武藤カズキは津村斗貴子の先導を受けつつ、分家を含んだ各名家の少女の猛攻アプローチを捌き、ようやく仕来たりによるお見合いは終わりを迎えました。
いわゆるハッピーエンドでございます。
秋葉賛として最高の絶賛を贈ります。他意はありませんが、絶賛と呼ばれるのは少々戸惑うこともあるので、普通に賛さんか秋葉さんと呼ぶだけで良いのです。
しかし、最後は口付けで終わったのは良かった。
「賛達もキスをしたかったか?」
「お坊っちゃまは破廉恥です」
「攻爵さん、エッチなのはダメです」
「お前達はいつまで寄宿舎に居るつもりだ?」
お坊っちゃまの破廉恥な問いかけに注意を行う私達に期末試験の復習と予習を繰り返している今回の大騒動の中心人物たる津村斗貴子の言葉に私達は小首を傾げる。
「私は卒業式に出席するつもりですが?」
「黒髪の私は卒業式のスピーチを早坂さんに頼まれているので必然的に寄宿舎に残るのは当たり前ですよ。斗貴子さん、貴女も分かるでしょう?」
「……秋葉、コイツは本当にお前なのか?」
「白髪の私は糸色としての側面が強い子なんです。少しばかり好戦的ではありますが、依然として変わらず私は津村さんの好敵手です」
私がそう言うと白髪の私も「いいえ。斗貴子さんの一番の好敵手はわたしですよ?」と呟き、思わずお互いに顔を見合わせてしまいます。
しかし、どちらも同じく賛です。
武藤カズキは集団に追われ過ぎて未だに周囲を警戒し、津村斗貴子の身体を座った状態で、彼女の事を胡座を掻く股間部位の上に乗せて、ぎゅうっと武藤カズキは津村斗貴子の事を抱き締めています。
とても羨ましいです。
私ももっとお坊っちゃまに大好きと伝えるべきでしょうか?と静かに悩んでいると同時に同じことを思っていたのか。白髪の私もお坊っちゃまの手を握っていました。
「今日は私のはずですが?」
「たまに三人一緒でも良いでしょう?」
「俺は二人とも愛しているぞ?」
そう平然と宣言するお坊っちゃまに寄り添い、私も精一杯の愛を伝えるように頬っぺたにキスをする。最近、再認識できたことなのですが、やはりお坊っちゃまは誰よりも私を愛してくれます。
好きです、大好きです。
「……パピヨン、一つ聞きたいんだが」
「なんだ。賛と賛の事なら一途に俺を想う可愛い嫁だが、お前の事を今も尚、抱き締めている武藤の愛の重さに戸惑っているのか?」
「戸惑っているわけじゃない。が、なんでカズキはここまで私に一途なのかが不思議なだけだ」
「簡単ですよ、斗貴子さん。糸色の女は総じて『この人は私がいないとダメだ』や『この人の傍にいてあげないと』と想わせるダメな人が大好きなんです。それが糸色の男の場合は『オレと一緒に居てくれる人』や『この人じゃなきゃダメなんだ』となります」
「しれっとお坊っちゃまをダメンズ扱いしますね。白髪の私」
「それもまた愛ですよ、黒髪の私」
成る程、そういうものもあるのですね。
「……ちょっと待ってくれ。まさか私はダメそうな女だからこうなっているのか?」
「いや、ダメになっているのは武藤だ。お前が別れを切り出したら、多分病んで核鉄を奪い取った上に監禁か拘束して、ずっと自分だけのテリトリーに縛り付ける可能性もあるな」
「…………カズキ、あれは冗談だよな?」
津村斗貴子の震えた声に武藤カズキは無言の笑顔と彼女の持つシリアルナンバー「
「クーリングオフするぞ、貴様!?」
「その時は斗貴子さんを実家の地下室に閉じ込める!」
その熱意には賛同しかねます。