「おはよう、賛、奇」
「おはようございます。お父様。今日も法力を高める修行をしていたのですか?」
「おはよう、お父様」
「まあね。僕に出きることは彼女を支えて守り、君達の安全を見守り続けることだけ、なにより娘の門出を祝うのは父親として当然の事だ」
「あなた」
「ハァイ!」
さっきまでカッコいい事を言っていたのに、お母様に呼ばれた瞬間、お父様は上擦った甲高い声でお母様の髪の毛に連れ込まれていく。まあ、お二人はいつも仲良しなのでスキンシップですね。
ジッとお父様を見上げて、こんこんと話を進めるお母様でしたが嬉しそうに自分を見て笑うお父様に怒気は静まり、モニョモニョと詰め寄せる覇気も薄れ、渋々とお父様と一緒に母屋に戻っていきました。
両親のイチャラブを見るのは慣れました。
奇としては恥ずかしいのか。私と一緒にお婆様と稽古していた彼女は踞って「娘の前でトキメキを感じないでよ、お母様のばかぁ…!」と赤面している。
まあ、ウチの家系って誰かを好きになったらずっと好きになることが多いですからね。お婆様もお母様も歳を重ねる毎に愛が一層重くなっています。
斯く言う私も愛は重い方です。
「何かあったのか?」
「お坊っちゃま、愛は深い方が良いですか?」
「愛に大小優劣は無いが、俺の愛は全てお前に注ぐつもりだ。安心しろ……ところで、何故ソイツは床に倒れているんだ」
「これは、愛の過剰摂取かと」
「大変だな、お前の家系は」
そういうものなのでは?と思いながら、お坊っちゃまの手を取って一緒に渡り廊下を歩いていると、倫さんが私達の事を見つけて赤面し、ワナワナと震えたかと思った次の瞬間、倫さんは「私は何も見てないから!!!」と叫んで何処かに言ってしまった。
多感な時期なのですね。
「我が娘ながら免疫力が足りんな」
「まあ、ライバルは多そうですからね」
「確かにソウヤは武藤に似て無自覚に善意を振り撒くかも知れんが、あの人見知りだ。好意を寄せられても逃げるんじゃないか?」
それは、あり得そうだなと思ってしまいましたが倫さんと巧さんの責任は取って貰わなければいけないので、いずれ此方に来て貰う予定です。
「(又従姉妹になりますから結婚は可能です。流石のお母様も孫娘の二人が同じ人を好きになったと聞けばビックリするでしょうけど)」
まあ、そのときはそのときです。
「……お前、また何か考えてないか?」
「ソウヤ君の行く末を考えていました」
「嗚呼、確かに此処に来ることになるのか」
きっと、とても大変な思いをするんでしょうね。