【本編完結】黒死の蝶の唯一留まる花   作:SUN'S

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母は強し 急

お母様の放った冥道残月破でも倒しきれなかった奈落の身体を集束し、上半身を作り終えたところに向かって二度目の金剛槍破を撃ち放つ。

 

「心臓の有無は本当のようですね」

 

「母の言葉を疑ったの?」

 

「信用と信頼はしています。ただ、彼処まで奈落の身体を破壊した金剛槍破のダメージを考えてしまうと通じていなかったという事を怪しんでしまっただけです」

 

「あなた、賛が私を疑ったわ」

 

「僕は二人の間には立つけど。家族として二人の意見を纏めて、しっかりと話し合うべきだと思うんだ。例えば賛の将来はやはり話題の二世帯同居というものにするとか一緒に暮らすとか」

 

とんでもない事を宣うお父様の後頭部に蛮竜を突き付け、奈落の肉塊を弾き飛ばして、再び壁に突き刺して足場の代わりになって貰いつつ、三度目の金剛槍破を放つタイミングを悩んでしまう。

 

「儂の心臓は既に別の場所にある」

 

「あなた」

 

「おそらくカズキ君達の方だろうね。けど、アッチにはお義母さんがいるから問題ないと思うよ。賛、お父さんのところにおいで」

 

「お坊っちゃま、お願いします」

 

「嗚呼、しっかりと掴まっていろ」

 

武藤カズキ達の方だと予想を話すお父様の呼び掛けに応えず、お坊っちゃまの方に抱きついて、お姫様抱っこして貰った瞬間、私が足場にしていた蛮竜は壁を突き破って、奈落の身体を切り裂いて、更に向こう側の壁を突き抜ける。

 

一体、何処か?

 

いえ、よく考えればお婆様の所へ向かった事は直ぐに分かりますね。お婆様の傍には武藤カズキも居ますから呼び寄せる力は彼方に傾いています。

 

「ブラボー、貴方はどうする?」

 

「無論、ヤツを倒すつもりだが心臓を破壊しなければ倒せないなら絶対防御のシルバースキンでアイツを相手に粘る必要はない」

 

「つまり?」

 

「アイツは後回し!カズキの方にいるであろう心臓を破壊しに行くことを最優先に全力疾走だ!!戦士・賛、パピヨン、道は俺が開く!!」

 

まあ、そうなりますよね。

 

「賛、含牙戴角を貸してあげる。まだ貴女に冥道残月破は使えないけど、風の傷程度なら使えるようになっているから持っていきなさい」

 

「ありがとうございます、お母様」

 

私の身の丈を越える薙刀を受けとり、奈落の向こう側に出来た蛮竜の通り道を通るためにお坊っちゃまの爆破とお母様達の攻撃を盾代わりに突き抜ける。

 

あの三人を相手に奈落は何回再生を繰り返すのだろうかと疑問を抱きつつ、お坊っちゃまの首に腕を回して風の抵抗から眼鏡の落下を防ぐ。

 

 

 

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