「粉砕・ブラボラッシュ!」
「くっ、はあっ!!」
一撃でさえ防御する私の身体を軋ませる打撃を無数の乱打として放つキャプテン・ブラボーの左右の拳を捌き、往なし、僅かに被弾しながらも彼の間合いに踏み込み、爪先から力みを伝達して二重の極みを撃ち込み、彼の身体を後方に向かって弾き飛ばす。
しかし、キャプテン・ブラボーの武装錬金「シルバースキン」は瞬間硬化して二重の極みを受ける前に拳を絡め取って衝撃の流れを断つ。
「破壊の拳、この程度では無かろう!何より糸色賛、君はこの戦いの最中、右手でしか二重の極みを使おうとしていない」
「確かに、加減していては勝てませんね」
もう少しだけキャプテン・ブラボーという私よりも圧倒的に戦闘経験と絶対的な強さを誇る貴方という強者と戦える事を楽しんでいたかったのですが。
ゆっくりと私は二重の極みを使うために構えていた右手を目の前ではなく真横に突き出して、信州の実家に鎮座する家宝の大鉾に意識を向け、ドクンッ…!と何かが鼓動する音に耳を傾ける。
「槍よ、来い…!」
「その台詞は、まさか…!?」
轟音と共に飛来してきた二つ目の銀の流星を掴み取り、飛行の衝撃を分散するために身体を回転させ、タンッ!と地面を踏み締め、ゆっくりとキャプテン・ブラボーの事を見据える。
「やはり実在していたのか獣の槍!」
「───違います。本物の存在は認知していますけど、此方は家宝の霊槍『蛮竜』にございます。戦国に生まれ、幾千、幾万、化け物を切り裂き、砕く。二重の極みと同じく高祖父より受け継いだ愛槍です」
私は蛮竜の刀身を下段に下げ、月牙を模した石突を上段に構えながらキャプテン・ブラボーに歩み寄り、横薙ぎと振り下ろし、切り上げの三つの軌道のみに攻撃パターンを絞った高速の斬撃を繰り出す。
如何に絶対的な防御力を誇るシルバースキンだろうと蛮竜の斬撃と超重量の重さを防ぐ事は出来ません。なにより私の切り札はまだ使っていません。
「ぬんっ!!」
「やはり強いですね、キャプテンさん」
「当然だ!」
ならば、二重の極みを織り交ぜる。
「参ります!」
「来い!戦士足り得る少女よ、糸色賛!」
蛮竜を振りかぶって十字受けに構えたキャプテン・ブラボーの身体に刀身を押し当てた刹那、全身の筋肉を震わせ、刀身へと衝撃を伝達し、無敵のシルバースキンの前腕部を粉々に吹き飛ばす。
「まさか本当に俺のシルバースキンを破るとは、やはりホムンクルスに成るには惜しい戦士だ。だが、今の斬撃に二重の極みを乗せた一撃、ブラボーだ!」
「お褒めに預かり光栄です。───ですが、今回の勝負は此処までですね、お坊っちゃまが暇そうにしているのでお相手をしてあげなければいけません」
「……全く、本当に戦士・斗貴子も君もイチャイチャストロベリっているなあ……良いだろう。君と決着を付けるのは戦士・斗貴子だ」
「ご厚意、感謝致します。お坊っちゃま、手合わせは終わりましたので帰りましょう」
そう言って私はお坊っちゃまに呼び掛ける。