キラキラした看板のホテルに入った翌日。
LXE本部の館に帰還した私達を見つめる目は何処か余所余所しく、金城さんは「こんな小っこいヤツ相手にするのは程々にしとけよ。パピヨン」と言ってムーンフェイス様の近くに行ってしまった。
一体、何だったのでしょうか?
「糸色先輩、糸色先輩」
「何でございましょう、早坂さん」
「ホテルに泊まったって本当なの?」
なにやらワクワクとした表情で話し掛けてきた早坂桜花の反応に戸惑いつつ、ホテルに泊まったのは事実ですので肯定すると更に騒がしくなり、早坂秋水は彼女の後ろで小さく溜め息を吐いている。
どうして、こんなに注目を集めているのだろうかと疑問を抱きながら部屋の入り口近くにいたお坊っちゃまへと突撃していく早坂桜花の後を慌てて、彼女の弟の早坂秋水と一緒に着いていく。
「ホウ。俺と賛の蝶・アダルティーだった昨夜の事を聞きたいと」
「えぇ、今後の参考のためにも」
「姉さん?」
「お坊っちゃま、昨夜のアレはセクシャルバイオレットだったのですか?」
彼女の喜ぶような出来事は無かったと思うのですが、私は途中で気を失っていたような気もしますし。それに、なにかグロテスクな物を見た気が……?
ダメですね、まだ記憶が混濁しています。
脇腹と肩口の傷はお坊っちゃまの核鉄を借りて完治してしているものの。やはり万全の状態とは言い難く、津村斗貴子と雌雄を決するのは暫く先になりそうです。
「そ、そんなことを?!」
「パピヨン、流石に先輩には酷じゃないのか?」
なんだか過激な会話をしているけど。私は本当にそんなことをしたのだろうかと不安と好奇心を抱きながらお腹を擦ってみる。
……いえ、止めましょう。
他の方々も居ますから。そもそも私は記憶が混濁して、意思も飛んでいたので覚えていないので、どうやって判断すれば良いのか分からないのです。
「Hello、若人達よ。青春に花を咲かせるのは構わないが、パピヨンは節度を持って交際したまえよ。君のメイドは人間なのだから」
「言われなくても分かっている。丁寧に、丁重に、蝶・優しく扱っているさ。早坂姉弟、今日の蝶・セクシャル講座は終わりだ。賛が寂しそうにしているのでな」
「はい。寂しいです、近くに居て下さい」
私は早坂秋水と早坂桜花に一礼してお坊っちゃまと共にマスター・バタフライ様の話を聞くために場所を移動しながら、昨晩の出来事を小声で訊ねる。
一応、そう、一応の確認です。
私はメイドとして、お坊っちゃまと一夜を共にした訳ですから全てを聞く権利はあるはずです。ま、まあ、その、少し、興味はありますので。