銀成高校の裏山、廃工場の屋上で蛮竜を構える。
金剛石の刀身の重さを支えるように足のスタンスを広げ、ゆっくりと身体を捻り、下段から一気に上段まで素早く蛮竜を振り上げたその時、魍魎丸の放った金剛槍破と同等の規模と数を持つ金剛槍破が弾き出された。
「撃てた…撃てましたよ、お坊っちゃま!」
くるりと後ろに振り返るとお坊っちゃまも目を見開き、私の放った金剛槍破にビックリしています。───ですが、やはり金剛槍破は体力を激しく消耗しますね、この技をお婆様は現役時代は何十回と使っていた。
私も必ず、その領域に辿り着きます。
「相変わらず、賛の家は不思議な物ばかりだな」
「何処のご家庭も似たようなものでは?」
「……ウチも似たようなものか」
そうですよ、確かに世界各地に怪しい施設を保有するおじ様や自分を殺し屋と自称するおじ様も居ますけど。そういうのは、どこにでもある普通の事です。
「しかし、金剛槍破か」
「想像していた通り、私では完全に使いこなすことは難しい強力な技です。でも、お坊っちゃまとの未来のために必ずや体得してみせます」
「嗚呼、期待している。だが、お前の事を監視するあのデカい蜂はいつ潰すんだ?本家から帰ってきてから、ずっとお前を監視しているぞ」
「…………虫は苦手です」
「そういえば言っていたな」
そもそも何なんですか、なんであんなに大きな蜂がいるんですか。怖いです、とても怖いです、刺されたら死んじゃいますよ、あんなの絶対に無理です。
「賛、近付こうか?」
「えっ、やっ、やだ…!」
いきなり私の肩を抱いて蜂に向かって歩き出したお坊っちゃまに抱き付いて、不安げに彼を見上げるとニヤニヤと笑って私を見つめていた。
「た、謀りましたね?!」
「可愛い反応だったぞ。虐めっ子が好きな子を虐めたくなる理由もよく分かる。───だが、お前を泣かせたかった訳じゃない。泣かないでくれ」
「知りませんッ、お坊っちゃまのばか!」
「くッ、可愛い顔をするな。虐めたくなるだろう!」
私は怒っているのにお坊っちゃまは楽しそうに私の事を抱き締めてキスをしようとした瞬間、触手の束が私とお坊っちゃまに突撃してきた。
「やはりな。ずっと此方の動向を探っていると思っていたぞ、そして賛の恥ずかしがる姿を見れば興奮して飛び出してくる」
「えっ」
まさか、そのためにあんなことを?とお坊っちゃまを見れば「俺は好きな子を虐める趣味はない。好きなら好きと伝えて、永遠に手元に置くつもりだ」と妖しい笑顔を私に向けてきた。