壮絶な舌戦を制した糸色境の自信満々な表情に苦笑を向けつつ、私はどうやって奈落を倒そうかと熟考しながら蛮竜の柄を優しく撫でる。
金剛石の蛮竜であれば奈落の結界を破ることは出来ましたけど。やはり問題は不死身とさえ思える奈落の再生能力の高さ。火渡戦士長の最大火力も再生を繰り返す生物には意味を成さない。
ふと視線を感じて、そちらに顔を向ける。
「お久し振りですね、糸色賛」
「……ああ、五歳の時に私を拐おうとしたおじさん」
「ちょっ」
私の記憶に残っていた言葉を紡いだ瞬間、全方位から物凄い圧と眼力がおじさんに集まり、泡を吹いておじさんは倒れてしまった。
どうしたんでしょうか?
「悪く考えればコイツのせいで賛は親元を離れたが、コイツのおかげで俺は賛と出会えたわけか。お礼に腹を蹴っておいてやろう」
「じゃあ、恋のキューピッドというやつですね」
そう言ってお坊っちゃまと笑い合っているとお母様の髪の毛が伸びてきたのでお坊っちゃまの後ろに回り込み、拘束を逃れるものの、更に髪の毛の効果範囲を広げて私は髪の毛に包み込まれてしまった。
「賛、変態と結婚するのは認めるわ。でも、あんなゴミクズを恋のキューピッドとして扱うのは止めなさい。あれは奇にも近づいてきていたわ」
「えっ、そうなんですか?」
「奇本人は知らないようですよ?」
「秘密裏に処理しましたから」
サラリと怖いことを言いましたね。
まあ、私の大切な妹に手出しするヤツは死んで頂いて構いません。いえ、むしろ奈落に食われて死になさい、死して永遠に悔い続けなさい。
そう倒れ込んでいる男を蹴り上げて会合に使われていた会議室の壁を破壊して飛んでいく男の姿に冷や汗を流す彼らを睨み付け、にっこりと笑みを向ける。
私の妹に手を出したら殺します♪︎
「カズキ、やっぱり糸色もたまに過激だな」
「そうかな?ウチの家系って色々と狙われるから報復は当たり前って考えもあるけど。多分、オレもまひろが襲われたらああなってるよ?」
穏やかな笑顔で話す武藤カズキの顔は太陽のように思えます。津村斗貴子も分かっていて、お付き合いしているのですから今更その様な質問は無意味ですよ。
「さて、話を戻そう。奈落の現在地を僕達は補足した。銀成市の遥か上空に彼は
「何故、糸色賛を狙っているのか。俺達は聞かされていないが我々は聞いても問題ないだろうか?」
「そういや俺も聞いてねえな。奇、何か知ってるなら俺にも教えてくれよ」
「……分かった。奈落の目的は賛を手中に納めて自分だけのオギャバブランドを作ることだ。被害者の方は賛のお婆様もそうだね」
「やめな。気持ち悪い」
キャプテン・ブラボーと火渡戦士長の言葉に頷いた糸色境は静かに口を開いて喋った。しかし、それは私の想像していたものより気持ち悪かった。