糸色本家を主軸とした最大勢力を引き連れてやって来た糸色境にお辞儀をして出迎えると懐かしい親戚の会合に集まることが多かった方々もいます。
「お母さまああぁぁぁ……」
「賛、また無茶したようね。乙女の肌に傷を付けるなど、やはり変態蝶々の花嫁に差し出すには勿体ないわ、奈落を滅したら戻ってきなさい」
ズルズルと髪の毛に包み込まれる私に対して、何やら内緒のお話を交わす錬金戦団の上層部の視線を無視し、柔らかな髪の毛を抜け出してお坊っちゃまの隣に立つと視線は侮蔑のものに変わった。
やはり根本的に錬金戦団の理念は「ホムンクルス憎むべし。ホムンクルス殺すべし」というものであり、私とお坊っちゃまの関係を良く思っていないご様子です。
私達と親しくなるために一時的に見逃している。
そういうスタンスなのでしょうが、彼らの実力は高く見積もっても下の下ですね。よくあれでキャプテン・ブラボーや火渡戦士長等に偉そうに命令を出して、武装錬金も使えるのかも怪しい。
「さて、此度の会合の理由は奈落を滅する算段は出揃ったと錬金戦団は言っていた訳だが、どうやって奈落を倒すつもりなのかな?」
「防人戦士長の武装錬金『シルバースキン』と火渡戦士長の武装錬金『ブレイズオブグローリー』によってヤツの動きを封じ込め、坂口大戦士長の武装錬金『バスターバロン』の一撃を叩き付けるのだ」
各国の大戦士長とは思えない言葉に思わず驚愕してしまった。此処にいる誰も彼もが奈落を倒すために集結し、その強さと能力の凶悪さを知っているのに、彼らは僅か三名に奈落討伐を押しつけるつもりのようです。
「随分とふざけた物言いだ。元を辿ればヴィクター・パワード一家に非道な行為を繰り返し、勝手に黒い核鉄を埋め込んだ癖に裏切り者に仕立て上げ、今度はその責を日本の戦士に押しつけるつもりなのかしら?」
お婆様の言葉に顔を羞恥心と怒りで歪めた一人が叫ぼうとした刹那、お爺様の眼光に怯え竦んだ彼は椅子にへたり込み、ガタガタと震えている。
流石は白面の者も欲した天才のお爺様です。
「そもそも僕達はまだ錬金戦団の謝罪を受け取っていないんだ。この特異点たる『糸色景』を幾人も幾つもの組織が狙い、その子孫を百年以上も狙い続けていたお前達の謝罪を早く、この僕に寄越せ」
「……境兄さん、怒ってるね」
「当然ですよ。境様は高祖母様の能力を色濃く受け継いでいる稀有な方、私や武藤君以上に彼らの襲撃を受け続けているのですから」
しかし、奈落対策の会合が吊し上げになりましたね。