勝ちです。リターンマッチもリベンジマッチもお受けいたしますが、次は生死を懸けた一対一のクリーンファイトをしましょうね」
「……君、本当に戦うのが好きだね」
呆れたように笑うムーンフェイスに一礼し、お坊っちゃま達が戦っている元の場所に向かって走る途中、何やら見覚えのある方をお見かけした。
あれは防人仁成君とキャプテン・ブラボーですね。
親子の対面を邪魔するのは止めておきましょう。