【本編完結】黒死の蝶の唯一留まる花   作:SUN'S

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月光の照らす校舎 序

マスター・バタフライ様の指示を受けた早坂姉弟は武藤カズキと津村斗貴子の二人と戦うことなる。手紙の内容は知りませんが、お坊っちゃまの推察では四人の力量を確かめるためだそうです。

 

「────やはり早坂君の武装錬金は日本刀型ですね。かの反りと長さは太刀、刀身は鋒両刃造、柄無しの茎は栗形尻、本家の書庫で類似した剣を振るう方の絵を見たことがあります」

 

「お前の実家は大抵の物は揃っているな」

 

「そういう家でございますから」

 

そう言って私は電柱の上に立つお坊っちゃまの言葉に答えつつ、屋上にて高速射撃対高速駆動の勝負を行う津村斗貴子と早坂桜花にも視線を向ける。

 

校庭の二人よりも此方は技巧に秀でた勝負です。

 

しかし、早坂桜花は津村斗貴子に対して勘違いしているようにも見える。彼女の強さは可動肢の精密性ではなく、狂気とすら言えるほどに秘めた殺意による被弾覚悟の特攻を仕掛けて来ること。

 

もしもあの時に左右の脇腹に処刑鎌(デスサイズ)を受けていたら私の身体は二つに両断され、頭部は真っ二つに切り裂かれていたでしょうね。

 

「武藤の動き、少しお前に似ているな」

 

「多分、槍の使い方を思い出したんだと思います。彼も昔は本家の仕来たりで薙刀や槍術の練習を一時は受けていた事もありますから」

 

「ホウ。なら更に強くなるというわけか」

 

「その通りでございます」

 

期待と歓喜の眼差しを武藤カズキに向けるお坊っちゃまは気付いていない様ですが、ムーンフェイス様も観戦に参加している。「む~ん」と楽しそうに月光浴を楽しみつつ、その視線は早坂姉弟に注がれる。

 

そういえばマスター・バタフライ様が言っていましたね。二人の育ての親はムーンフェイス様、これは授業参観の一種なのだしょうか。

 

「あの構えは逆胴か」

 

「武藤君なら問題ないかと」

 

「フン。だろうな」

 

二人の最後の攻防が始まる。

 

神速に近い逆胴を振るう早坂秋水の斬撃を武藤カズキは武装錬金を解除し、その心臓の代わりたる核鉄の強度を信じて太刀の一撃を受け止める。

 

そして、武装錬金を行って早坂秋水の胴体に突撃槍を射出し、起死回生の一撃を放って、ようやく二人の勝負に決着が付いた。

 

「捨て身の防御、どこぞのメイドにそっくりだ」

 

「浮気ですか?」

 

「お前だ、馬鹿め」

 

「左様でございますか」

 

もしも浮気だと肯定していたらお坊っちゃまの胴体に二重の極みを撃ち込み、蛮竜を呼び寄せて首を残して残りは粉々にしていたかも知れませんね。

 

私は、重たい女なのでしょうか?

 

 

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