お城の中とは思えないほど肉質的な通路です。
「生肉の感触に近いな」
「分かるのか、キャプテン」
「うむ。サバイバル訓練で仕留めたことがある」
「そういうこともするのですか?」
そうキャプテン・ブラボーに問いかけると「ああ、実検訓練を容易に行えるほどホムンクルス達は弱くない。況してやドクトル・バタフライとマスター・バタフライの二名は百年以上の年月を生きる傑物だ」と分かりやすい比較対象を提示してくれました。
確かに、マスター・バタフライ様の強さは技巧派のお坊っちゃまでも簡単にコピーすることは難しく、チャフの鉄片の一枚一枚に全神経を集中させ、ご自身も同時に攻撃を仕掛ける強さは猛者でございます。
「しかし、戦士・賛の金剛槍破だったか?アレはシルバースキンを砕くかも知れないな」
「お世辞は不要です。少なくとも金剛槍破を自由自在に扱えない今の私ではキャプテンを倒すことは難しく、そう簡単に倒せるとは思っていません」
「ブラボーだ。自己観察もまた重要だ」
「話し合うのは良いが来ているぞ」
私達の会話を遮るように通路の先を指差すお坊っちゃまの指し示す方へと視線を向けると、ギチギチと通路に詰まっている状態で迫り来る妖怪の群れがいた。
「ニアデスハピネスで爆破するか」
「いや、ここは俺がやろう」
「素手でございますか?」
「漢は拳で道を切り拓く!!」
その掛け声と共に繰り出された正拳は並み居る妖怪の群れをたった一撃で粉砕し、粉々に破壊してしまった。やはり身体能力では未だに届きませんね。
ですが、勝つのは私です。
「行くぞ」
「賛、足元に気を付けろよ」
「はい、ありがとうございます」
妖怪の砕けた肉塊を登るお坊っちゃまに手を借り、肉塊を飛び越えるとまだまだ先の見えない通路を歩くことになる。本当に階段はあるのでしょうかる
それとも
ふと違和感に気づく。
「お坊っちゃま、人の気配が消えました」
「気付いている。だが、そう簡単にあの怪物まみれの人を動かすことは出来るとは思えないが?」
「いや、移動したのは俺達だ。先ほど倒した妖怪の亡骸は消えたことを考えるに奈落の養分になっているのだろう。戦士・賛を自分自身の近くに寄せたか」
また、気持ち悪い考察をしないでください。そういうものは受け付けていませんし。私は奈落のものになるつもりは毛ほどもありません。