「遅くなりました。お坊っちゃま」
「着替えをする暇もなかったか」
「……少々手こずりました。やはり無限に増える敵というのは大変ですが、より強さを得るために人数を減らしていると考えれば対処法はあります」
そう言って私はムーンフェイスと戦っている武藤カズキに向かって蛮竜を放り投げ、そのタイミングで武藤カズキのサンライトハートの
「太陽ッッ…武藤カズキッ…!」
「行くぞ、ムーンフェイス!!」
赤銅色の満月が怒りを顕にした。
月を愛するムーンフェイスにとって、やはり武藤カズキという全てを照らし出す太陽は忌むべき相手なのでしょうが、太陽と月のどちらかが欠けてしまえば、その美しさは損なわれてしまう。
「月こそがッ、最も美しく!高貴で!気品に満ちている!その様に煌々と照らすばかりで忌まわしい
「確かに月は綺麗だけど、この皆が生きる
武藤カズキと戦っているムーンフェイスに聞こえるように、彼の意識を此方に向けるために、右手を緩やかに掲げ、声を高らかに告げる。
「高祖母様が言っていました。太陽が素晴らしいのは塵さえも輝かせることだ。ムーンフェイス、月という闇夜を照らす魔力に取り憑かれた貴方ももう一度太陽の美しさを思い出しなさい」
「貴様ッ!」
「やはり、貴方はムーンフェイス様を真似て生まれただけのアナザータイプですね。本物のムーンフェイス様であれば月の美しさを最も伝えるために皆既月食ではなく、すべての月相に別れて戦っていましたよ」
「エネルギー全開ッッ!!!!」
僅かにムーンフェイスの意識が私に向いた一瞬、その一瞬を見逃すことなく武藤カズキは蛮竜を投擲し、ムーンフェイスの身体を更に上空へと突き上げ、その後を追うようにサンライトハートのエネルギーを放出し、天井の岩肌を突き破り、突き進んでいく。
「賛、中々に良い言葉だったぞ」
「高祖母様のお言葉ですので」
サンライトハートの放出していたエネルギーの余波で粉々に崩れ去った天井の更にその上、太陽と共に青空に舞う武藤カズキの姿に微笑んでしまう。
やはり、太陽は良いものです。
「賛は月と太陽、どちらが好きだ」
「どちらも好きでございますよ」
そう私はお坊っちゃまの質問にお答えする。