「次はお洗濯物です!」
「……さっきお前が終わらせて無かったか?」
「えっ、あ……コホン、そうでしたね」
う、うっかりしていました。
さっきお屋敷にいる方々のお洗濯を終わらせてしまったばかりでしたね。しかし、お掃除とお洗濯の二つが終わっているのなら、お坊っちゃまにするお仕置きの方法が無くなってしまいます。
お買い物、商店街で済ませました。お工事の挨拶回り、済ませました。ダメですね、私が事前に終わらせているのでお坊っちゃまに出来るものがない。
「賛、デートしないか?」
「します!……たっ、謀りましたね」
「俺は恋人を誘っただけだが?」
「まあ、いいです。それでお坊っちゃまとのデートの装いはどれに致しましょうか?」
お坊っちゃまとのデート出来る嬉しさに思わず、素直に答えてしまったことを恥ずかしながらメイド服ではなくチャイナ服、ワンピース等々に瞬時に着替える。
「ふむ、チャイナ服もいいが今回はナース服にしておこう。ピンクと白以外に選べるなら、薄い水色のナース服にしてくれ」
「畏まりました。──では、行きましょう♪︎」
メイド服を素早く脱ぎ捨て、ナース服に着替えると携帯電話を構えたまま舌打ちをするお坊っちゃまに「早着替えを見ることは難しいですよ」とお伝える。
少し不満そうに顔を逸らしながらもお坊っちゃまの差し出す右手を左手で握り締めて、蝶野家を出ようとしたとき、親指を突き立ててピコピコさせるマスター・バタフライ様達と視線が合った。
ですから、それは何なのですか!?
「しかし、どこへ行こうか?」
「……でしたら海が良いです」
「海?」
チラリと塀の向こう側を見つめるお坊っちゃま。
確かに、ここから海の全貌を見ることは出来ますが、私はお坊っちゃまと二人っきりでゆっくりと話せる場所を探しているんです。
やはり、あの大きな蜂も木々の間に巣を作って、こちらを観察していますから、あれが絶対に追い付くことの出来ない場所へ行きたいのです。
「よし、詳しい話は海上で聞こう。おじいちゃんズ、帰るのは遅くなるかも知れない。進めていた研究は二人に任せる」
「ああ、二人とも楽しんで来たまえ」
「素敵なデートを楽しんできなさい」
そう言って私達を見送ってくれたマスター・バタフライ様とドクトル・バタフライ様の二人に一礼し、素早く羽撃き、舞い上がるお坊っちゃまの腕の中に飛び込む。
ここが一番落ち着きます。
メイドとしては静粛にお仕えするべきなのでしょうが、私はメイドでありながらもお坊っちゃまの恋人ですから仕方ないことです。