銀成高校近くに建つ喫茶店で先日の追いかけっこの原因が津村斗貴子の横一文字の傷痕を触ってみたいという武藤カズキの一言に始まった出来事だと知り、津村斗貴子本人が見ているのにクスクスと笑ってしまった。
「随分とお可愛い理由ですね」
「ぐむっ、ぐうぅ…!」
「結婚式のスピーチで私が話してあげますよ」
「誰がお前に頼むか!!」
私の言葉に反論する津村斗貴子の顔は赤く染まり、恥ずかしさを誤魔化すように小言を言い続けています。が、大して怖くはないですね。
そう思いながらコーヒーを飲み、私達の共闘戦線は奈落の最後を見届けて終わり。ホムンクルスと錬金戦団の蟠り、実際は戦団側の過剰な敵愾心によるものも少しずつ解消し、今は共存あるいは人間化を進めている。
「さて、そろそろ行きましょうか」
「ああ、そうだな」
コーヒーとカフェオレの代金を支払い、私と津村斗貴子は並んで3時間前まで夕焼け色に染まっていた月明かりの照らす路地を歩き、銀成高校の正門を飛び越えて、警備員も居なくなった静かな夜の校舎を眺める。
彼女と出会って幾度となく衝突していたのに勝負を決する事は出来ず、いつも邪魔や勝負を中断しなくてはいけない状況になってばかりだった。
しかし、今回は違います。
「槍よ、来い…!」
「武装錬金…!」
私の呼び掛けに答えて蛮竜は飛来し、私の手の中に収まる最中、津村斗貴子の握り締めていた核鉄は発光を纏って四本の
「糸色……いえ、秋葉賛としてお相手します」
「今日は横槍は無しだ。決着を付けるぞ」
その言葉に私は笑みを浮かべてしまう。
遂に津村斗貴子と戦える…!
「バルキリースカート!!」
「蛮竜!!」
四本の処刑鎌を振るい、高速で跳ね動く津村斗貴子の動きを音を頼りに追いかけ、風切り音の襲来に石突きを突き上げて処刑鎌の一撃を防ぎ、彼女の胴に向かって蹴りを放つも寸でのところで躱される。
大鉾の蛮竜を使うには必ず中距離・長距離の間合いを必要とするため、接近戦に持ち込めば私の攻撃の一部を封じることは可能です。
しかし、それでは面白くありません。
「蛮竜閃ッ!!!」
「その技は何度も見たぞ!」
エネルギーを溜めるために大鉾を後ろに引いた瞬間、狙われて蛮竜閃を繰り出すことが出来ず、僅かに身体をバルキリースカートで刻まれ、手数の多さに後方に退かされる寸前、がら空きの胴に二重の極みを撃ち込み、彼女を後ろに弾き飛ばす。
「やってくれるな、糸色ッ!!」
「此方の台詞ですよ、津村さん!!」
私達は同時に駆け出し、お互いの武器をぶつける。