「攻爵さん、デートしましょう」
「お坊っちゃま、私とですよね」
「羨ましいだろう、武藤」
「クッ…!」
「『クッ!』じゃない。何をしているんだお前達は」
お坊っちゃまを挟み込んで腕に抱き付いている私達に武藤カズキは羨ましそうに苦悶の声を上げ、チラリと津村斗貴子の事を見つめるものの、やはり物凄く彼女に警戒されてしまっている。
まあ、仕方ないことです。
いつものパターンだと武藤カズキ対抗心に火が付き、お坊っちゃまに対抗するために津村斗貴子に双子になってほしいと頼んでいた事でしょう。
「ちなみに俺はお取り寄せタイプの呪泉郷に飛び込んだ賛の双子メイドのご奉仕ハーレムを堪能しているぞ!羨ましいだろう!!」
「ああ、すごく羨ましいッ!!!」
「……お前達はたまにバカになるな」
男の子はほんの少しだけバカな方が可愛いとお母様とお婆様は言っていましたよ。まあ、お母様の場合は「お手頃に扱える相手」という意味も含まれていますけど。
それはそれで愛の形ですから。
「……ところで名前はどうしているんだ?」
「本体の私は本名の
「双子の妹に落ち着いた私は
「読み方の違いか」
「「愛する御方は一緒ですけど。シフト制を導入し、お坊っちゃまのお手伝いや炊事洗濯など交互に行っていますので問題ありせんよ」」
そう言って笑う私達に津村斗貴子は「愛の重い家系なのはカズキで薄々分かっていたが、ここまで重たいヤツに絡まれるのは大変だな」と溜め息を吐いています。
「蝶野、呪泉郷の素ってあるか?」
「ムッ。ジャンルは違うが、同伴されていた粉末タイプの即席呪泉郷の素ならば幾つか持っているぞ。黒豚、パンダ、アヒル、猫、オススメはカエルだ」
「「カエルはダメです」」
「な?可愛いだろう?」
お坊っちゃまの身体に抱き付いて、カエルに変身する呪泉郷の素を武藤カズキに差し出そうとする彼の手を止める。それだけは絶対にダメです。
「パンフレットによれば千種類を越えるそうだが、次郎を落としてみたい泉もあった。ほら、この善人に変身するという泉だ。俺にコンプレックスを抱く善人の次郎を見るのも楽しそうだから」
「お前が入っておけ」
「ねえ、斗貴子さんはコレとかどう?」
「どれだ?阿修羅に変身する……どういう意味でだ?」
「頭が三つから武装錬金を同時に三つは使える!」
それは更にパワーアップした津村斗貴子と戦えるということでしょうか?それなら是非とも津村斗貴子には、その阿修羅に変身するという呪泉郷の泉に浸かっていただきたいのですが。