お坊っちゃまに瘴気の毒を吸い出していただき、身体の不調や吐血する事は無くなったものの、その代わりに貧血気味になってしまいました。
もう少しだけ加減を覚えて欲しいです。
まあ、私の身体に奈落の残滓が残っているという現状を嫌っていたのは知っていますけど。お坊っちゃまの私を独占しようとする愛の重さ。
実を言うと、とても心地好いのです。
「賛、ひとりで何処へ行くつもりだ」
「津村さんに用事でございます。錬金戦団と情報共有する役目を担っているのは彼女ですし、お坊っちゃまも男性と会うより女性の津村さんなら大丈夫ですよね?」
「ダメだ。女といえど危険な存在もいる。奈落が化けている可能性も考えて俺も同行しよう」
そう言うとお坊っちゃまは私の手に黒色火薬の糸を巻き付け、私を束縛するように手を握り締めてきた。
最近、お坊っちゃまの独占欲の高まりと、お坊っちゃまに所有物として扱われる謎の多幸感に身体がゾクゾクとしてしまいます。
やはり、お坊っちゃまは素敵です♪︎
「お坊っちゃま、お坊っちゃまはアレです。束縛系男子というものなのですね」
「そこまで酷くはないだろう?」
もしや無自覚なのかしら?と小首を傾げつつ、蛮竜を持ってお坊っちゃまと一緒に寄宿舎にいる津村斗貴子と武藤カズキに奈落の傀儡と戦ったこと。日本各地の妖怪を狙っていることを伝えなくてはいけない。
「賛に負担を掛けているのは分かっている。だが、俺以外にお前の身体を傷付けるヤツがいるというのはムカつくのだ」
「……傷付けるのは良くないのでは?」
「マーキングは必要だ」
まるで動物のように嘯くお坊っちゃまに戸惑いつつ、お坊っちゃまの手を繋いだまま歩いていると視線を感じ、真上を見上げると武藤カズキと津村斗貴子が、あの奈落の城で戦った頬当ての妖怪と戦っていた。
「お坊っちゃま、私達も…!」
「いや、今回は見守ることに徹しておけ。核鉄の治癒能力を借りている上、瘴気の毒を吸い出しただけで完全回復には至っていない」
「……分かりました」
チラリと武藤カズキと津村斗貴子の二人を見上げ、両手が鎌のようになった小型の妖怪が武藤カズキに襲い掛かるところに蛮竜を放り投げる。
あとで戻ってくるでしょうが。
今は武藤カズキに力を貸してあげてください。……しかし、再従兄弟の武藤カズキに手助けするだけでお坊っちゃまはふまんそうにしている。やはり自分の好敵手を手助けされるのは嫌なのでしょうか。
流石に、そこまで嫉妬深くはありませんね。