オバケ工場の上空。ホムンクルスとしての完全な変身を遂げた鷲尾さんの背中に乗り、私達は錬金の戦士の行動を観察している。
流石に寄宿舎の二階と外のように顔や口許は視認できる距離ではないですが、お坊っちゃまと同じ制服だと鷲尾さんが告げ、お坊っちゃまも大体は予想していたらしく驚いた様子もない。
「
「いや、今回は友好的なアプローチをしよう」
ニタリと笑うお坊っちゃま。
その手に持つ小さなフラスコを揺らし、ゆっくりと注ぎ口を逆さまに向けて「ホムンクルスの幼体」を彼等に落とす。運良くどちらかに当たり、ホムンクルスに変われば錬金の戦士の持つ核鉄の実験も行えると考えての行動ですね。
「お坊っちゃま、男子の方は分かりませんが。女子の方に向けて幼体を落としたのであれば、確実に彼女は弾いてしまいますよ?」
「その場合の対策も出来ている。問題ない」
「来ますッ!」
その言葉と同時に鷲尾さんの身体が回避の行動を取り、僅かに重心がずれたその時、昨日の夜に目撃した
「
「成る程、これが錬金の戦士か」
「鷲尾さん!」
「分かっている!」
彼女の脚部に展開した四本の機械の剣───否、あの曲がり方や動きは
その処刑鎌を紙一重の間合いで避け、寄宿舎ではなく遠回りして所在を撹乱する。しかし、男子の方の核鉄、武装錬金が
「当面の目的は錬金の戦士の対処か。全く、最後のホムンクルスまで時間が掛かるというのに最悪のタイミングで来たものだ」
そう言うとお坊っちゃまはふらつき、今にも倒れそうになりながらも私達は鷲尾さんの背中に座り、スカートの皺や凹凸を無くして彼の頭を太股に乗せる。
「お坊っちゃま、お休みになりましょう?」
「チッ、本当に嫌になる。だが、どんな犠牲を払おうと俺は必ず変わる…!俺はホムンクルスへと華麗なる変身を遂げ、この
「はい、お坊っちゃまなら必ず華麗なる変身を遂げると私は信じております」
血反吐を吐くお坊っちゃまの口許をハンカチで拭き取り、ゆっくりと彼の頭を優しく撫でる。私に出来るのはお坊っちゃまを見守り、お仕えすることだけ。
もしも錬金術に出会わなければ、こうしてお坊っちゃまとの過ごす日々も完全に消えていたでしょう。その事に関しては感謝しています。