マスター・バタフライ様とドクトル・バタフライ様、お坊っちゃまの三人の蝶・天才科学者の三人に私の身体に起こった謎の白髪化現象の理由を探るために身体検査をやってくれたというのに原因は不明のままです。
「賛、本当に心当たりはないのか?」
「ありません」
私は普通の人間の筈です。
確かに私より前の糸色本家の人間に妖怪など異なる種族と結婚している人も居たかも知れませんが、少なくともお母様とお父様は人間であり、私は治癒の能力を受け継いだ従姉妹の方々とは違います。
「賛君、私の仮説は危機的状況を打破できる蛮竜の中に眠っていた能力の一部を使用するために君の肉体を一時的に何かしら能力を付与したと考えている」
「息子の仮説とは違うが、君の母は法力だけでは説明できない髪の毛を自由自在に操る能力を有しているね。あの大戦の時、彼女は何かをしていたか」
マスター・バタフライ様の話す仮説なら私の身体に起こった変化は蛮竜によって生じる妖怪変化に基づいた一種の肉体の強化。
───ですが、ドクトル・バタフライ様の話を信じるならお母様は妖怪の血を継ぎ、私は四半妖ということになります。
「(それこそあり得ませんね)」
……ただ、夢幻の白夜の言葉も気になる。
奈落の考えで私は白髪に変わったと考えると何か大切な物を見落としてしまっているように感じる。でも、それを突き止めることが私には出来ない。
「賛、もう着替えて寝室に行っていろ。俺はまだおじいちゃんズとお前の身体に起こった現象を突き止める話を続ける」
「分かりました」
「ああ、あと鍵は開けておけ」
「……お坊っちゃま、エッチなのはいけません」
いくら恋人とはいえ節度ある交際を心掛けるとお父様と約束していたのは嘘だったのですか?と問えば「お前との約束は守る。だが、それ以外のヤツと約束を守るつもりはない」と言い切った。
その言葉は嬉しいですけど。
約束を破るのはダメだと思います。
「若者の恋愛事情は爛れているのかね?」
「父よ、あれは孫の暴走だよ」
ほら、お二人も困惑していますよ。
そうお坊っちゃまに訴えるものの、私の身体検査で綴った資料を読み続けている。やはり、元々は研究を楽しんでいる人でしたから、こういう熱中できるものに出会えるのは嬉しいのでしょう。
「(しかし、私の身体の研究に熱中されるのは少しだけ恥ずかしいです。……でも、あの白髪化の原因が分かるまで私も我慢しなければ……)」
それまでに私も蛮竜の真の力を引き出せるように鍛え直さなければいけませんね。