私とお坊っちゃまと倫さんの歓迎会を開くという祖父母と両親と蒼月一家に押されるがまま気がつけばお酒まで出されていました。
チラリとお坊っちゃまを見れば日本酒を平然と飲んでいる。ホムンクルスになったのは成人を迎える前でしたが、大人になったら一緒に飲もうと約束してくれたのに裏切るなんて酷いです。
「とらァ!!」
「わしは悪くねえェ!!」
「ママ、うしおととらだわ」
「潮おじ様ととら様ですね。お願いしたらサインを貰えると思うから行ってみるのもオススメですよ、潮おじ様は画伯でもありますから」
独特な絵柄と一筆に魂を乗せた迫力と言い知れない存在感を放つ絵画は海外で人気を誇っているそうです。私には絵のセンスが無いので分かりかねますが。
「賛、お前も飲むか?」
「いえ、未成年ですから」
「俺は成人したから飲めるがな」
「一緒に飲もうと言ったくせに」
「…………すまない。忘れていた」
まあ、そんなことだろうと思いましたけど。
お坊っちゃまはあの不治の病を治すためにホムンクルスの研究に没頭していましたから仕方ないことですね。ただ、お酒の飲みすぎにはご注意して下さい。
「パパってママに弱いわよね」
「倫、男はみんな女に弱いのよ」
「でもソウヤはツンツンしてるよ?」
「それはシャイなだけだからいいのよ。でも、そのソウヤという男の子にも会わせてもらえるかしら?私がお婆様として見定めてあげる」
「薮蛇ってこういうことなのね」
そういうことでございます。
「賛、貴女も変態の側ではなく此方に」
「いえ、私はあぁぁぁ……」
「母の優しさを無碍にするのはダメよ」
母の優しさならお坊っちゃまとの結婚を許してほしいのですが?と言いたい気持ちを押さえながら、お母様の髪の毛を手足に巻き付けられ、彼女の膝の上に乗せられるという羞恥を味わう。
もう、あと数日で私も成人するんですよ?
「母は貴女がお婆ちゃんになっても母のままよ。なので、あの変態と結婚した場合、必然的に私達との約束を違えた蝶野家の男を息子にすることになるのが、とても、えぇ、そう、とても、とてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとても許せない」
お母様は感情の起伏が激しいです。
「パパ、サイン貰えたわ!」
「そうか。良かったな、賛にも見せてやれ」
「うん!ママ、見てえぇぇぇ!!?」
「倫も不埒な二股男とお付き合いしているそうね」
「話したの!?」
「おそらく妖怪からの証言ですね」
あとでお父様に聞かなければいけないことが増えてしまいました。しかし、まあ、私も火渡という未来で二股する男は奇に止めるように言いたいですが、ウチの家系って良くも悪くも一途ですから。