「斗貴子さぁーーーん!!!」
「せんぱぁーーーいっ!!!」
「やはり一度では分からん!」
「剛太まで加わるな、馬鹿者!?」
ドタドタと校庭まで追いかけてきた三人の背後を突き抜けるように蛮竜が飛来し、そのまま熱風を利用して飛び立とうとした瞬間、お坊っちゃまの武装錬金「ニアデスハピネス」が私達の行く手を阻む。
私の右足を黒色火薬のロープを縛り付け、動きを封じると同時に飛び立つ事を出来なくする。くっ、このままでは私の生涯の好敵手の津村斗貴子が悪漢の毒牙に襲われてしまいます!
「お坊っちゃま、お止め下さい!破廉恥です!」
「パピヨン、やはりお前は
「フッ、男には譲れぬものがあるのだ」
「「その通りだ!」」
そう言うとまるで何かに取り憑かれたように私と津村斗貴子に飛び掛かってきた武藤カズキと中村剛太の二人を蛮竜の刀身で受け止め、グンッ!と押し返す。
しかし、このままでは腕力の差で押し負ける。
「糸色、爆風に少し耐えてくれ!」
「────ッ、畏まりました」
「切り裂けッ!!バルキリースカート!」
その咆哮に応えるように津村斗貴子の武装錬金「バルキリースカート」は私の足に巻き付いていた黒色火薬のロープを切り裂き、爆風と爆破の衝撃を右足に受ける。
しかし、これで動けるようになりました。津村斗貴子に肩を借りて後ろに退き、お坊っちゃまの瞳を見つめると虚ろで正気を失っている。
「賛、お前も俺を……」
「……お坊っちゃま…ッ…」
ポツリと呟いた言葉に私の足は止まり、津村斗貴子に借りていた肩を抜け出し、蛮竜を握り締めていた手を緩め、ゆっくりと目の前に立つ彼に近付く。
「賛、俺は…俺は…」
「はい。分かっています、攻爵さん」
爪先で立つように背伸びして、血涙を流す大好きな攻爵さんの首に両腕を絡めて、深く深く彼の意識を取り戻すためにキスを続ける。
おそらく奈落の仕業ですね。
私と津村斗貴子に関わる異性の何らかの欲望を増大させ、何かを無理やり行わせていたんでしょう。こんな姑息な手を使うなんて、それでも大妖怪ですか。
「ぐ、むむむむっ、私はせんぞ!!」
そう言うと津村斗貴子は一人で駆け出していき、そろそろ大丈夫でしょうか?と唇を離すとお互いに吐息がこぼれ、血涙を流す攻爵さんが私を見つめていた。
「すまない。何かに意識を奪われていた」
「フフ、構いませんよ。でも、エッチなのは本当にいけませんからね?次にあんなことをしたら添い寝も膝枕もしてあげません!」
「ムッ。分かった」
はい。分かってくれれば良いんです。