私の振るう蛮竜と呼応するようにサンライトハートの放出するエネルギーは激しく迸り、魍魎丸の纏った鎧甲を貫き、僅かに──けれど。確実に彼の身体に罅割れを起こし、ダメージを与えている。
「武藤君!」
「分かってる!サンライトスラッシャー!!」
突進と加速を同時に行って繰り出された一撃が魍魎丸の胴体を破壊し、今度こそ終わりに見えたその時だった。恐ろしく全身を刺すような威圧感に私は本能的に飛び退き、蛮竜の柄を強く握り締めていた。
さっきまで受動的に攻撃していた筈の魍魎丸が自分自身の手足を確かめるような仕草を繰り返したかと思えば静かに真っ白な少年を見上げた。
「わしの片割れが目覚めたか」
「片割れだと?」
「そうだ。一体、何が目的で奈落はわしらを甦らせたのかは知らんが今度は二人分の心臓をわしらは持って産み出された」
「喋りすぎだ、白童子。わしを一度吸収して二度目の生を与えたかと思えば、あの男の振るっていた蛮竜を持つ女に固執しおって」
「お前もそう思うか」
彼らは奈落の目的を知っているのかと思い、交渉するべきかとお坊っちゃまに視線を向けた刹那、金剛槍破が私の方に放たれ、危うく身体中に金剛石の槍を受けて粉々に身体を打ち砕かれるところでした。
やはり、姑息な手段を使いますね。
「賛、そろそろ俺もコイツも加勢する」
「お願いします。あの魍魎丸という妖怪は蛮竜でなければ倒せそうにありません。なによりお婆様の技を好き勝手に使う相手を野放しには出来ません」
「成る程、お前らしい答えだ」
そう言うとお坊っちゃまは白童子と呼ばれた真っ白な少年に標的を定め、津村斗貴子もお坊っちゃまと同じ白童子と相対する。
「わしと戦うつもりか。面白い」
「白童子、薙刀もなしでか?」
「何、コイツら程度に武器を使う必要はない」
白童子がそう言い放ったその時、お坊っちゃまと津村斗貴子の二人の表情がとんでもない怒りに染まり、四本の処刑鎌と火薬の蝶が彼の身体を破壊していく。
「無駄だ。わしらを殺すことは出来ん」
「斗貴子さん!後ろに飛んで!」
「バルキリースカートッ!!」
武藤カズキの叫び声に反応して津村斗貴子が素早く後ろに飛んだ瞬間、彼女の立っていた場所に瘴気の柱が間欠泉のごとく吹き上がり、私達は木々を枯らす毒気に口許を隠して二人を見つめる。
このままではジリ貧になりますね。
「毒島、テメーの出番だ」
「はい。半径3m圏内へ敵性対象の発する瘴気の毒を中和する酵素を散布します」
「そう言うわけだ。消し炭になりやがれ!!」
「「「どういうわけだぁ!?」」」
「火渡戦士長…!」
聞き覚えのある声に空を見上げるとガスマスクを被った女の子を引き連れた火渡戦士長が火炎を纏って地面に着弾し、私は三人を抱き上げて蛮竜の張る結界と熱風を同時に放って業火を辛うじて退ける。
あの人、私達も狙いましたね。