「私の武装錬金『アリス・イン・ワンダーランド』は半径2km圏内の全てを感知し、自動的に防御を行い、攻撃を行うため様にプログラムを施している」
「この奈落を塵で倒せると思っているのか」
「チャフは塵ではなく鉄片、その鉄の一欠片は億万の如く咲き誇る満開の櫻木、その鉄の花弁はお前の血肉を浴びて鮮やかに狂い咲く!」
ポエム的に聴こえるマスター・バタフライ様の宣言と共に奈落を取り巻いていたチャフの武装錬金「アリス・イン・ワンダーランド」は煌びやかに太陽の光を反射し、矢継ぎ早に奈落の身体を切り裂いていく。
しかし、肉体を刻まれて尚も奈落は不敵な笑みを浮かべて身体の形状を変化させ、両手の指を触手のように作り替えてマスター・バタフライ様の身体を突き刺そうとする。
「愚かな、私の能力は説明した筈だ」
────ですが、奈落の両手は降り注ぎ、舞い上がる鉄片の花弁によって無数の肉塊に細切れにされる。圧倒的な質量と物量によって攻撃を繰り出すマスター・バタフライ様に冷や汗を流してしまう。
おそらく蛮竜の熱風を以てしても全ての鉄片を吹き飛ばすことは出来ず、私もあの様に全身を切り刻まれることは簡単に想像できます。
「愚かなのは貴様だ。この奈落が貴様ごとき存在に何故容易く肉を斬らせたと思う」
「何を言っている?────貴様ッ、パピヨン!Ladyを連れて逃げたまえ!奈落の肉塊は君達の周りに集まろうとしている!」
「ニアデスハピネス!」
マスター・バタフライ様の叫び声が聴こえると同時にお坊っちゃまの黒色火薬の蝶が爆炎を起こし、私を抱き締めてお坊っちゃまがチャフの霧の中を突き進んでいく。
「賛、気付かなかったのか」
「……気配を感じませんでした」
マスター・バタフライ様と戦っていた奈落には大妖怪としての威圧感や圧迫感は感じていたのに、私の周りに集まっていた触手の欠片、全く見えなかった。
何かしら仕掛けがあるのだろうか。
蝶野家を取り巻く銀色と紫色の竜巻に金色も混ざり、ドクトル・バタフライ様も二人の戦闘に加わって激しい攻防を繰り広げながら空中に舞い上がり、蜘蛛のような、蠍のような、羽の生えた化物が現れる。
あれが、奈落の妖怪としての姿────。
「おじいちゃんズは大丈夫だ。だが、やはり奈落の狙いは賛の予想した通りだった。ヤツが蛮竜に執着する理由は分かるはずだ」
「それまで撃退と情報収集ですね」
「ああ、問題は奈落の人に化ける能力だ」
お坊っちゃまに化けたら直ぐに分かるんですが。