「着いてきますよ」
「分かっている。攻撃してくれば迎え撃つ」
家屋の屋根を蹴って私達の事を追い掛けてくる真っ白な少年を警戒しながらお坊っちゃまに運んで貰っていると
しかし、それでも追い付いてくる少年の速さは私の最高走力より素早く蛮竜を振るって戦うとなれば大怪我を覚悟しなければいけませんね。
「見つけた、武藤君!津村さん!」
ゴツゴツとした亀甲の様な片腕を持つ巨人みたいな男に襲われ、無数の触手に拘束される二人に向かって叫び、お坊っちゃまの腕の中を滑るように落ち、蛮竜の重さを利用して男の触手を叩き切り落とし、二人を触手から引きずり出して飛び退く。
「斗貴子さん、大丈夫!?」
「グッ、大丈夫だ。糸色、助かった」
「俺の賛に感謝しろよ、お前達」
お坊っちゃまは緩やかに着地した。
ゆっくりと私達の側に立って目の前に立つ巨大な男を見つめる。ホムンクルス調整体の様な人工的に産み出された生体兵器にも見えますが、むしろ私には継ぎ接ぎだらけの人造人間「フランケンシュタイン」に見える。
彼を警戒していたそのとき、ボコボコと私の切り落とした部分が膨れ上がり、触手と瘴気を纏った結晶の塊が装甲の如く彼の右手を覆う。
「金剛石の腕…?」
「金剛……」
まさか、そんな、あれは────。
「槍破…!!」
「みんな、地面に伏せて下さい!!」
私が蛮竜を投げ捨てて三人を地面に押し倒した瞬間、禍々しい瘴気を宿した金剛石の槍が私の背中を切り裂き、その衝撃と痛みに血反吐を吐き、三人から離れたところに吹き飛ばされる。
「ガハッ!?……ゴホッ、ゲボォ…ッッ」
やっぱり、アレは金剛槍破だった。
お婆様の得意とした蛮竜の奥義の一つ。未だに私が振るうことも許されていない、あらゆるものを貫く金剛石の技を、あの男が何故撃てる…!?
「何故、俺を庇った!?ホムンクルスの俺ならばお前が庇わずとも対処することは出来た!何故、また、お前に守られて…お前が負けることにッ…」
「……負けておりません…私は、負けていない…」
後悔の念を宿す表情で私を見下ろすお坊っちゃまの身体に抱きつき、ゆっくりと背中に突き刺さった金剛石の槍を引き抜き、蛮竜を引き寄せる。
お婆様ならいざ知らず、会ったことも話したこともない目の前にいる男に奥義の一つを容易く使われるなどむかっ腹が収まりません!!!
「蛮竜、勝つために今一度です!!」
ドクンッ…!
ゆっくりと私の黒かった髪の毛が白く染まり、背中の傷が塞がる感覚を味わい、傷付いて破れてしまったメイド服を瞬時に綺麗な物に着替える。
「さあ、ここからが本番です!」
そう言って私は大鉾の矛先を男に突きつける。