銀成高校の屋上に着陸したヘリコプターを見つけ、お坊っちゃまの姿を探しながら傍に着地するなり、私に向かって攻撃を繰り出してきた三人に驚く。
「何のつもりです、これは?」
「惚けるなッ、お前の正体は分かっている!」
唐突に叫ぶ中村剛太の言葉に武藤カズキと津村斗貴子も少し不安の混じった顔で私を見つめている。おそらく何かを彼に言われたんでしょうね。
「お前は奈落の化けた偽者だ!オレは奈落が土くれを人の形に作り替えて操り始めるところをあの城で見たんだ。その中には糸色賛、お前もいた!!」
……この子、バカなのかしら?
私は奈落の傀儡の情報を錬金戦団に伝達した張本人だというのに間違えているのですから、いえ、そもそも彼と話した事もごく僅かでしたね。
チラリとお坊っちゃまに視線を向ける。
「まあ、待て。賛の真偽は俺が確かめよう」
「蝶野、なにをするつもりだ?」
武藤カズキの質問にお坊っちゃまは答えることなく私の傍に近付き、何をするのかと不安になりながらも蛮竜を手放してお坊っちゃまのやることを受け入れる。
────そう思っていたその時でした。
むにゅっと胸に彼の手が触れた。
「ふむ、この揉み心地……ほんもぶべあっ?!!」
「え、エッチなのはいけませんっ!!!」
「確認方法はアレだが本物だな。剛太もカズキも武装錬金を解除しておけ、あとパピヨンは暫く糸色に近付くな。全くエロスはいかんとアレほど言っただろう」
私の振り抜いたビンタを受けて白目を剥き、気を失っているお坊っちゃまを今回ばかりは放置する。
津村斗貴子は自分の胸を守るように両腕で抱き締める私に同情の眼差しを向けつつ、残っている武藤カズキと中村剛太にそう言い残して私と一緒に屋上を出て、階段を降る途中で泣きそうになってしまう。
「あ、あんまりです、人前であんな…」
「糸色、その気持ちは分かる。だから、さっさとあの変態を捨てろと言ったんだ。……しかし、問題はカズキだ。アイツはパピヨンに対抗心を持っているからな…」
「……つまり、同じことをしようと?」
「可能性はある」
そう津村斗貴子と話していると気配を感じ、階段の上を見上げると武藤カズキとお坊っちゃまが扉を通り抜ける順番を取り合っていた。
これは、奈落の目的を話す事は出来ませんね。
「失礼します!」
「うわっ、と!?」
津村斗貴子を抱き上げて階段を飛び降りるように駆け抜けていく。そして、当然のごとく追いかけてきた三人を振り払うように走る速度を上げつつ、蛮竜を引き寄せるために窓の外に飛び出す。