ドクトル・バタフライ様とマスター・バタフライ様とお坊っちゃまによる三極蝶の共同研究をお手伝いしたいものの、私では三人の知識や技術には及ばない。
そのため私は三人に軽食や眠気覚ましのコーヒーを用意することしか出来ません。
「(ちょっぴり寂しいです)」
そう思っていても声に出すことはせず、携帯電話に届いたメールの整理を行っていたとき、ふと津村斗貴子からのメールが届いていることに気付く。
『ヴィクター・パワードの要求だ。お前に会いたいと言っている。また、各国の大戦士長が旧世代の錬金戦団の不始末と悪行悪徳の清算を行うため、百年続く糸色本家の因縁を断っておきたいそうだ』
───要するに見掛けだけの謝罪ですね。
各国の大戦士長だろうと知りませんよ、貴方達の中では偉いんでしょうけど。此方の記録には鮮明に貴方達の行ってきた戦士の素質を持つ子供の強制的な勧誘や誘拐、私達が子供だった頃に襲撃してきた過去は消えない。
「(……ヴィクター様の要求はお受けします。清算に関しては私ではなく糸色本家にご連絡をお願い致します、そうでなければ謝罪に意味はございません)」
津村斗貴子にそうメールを送信する。
ワクワクしながら返信を待っていたその時、またしても蝶野家の正門を開けて入ってきた「彼」に帰るように伝えようとした瞬間、金色と銀色と黒色の蝶が私の周りを舞い、白髪の「彼」を攻撃し始めた。
「少しチャフの結界を緩めるとこうだ。賛君、まだ完治していない君は下がっていなさい。息子よ、あの雅も粋も理解していない男に
「パピヨン、君も見ておきなさい。この銀翼の魔蝶と謳われたマスター・バタフライ、そう君の曾々お爺様の戦闘法を特等席でね」
「羽虫共が、儂の行く手を阻むか」
「何を言うかと思えば当然だろう。自分の子に寄生し、最も動きやすく人間の結束の緩んだ好機を虎視眈々と狙っていた君の下らない野望を止めるのは私達だ」
ドクトル・バタフライ様とは違う銀色の羽を羽撃かせ、素早く舞い上がったマスター・バタフライ様のスーツは脱皮するように脱げ、お坊っちゃまと同じ蝶・セクシャルバイオレットでハイセンスなドレススーツに変わった。
「ホウ。流石は私の息子、実にエレガントだ」
「ひいひいおじいちゃん、蝶・サイコーな脱皮だ」
「美しく舞う姿、眼福物です」
私達の賛辞にマスター・バタフライ様は当然だと云わんばかりに羽を震わせ、奈落は「お前らの目は腐っているのか?」と真剣に聞いてきました。
いえ、これは貴方がおかしいだけです。