銀成高校の校門を通り抜けると白髪の髪を僅かに逆立てた上にヘアバンドを巻き、タンクトップ、上着を肩掛けに縛った独特のファッションセンスの男性が腕を組んで高校の看板に背中を預けて佇んでいた。
「ヒャッホウ!挨拶は済んだかよ」
ヒャッホウ?どこかの挨拶でしょうか?
「監視……ってわけじゃなさそうだね」
「オウ、オレはお前達の護衛の金城だ」
「へえ、じゃあ核鉄持ちか」
「いんや、生憎と核鉄は貰ってねえが戦闘に関しちゃマスターにお墨付きを貰っている。パピヨン、テメェの頭脳を狙って離反組が動き始めた。精々その嬢ちゃんを守れるように気張れよ」
そう言うと彼は私達に手を振り、下校する生徒に紛れて反対方向に歩き出していく。おそらくお坊っちゃまを狙っているというLXE離反組の作った組織の追手に、わざと正体を晒して戦闘を行うつもりなのだろう。
お坊っちゃまは「フン。言われるまでもない」と金城さんに背中を向け、駅方面へと歩き出す。追跡や此方に意識を向ける気配は感じない。
本当に彼の方に向かったでしょうね。
「賛、今夜寄宿舎に向かう」
「畏まりました。しかし、なぜ?」
「決まっている。離反組の思考は単純、さっき全身コートに負けて奪われた核鉄を取り返すため、新しく核鉄を持つホムンクルスを送り込むからだ」
その言葉に私は納得する。
確かに、マキシと呼ばれていた錬金の戦士の武装錬金は強力でした。あの核鉄を使えば強力な武装錬金を作り出せる可能性は大いにあり得ます。
核鉄。私は使用することは無いでしょうが、ホムンクルスと戦うことになるのならば、あの家宝を呼び起こす必要性がありますね。
まあ、私が呼べば来るとは思うけど。如何せん大きさが有りすぎますし、お坊っちゃまに巨大な武器を振るっているところを見られるのは少々恥ずかしい。
「しかし、夜まで暇だな」
「でしたらお散歩しましょう。お坊っちゃまも傷付いた身体を労るためにも穏やかに休める場所は必要になりますし。それに、私はお坊っちゃまとデートと言うものをしてみたいです」
「フッ。蝶・サイコーなデートをしてやろう!」
お坊っちゃまの言葉に嬉しくなってしまいます。しかし、ああ、お仕えするべきお坊っちゃまにデートを望んでしまうなんて私はとても悪いメイドです。
でも、定番のカフェ巡りでしょうか?それとも身体もホムンクルスになったことで激しい運動も出来るようになりましたから、遊園地や水族館に行ったり?ああ、私は欲しいものが多くて欲にまみれた悪いメイドです。