肉塊や触手の消えた城の廊下を駆け抜け、宙を舞うお坊っちゃまの索敵と蛮竜の纏っていた妖気と気配を頼りに私達は奈落の心臓を追い掛けている。
「賛、薙刀の使いはどうだ」
「しっくり来ます。ただ、やはりこの薙刀はお母様を主人と認めているようで、私が本来のスペックを引き出して振るうのは些か難しいです」
「そうか。正面、来るぞ」
「風の傷…!」
蠢く妖怪の群れの衝突する空間、妖気のぶつかり合う空気の流れを嗅ぎ分け、見極めてお母様の薙刀───含牙戴角を振り下ろすと蛮竜には劣るものの、一振りで妖怪の群れを薙ぎ払い、真っ正面の敵を蹴散らす。
やはり本来の強さは出して貰えませんね。
冥道残月破。
この含牙戴角に譲渡された技は元々蛮竜に備わっていた物だとお母様は言っていたけど、アレだけは明らかに金剛槍破とは系統の異なる技───。
僅かに、あの世の気配を感じだ。妖怪や人間の後ろ側に常に控えていて、人間だった頃のお坊っちゃまに纏わり付いていた嫌な気配と臭いだった。
「考え事をするなら背中に乗れ」
「申し訳ございません。失礼致します」
蝶の羽の間に飛び乗る瞬間に革靴を脱ぎ、お坊っちゃまの背中に座って、含牙戴角の柄を握り締め、お母様の放っていた冥道残月破をイメージする。
しかし、含牙戴角は答えない。
おそらく糸色境の邪紅刀のように私を認めていないのだろうと思いながら風の傷と二重の極みを使って戦うことになりそうです。
「お坊っちゃま、臭いが途絶えました」
「嗚呼、その代わりにお前を狙う気配がウジャウジャと現れ始めてきた。ホムンクルス……それも人間ではなく妖怪を素体としたものばかりだ」
「本当に下劣な男ですね」
そう呟くと同時に襖や障子を破壊して飛び出してきたホムンクルス妖怪の突進を薙刀で受け止めながら革靴を履き直して、ホムンクルスの頭部を踏みつけ、ホムンクルスの弱点たる章印に薙刀を突き刺し、破壊する。
「ニアデスハピネス!」
「お坊っちゃま、私の核鉄もお使い下さい!」
スカートを僅かに振り上げ、隠していた核鉄をお坊っちゃまに投げ渡すとお坊っちゃまは黒色火薬の武装錬金「ニアデスハピネス」を解除し、素早く二つの核鉄を突き出して構える。
「
刹那、黒死の蝶に混じって白く小さな蝶が舞う。
「ホウ。蝶・ビューティフルな武装錬金だ」
黒死の蝶が弾けると同時に白い蝶は連鎖するように爆発を繰り返し、壮大かつ壮絶な爆炎を巻き起こしてホムンクルス妖怪の群れを破壊していく。
「
「流石です、お坊っちゃま」
やはり戦うお坊っちゃまも素敵です。