四人の戦いの結末に満足げに拍手を贈るお坊っちゃまとムーンフェイス様に魔法瓶に移しておいたコーヒーをカップに注いでお渡しする。
そろそろ夏休みになりますが、夜間は寒い日もあるので温まる飲み物を飲み、ゆっくりと就寝するのがメイドとして好ましく思います。
そう持論を思い返していたその時、空気を切り裂く音を聞き、お坊っちゃまとムーンフェイス様の身体を押し退け、月光を背負って飛来する銀の流星を受け止める。
「流星・ブラボー脚!!!」
───が、しかし、その飛来する者の驚異的な破壊力に電柱が耐えきれず、私の身体は支えを失ってコンクリートの道路に向かって落下していく。
「ぐっ、うぅうッ……貴方はいつぞやの!?」
「俺の蹴りを受け取るか。ブラボーだ!」
そのまま両手を伸ばして地面に付け、折り曲げる反動を利用して落下の衝撃を分散し、ゆっくりと私はお坊っちゃま達を狙った銀の流星───いいえ、キャプテンブラボーを睨み、見据える。
「む~ん。成る程、君が三人目!おそらく校庭の二人を束ねる長!怪しい格好だから警戒してしまったよ。糸色君、頼めるかな?」
「気安く俺のメイドに仕事を頼むな。殺すぞッ」
「お坊っちゃま……」
「やれやれ、此方も此方でイチャイチャストロベリっているのか。そこの怪しいヤツ、お前が一番歳上だろう。子供に任せず、掛かってこい」
「是非!……っと、ああ、私は他に仕事を請け負っているんだった。折角のお誘いを断るのは心苦しいけど、私はお暇させて貰うよ。む~ん!」
軽やかな動きで飛び上がったムーンフェイス様を見送りつつ、私は目の前に立つ津村斗貴子と武藤カズキの戦闘技術を教え込み、あそこまで鍛え上げた凄腕の錬金の戦士キャプテン・ブラボーを見つめる。
「賛、相手するのは構わないが死ぬなよ」
「フフ、畏まりました。キャプテンさん、ムーンフェイス様の代わりに、この糸色賛が貴方のお相手を務めさせて頂きます」
「…良かろう!百年前、錬金の戦士を悉く撃ち破ったという破壊の拳!この無敵のシルバースキンで全て受け止めてやる!!」
私は右手を引いて、左手を突き出し、弓を引く様に構える。対して、キャプテン・ブラボーは空手や柔術を彷彿とさせる手刀に両手を構える。
やはり、この人は強い。
「直撃・ブラボー拳!!」
「態々叫ぶ理由はあるのですか!」
音速を突き破る恐ろしく豪快な右のストレートパンチを繰り出すキャプテン・ブラボーの拳を外側へと弾きながら、さっきから思っていた事を問いかける。
「ある!何故ならその方がカッコいいからだ!」
「やはり武藤の師、似ているな」
そう言って感心するお坊っちゃまと自信満々に言い張るキャプテン・ブラボー。やはり、男の子というのは必殺技に憧れるものなのでしょうか?
「まだまだ行くぞ!13のブラボー
「残り11の技があるのですね」
キャプテン・ブラボーの振る舞いを見るに13の技はブラフではなく、13の技のみで事足りるために技のレパートリーを増やしていない様に感じる。
全く、本当に恐ろしく強い人ですね。