「改築工事、もう終わったんですね」
「金城の伝だ。あの体格と性格だからな、かなり建築業や格闘技関連の奴らと仲良くしているそうだ。まあ、デザインはおじいちゃんズだが」
元の武家屋敷より大きくなっているようにも見える蝶野家の玄関を開け、私を出迎えるように後ろに振り返ったお坊っちゃまは両手を拡げて待ち構える。
「……失礼致します……」
「お帰り、賛」
「はい」
自分の高鳴る鼓動がお坊っちゃまにも聴こえていると分かっているから、余計に心臓の高鳴りが大きく聴こえてしまうけど。彼の心臓も同じように激しく力強く鼓動を繰り返している。
やはりお坊っちゃまのお側は安心できます。
「あっ、そういえばお坊っちゃま宛てです」
「俺に?糸色本家の奴らと面識はない筈だが」
そうお坊っちゃまは呟き、ゆっくりと手紙を開いて読んだと思ったらビリビリに手紙を引き裂き、爆発させてしまいました。
一体、何が書かれていたのでしょうか?
私は小首を傾げながら革靴を脱ぎ、お坊っちゃまの後を追いかけるように新築の廊下を進んでいくと視線を感じ、そちらに視線を向けるとLXE本部のホムンクルスの方々が居間に勢揃いしていた。
まさか、さっきのやり取りも────。
全員が一斉に親指を突き立ててきた。
「~~~~ッッ」
早足で前を歩くお坊っちゃまのところまで行き、彼の胸板をポカポカと叩きながら「なんで居ることを黙っていたんですか!」とお坊っちゃまに訴えると「お前の渡してきた手紙のせいだ」と言い返される。
手紙と言われても私は手紙の内容を知りませんし、お坊っちゃまが何に怒っているのかも分からないのですが?と伝えると口を噤んだ。
「もしかして、仕来たりの事ですか?」
「…………あんなものを本当にするのか」
「しませんよ。するとしたら恋人のいない親族の方々で私は当主候補の筆頭なので参加を求める声は多いだけです。ウチの家は親族や親戚等は沢山いますから」
「確かに俺の家も親戚等に含まれるな」
問題は才賀グループです。
あそこは未だに黒い噂も多いですから私を呼び出してお見合いの儀を行って糸色本家に取り入ろうとする人だって沢山いるでしょう。
お婆様の妹もそちら方面に嫁いだと聞いているのですが、ご本人はシャイなのか余り人前に出て喋ることはなく此度の大戦に参戦することはないですね。
そもそも彼女は戦える人ではありません。
「で、どうするつもりだ」
「お断り致します。私はお坊っちゃま一筋です」
「奇遇だな、俺も賛一筋だ」
……やっぱり、お坊っちゃまはズルいです。