あれから一週間ほど経過して、奈落という強大な敵と戦うために共闘戦線を組んでいた人間と妖怪とホムンクルスの三大勢力は大戦後は直ぐ共闘戦線を解除した。
妖怪は何時ものように変わることなくまた人の営みの中に潜み、錬金戦団は人間に戻りたいと願うホムンクルスを保護して、錬金術の闘争ではなく再人間化にシフトチェンジするようです。
「ヴィクター・パワード様は御家族と故郷へとお帰りするそうですよ、お坊っちゃま」
「そうか。アイツには賛を傷付けた落とし前を付けていなかったが、いずれヤツの故郷に出向いて重力を支配する武装錬金の一撃を破壊してやりたいな」
「そういうことはいけませんよ」
そう言ってお坊っちゃまに諭していると自動ドアを開けて、何処か面倒臭いものに遭遇したように「うわあ」と声を出す津村斗貴子にお辞儀をする。
「いらっしゃいませ」
「何をしているんだ、お前達は」
「1日店長」
「私は副店長です。そして」
「オレ様がマスコットだぜ!」
エンゼル御前様の決めポーズを見ることなく、津村斗貴子は駆け出して行ってしまった。また何か武藤カズキが破廉恥なことをしたのでしょうか?
「斗貴子さん!」
「ムッ。武藤も来たか」
「蝶野と賛さん、それに御前様までどうしたの?」
「1日店長だ。あの女を追うなら急いでおけ、アッチだ。ただし怒っているとかそういうことは考えず、真摯に向き合って相手をしてやれ」
「分かった。ありがとう!」
お坊っちゃまの指差す方に向かって走り出す武藤カズキの背中を見送りつつ、お坊っちゃまの傍に移動すると「賛は素直なのに仏頂面は本当に武藤に弱いな」なんて呟き、ウマカバーガーを頬張っています。
それは商品なのでは?
「いらっしゃいませ、奇と火渡戦士長」
「お姉様、見てください!」
「?ああ、奇も婚約指輪を貰ったんですね」
「はい!もう逃がしません!」
「お前、外堀が埋まってロリコン疑惑すごいぞ」
「やめろ。気にしてんだよ、それ」
まあ、私の奇は高校一年生、火渡戦士長は三十歳を越える男性ですし、糸色本家(分家を含んだ)からロリコン疑惑どころか女子高生に興奮する変態さんだと思われているのは内緒です。
だって、二股してますもん。
「どうして、こちらに?」
「フッ、自慢するためよ!」
「自慢?既に私は結納していますが」
「んえ?!き、聞いてない、呼ばれてないです」
「結婚式はまだですから」
お坊っちゃまとしては二十歳を迎えるまで我慢しているそうです。お母様とお父様の出した条件でもありますから守って貰えるのは嬉しいです。
「くっ、まひろさんに自慢してきます!」
「頑張って下さいね」
奇も楽しそうで良かったです。